第16話 温暖化はこうやって解決する

 1900年代から叫ばれていた地球温暖化問題。

 世界各国の努力虚しく2000年代後半では温暖化は加速していく。Co2排出量の削減、メタンガスの主な原因たる家畜の間引き、フロン等の使用制限。思いつく限りの活動を続けてもその効果は一向に現れない。

 これ以上何をすればいい、何をしたらいい? 世界最高峰の頭脳集団は、温暖化停止推進委員会会議で頭を抱えていた。誰も答えがわからないのだ。


「ちきゆうにえあこんをつかってあげたら?」


 そんな時、頭脳集団の誰かが連れてきた子供が声を発した。会議室が一瞬の静寂に包まれる。そして波のように討論が広がる。


「オゾン層が壊れたなら自前で層を作ってしまえばいいのではないか!?」

「地球がでかいからいけない、いっそ小さくしてしまおう!」

「一理ある! それで削った資材で地球を覆って、宇宙で冷やしたオイルを循環させよう!」

「セントラルヒーティングならぬアウトサイドクーリングか、面白い!」

「宇宙使ってんだからギャラクシアンブリザードだろいい加減にしろ!」

「少年漫画の必殺技みたいになってるぞ!」

「ならコズミックフォースとかは!?」


 喧々諤々と会議は踊り、そのままの勢いで計画は動き出した。各国の首脳陣もシンクタンクの導き出した答えならばと計画を推し進め、地球を小さくするために動き出す。多少温暖化が進もうとも、その後に得られる結果を見ればさしたる問題ではない。誰もがこの計画に希望を持っていた。


 結果地球は崩壊した。

 奇跡的なバランスで成り立っていた星は、風船の空気が抜けるようにしぼんで崩壊。地球人類は宇宙空間での生活を余儀なくされた。

 計画の第一声を放った少年はすでに老人となり、目の前に広がる大宇宙の光景をまじまじと見つめ、一言だけ言葉を吐いて息を引き取った。

 曰く、


「これで温暖化問題は解決だ」


 と。


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