第17話 殺しに行くぞ、家族もろとも。

 宇宙人が攻めてきた。

 それは本当に本当に唐突な出来事で、誰もが予想し得なかった事態だった。

 宇宙人の侵略は瞬く間に世界中に広がり、地球人類は滅亡の危機に瀕する。

 歩兵として彼らと交戦した兵士は語る。彼らは激怒しているかのようにみえた、と。


「理由はわからん。正直……なんで撤退したのかも未だに見当もつかない」


 宇宙人の撤退も唐突に起こった……いや、起こったというより起こっていた、と言ったほうが正しいかもしれない。なにせ前日まで攻めに攻めてきていた宇宙人が次の日には地球上から一体もいなくなっていたのだから。

 全人類が同時に見た夢だったのだろうか。いや、地球上に彼らのつけた傷跡が深く刻まれている。断じて夢ではない。では一体何故このようなことが起こったのか。生き残った人間には知る由もなかった。

 とにもかくにも、地球は宇宙人の魔の手から逃れることができた。その流れで、これ以上無益な争いをしないためにも宇宙に有効の信号を送った。


「我々は敵ではない。同じ宇宙に住む者よ」

「こんにちは、友達になろう」

 

 と。




「あいつら、まだ『こんにちは、友達になろう』とかぬかしやがってんのか、マジむかつくわ」

「でも俺らの敵対生命体のタコとヒトデを倒して、あまつさえ食ってやがるとはな、恐ろしすぎる連中だぜ」

「ど菌の塊の[キノコ]とかも食ってたぞ。あいつら頭おかしいわ。関わらないためにも撤退は正解だよ」

「お前だって変なもん食ってる時あるだろこの変態」

「あんだとてめえ、こんにちはぞ!!!」

「やれるものならやってみやがれ、逆にこっちがこんにちはしてやっからよぉ!」




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