第10話 幼子会議
大方の予想を裏切り、地球人口は増大の一途を辿った。
それに比例して様々な問題が発生し、道の整備も大きな問題の一つだった。
「なんでほこーしゃとくるまがおなじところをとおるのかな?」
誰ともなしに上がった疑問は、交通網整備の会議室でのことだ。
「ずっとむかしからそうだったからじゃない?」
「むかしからのふうしゅーとらわれてちゃかっこわるいよ」
「おなじところをとおるというけど、ほどーとしゃどーはべつじゃん」
「おーだんほどーがあってそこをわたるでしょ?」
「えーそこまでいっちゃうの?」
あーだこーだと会議は紛糾する。
これまで一度も発言していなかった議長が手を叩き、意見を述べる。
「なら、ほこーしゃとくるまのみちをわけよう」
「いいね」
議長の意見は可決。地球を全面覆うように新たな道路が建設され、歩行者と車の事故はなくなった。
「こんどはじてんちゃとほこーしゃのじこがおおくなったよ」
「ならこんどはそのふたつをわけよう」
地球には歩行者専用道路、自転車専用道路、自動車専用道路ができた。
「ほこーしゃみちをはしるひととベビーカートのじこがおおいって」
「ほこーしゃどうろではしっちゃダメでしょ」
「じゃあいっそはしるひとどうろ、ベビーどうろもつくっちゃおう」
続々と道ができ、配達専用道路、タクシー専用道路、スケボー専用道路、モビリティ専用道路……と専用道路がどんどん増えていった。
「つぎのせんようどうろ、つちがたりないや」
「じめんなくなってうみばっかりになっちゃったもんね」
「えー。じゃあつきからとってくれば?」
「つきまでどうやっていくの?」
「つきせんようどうろつくればいいじゃん」
「そのつちがたりないんだってば」
「じゃあいままでつくったみちをこわしてつきまでのみちをつくろう」
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