第2話 夜襲

8月の暑い時期が終わり、肌寒くなる10月。

夕方になると辺りは暗闇と化す。

闇は味方にもなり敵にもなる。


サイパン島 南の海岸


「こちらピクシー1、ピクシー2、3と共に

上陸に成功した。これより敵基地の夜襲を

敢行する。」ピクシー隊はサイパン島の

イギリス軍の航空基地の奪還作戦の任についていた。夜間のために航空基地からは

探照灯が辺り一体を照らし続けていた。

「全く、バレバレなのわからんのかなー?」

『そんなこと考えれるならとっくの昔に

明かりは無くなってますよ。』

『そんなことよりまだですか?もう10月だってのに蒸し暑くてかなわないわ。さっさと

攻撃して終わらせましょ。』

「そうだな。早いとこ目標の敵基地を潰せば味方が侵攻するに楽って話だ。ただ偵察情報によると・・・」

霧島が言いかけた時に警告音が鳴り響いた。

『隊長!敵の旧式の妖精、5機の起動音を察知しました!こちらに気づいた模様ですぜ!』

『嘘でしょ!?だってこっちは完全ステルスよー!?』

「世の中には常に完全に進むことなどない、ということの証明となったな。こちらピクシー1、敵基地の制圧を開始する。」

そう言い放つと同時に95式に纏わせていたステルスマントを脱ぎ捨てた。

「各機、CAS(戦闘補助システム:

Combat assistance system)を

A'(アサシンモード: Assassin mode)から

A(アタックモード:attack mode)に

切り替えるんだ。」その直後に敵基地から仕向けられた5機の妖精が接近してきた。

5機は散開しつつピクシー隊を取り囲むつもりのようだ。手に持たせていた0式機関銃を

正確に敵に撃ち込む。しかし手応えが一切感じ無かった。それもそのはず、相手の妖精は

最新鋭の


F-2 高速機動型人型汎用機動兵器


だったのである。

そして敵のF-2は手に持たせていたバズーカを容赦なく発車し続け弾幕を張り続ける。

『隊長ぉ!俺の機体の足が吹き飛んだ!これ以上動けない!白兵戦に移行する!』

『あたしももう限界なのよぉ!うぁぁぁ!バズーカ砲なんてずるいわよ!』

僚機が次々と被弾、撃墜されていく。

霧島の機体にもそろそろ限界がきていた。

「クソッタレ!脚部のダメージがそろそろまずい。こうなったら・・・!」

 ----E mode----

隠された隊長機のみに許された機能。


Extermination mode:殲滅モード


敵味方構わずその場にいたものに対し無差別攻撃を敢行するモード。機動力のリミッターを全解除し、腰のアーマーに隠している

秘匿兵器1型レーザートーチを使用できるようにし、腕と胸の第1層のアーマーをパージ、

00式近接格闘太刀の刀身をヒート化させて鉄をたやすく溶かす太刀へと変える。

しかし制限時間があり機体状況により変化はするものの平均10分間となっている。

「各機!Eモードが発動する!戦闘エリアから退避!」

『了解』『了解です』

その声と同時にF-2に高速で接近する。

95式のカメラアイは真っ赤に染まっていた。

「おらぁぁ!潰れちまいやがれぇ!」

敵のF-2はコックピットのみをレーザートーチで焼かれた。

「次ぃ!」太刀が次のF-2の頭頂部から股下にかけて一刀両断される。

それを見た敵のF-2は次々と撤退していく。

「逃すかぁぁぁ!雁首晒してあの世に行きやがれ!」

そして敵目掛けて太刀を投擲する。 

「行けぇぇぇ!」

鈍い音を立てて空中に退避したF-2のコックピットを貫通する。しかし太刀にはワイヤーが括られていた。

「誰が突き刺しただけって言った!」

ワイヤーの出る先は95式の左腕、それはパージ時のみに展開することのできる

ウインチワイヤーであった。

そしてそれを巻き取る。

太刀が敵機体から抜き取られ返ってきた。

そしてレーザートーチに引っ掛けて

最期の1機に狙いを定める。

そいつは勘が良かったのかそれとも運が悪かったのか急速上昇をかけて退避した。

しかし予測演算は完了した。

「チェックメイトだ!」

そして再び投擲をする。今度は真っ直ぐではなく横に回転をかけた。

「ふぅ。なんとかあの赤目の化け物から逃げれたぜ!あいつなんて高機動なんだよ!

このF-2に追いつく機体なんて初めて聞いたぜ!味方も全滅しちまうし・・・とりあえず基地まで退避してそれか・・」

言いかけた時には彼の機体と体は胴を二つに切り裂かれていた。

「こちらピクシー1、目標の基地の守備妖精の殲滅を確認。基地の直接攻撃を敢行されたし。繰り返す、基地の直接攻撃を敢行されたし。」

「こちらボマー1、貴官らの健闘に感謝する。後は盛大に吹き飛ばしてでかい花火を上げてやるから空から見てな!」

「ふふ、了解だ!」

辺り一体に爆音が響く。

そして大きな火柱と黒煙を巻き上げる。

「ピクシー隊、全員無事か?」

『何とか手持ちランチャーでも生き残れましたよ!何とかね!』

『私も何とか生きてるわ。機体ダメージ率58%で、基地への帰還はかなり厳しいですが上手いこと空に上がれば何とかなります。』

「よし!ピクシー隊、横須賀に帰るぞ!」

『了解!って俺どうやって帰るんですか!』『りょーかい、ピクシー2は無視ってことで』

『おい!』

ピクシー隊は朝日を横目に横須賀へ戻った。


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