クロードになにするの!!!

「あっ!」

「あっ!」


俺たちが慌てて離れる。ミラーカやクロエが呆れた目で俺たちを見ていた。俺は辺りを見回した。なんというか砂漠だ。その中にオアシスのようにポツンと小さな村があった。


この村がモントレイユまで行くまでの中間地点なのだろう。


俺は馬車から降りる。


「ありがとう。クロエ。運転助かったよ」

俺は言った。クロエは会釈をして返した。


俺は村の様子を見回す。リザードマンが多い……な。辺りを見回すとリザードマン……要するに爬虫類系の二本足で歩く種族だが……が多く歩いている。俺たち見た目人間の存在はこの村ではなんだか浮いていた。


「ここの首長と話してきます。姫様は馬車でお待ち下さい」

クロエが馬車から降りようとしていたアレクサンドラにそう言う。アレクサンドラはえっ? っというような表情になる。


「ここハックダートはご覧の通りリザードマンの村です。姫様が村に出られると安全が保証出来ません」

クロエはそう言い放つ。なんだかヤバい村のようだ。


「えーー。だってクロードとデートしたいし。今日というこの時間大事にしたいじゃん! せっかく村まで来たのになにも出来ないなんて!」

アレクサンドラが怒る。


「ふぅ……分かりました。ではクロード様。姫様をお守りしてもらえますか?」

クロエはそう言う。


「あぁもちろんだ」

俺はそう言うとその瞬間アレクサンドラがバッっと俺の腕にしがみついてきた。


「んふぅーじゃあ行こうか」

アレクサンドラはそう言って笑顔で俺を見上げた。


そうかデートか。アレクサンドラとデートをするのは初めてだったな。


俺とミラーカそしてアレクサンドラは3人で街を歩く。砂っぽいがなかなか発展した街だった。なんというか雑多な街だった。


アーティファクト屋に武器屋あと地元の名産屋など混沌とした感じの村だった。人通りも多く道行くリザードマンにジロジロと俺たちは見られた。


まぁ歓迎されてる感じじゃないな。クロエの言ったことは正しかったのか。


「オイ! お前ら! 何しに来た!」

俺はいきなり呼び止められる。一人のリザードマンの男が近づいてくる。


「ここはお前ら人間が来ていいところじゃないんだ。さっさと帰れ」

そのリザードマンは俺に言った。するのそのリザードマンを皮切りに続々と俺たちの周りにリザードマンが集まってきた。


いきなり十人くらいのリザードマンに囲まれる俺たち。これは……ヤバい。


「えっ? お前魔族じゃないか!」

と言ってリザードマンはアレクサンドラを見つけて言った。


「こりゃ面白えなぁ。お前こんな貧弱な人間と付き合ってるのかよ」

とリザードマンの一人が言うと周りのリザードマンがギャハハハハハハと笑った。


「キモっ! マジでなにこいつ。死ねよ」

低めの口調でアレクサンドラは言う。

おっ? っといった驚いた表情でアレクサンドラを見るリザードマン。

まさかアレクサンドラがこんな反応するとは思わなかったのだろう。


「魔界の姫君と魔王クロード様になんと無礼な口の聞き方。爬虫類ども。皆殺しにしてやるからそこに順番に並びなさい!」

と言ってミラーカは強烈な殺気を放つ。おっ! これはヤバい……


その殺気にビビったのかたじろぐリザードマン。


「お前! 調子に乗るな! 人間!」

と言いながらリザードマンAがいきなり俺にパンチをしてきた! バゴン!


ん? 今パンチが当たったよね。


「ギャハハハハハハ!! どうだ! オイオイオイオイ!!」

「ガミュルの殺人パンチ食らったぜ! あいつ死んだわ」

リザードマンBがそう言う。


「えっ? 今の本気?」

俺はナチュラルに聞いてしまった。


ハッ! っのパンチをやめるリザードマンA。驚いた表情をしている。


するとそれを煽りと受け取った


「てめぇ! ふざけてんじゃねぇ!」

と連続で俺にパンチを当てるリザードマンA……俺は微動だにしない。あれ? 本当に当たってる?

なんだか羽毛でふわふわされてるような感触しかないんだけど。


「はぁ……はぁ……」

肩で息をするリザードマン。

「あの……これいつまでやるの?」

俺は聞いた。


「チェスト! チェスト! チェスト!!! キエエエエエエ!!!」

とリザードマンが拳法のような型をつかい俺にパンチをしてきた。バコン! バコン! バコン! 俺の脳天にチョップをするリザードマン。俺に蹴りを入れてくるリザードマン。だが……


「はぁ……はぁ……」

また肩で息をしているリザードマンA。おれは全く効いてなかった。


「手が! 手がいてぇ!! 何だこいつ! 硬すぎる!!」

と手を抑えながら叫ぶリザードマンA。


「ちょっと待って! なんでさっきからクロードを殴ってるの! もういいから全員殺してちょうだい! ミラーカ!」

アレクサンドラが怒る。


「承知しました。姫様」

するとミラーカの影がグンっと伸びた。あっ! 駄目だ! 殺すのは……


「ミラーカ待ってくれ! 殺すのは……」

俺はミラーカの方を見る。

「チェストーーー!!」

リザードマンAが俺の顔を殴ってきた。


俺は無意識的にリザードマンの殴ってきた手を左手でかるく払った。すると


ボキボキボキ!!! 嫌な音がする。


「ああああああああああああああああああ!!!!!!」

と右手を抑えて叫ぶリザードマン。


あっ! 軽く払っただけなのに。ひょっとして手の骨が砕けた?


「お前! なにをするんだ!」

他のリザードマンが怒る。


「オイオイオイオイ! なんだこいつ! あれだけ殴られててビクくもしてねぇぞ!」

リザードマンBが叫ぶ。


「えっ? いま手を払っただけなのに……ガミュルの拳が砕けたぞ」


「こいつ人間じゃねぇぞ! 化け物だぞ!」

リザードマンCが叫ぶ。


「いや、おかしいだろ! 人間ってことで絡んできてたんだろ! 誰が化け物だよ! それに! そっちが最初に殴ってきたんだろ!」

俺は怒鳴った。


「いてぇ!! いてぇ!!!! あぁ!」

手を抑えて叫ぶリザードマンA。


「もう! なんなのこいつら! 自分から殴ってきてちょっと手を払われたら骨折れてすぐに被害者! 気持ち悪すぎる!! クロードに謝れ!」

アレクサンドラが怒る。


「クロード様に謝りなさい! 自分から喧嘩を押し売りしといて、で怪我したら逆ギレですか。リザードマンはこんなのばっかりですか?」

ミラーカが言う。


「ふざけるな! 確かにこいつはバカだけど、リザードマンには頭のいい奴もいるぞ!」

リザードマンBが答える。


「そうだ! そうだ! こいつはバカだけど俺はこいつより頭いいぞ!」

リザードマンCが答える。


「あぁ……くっそ! お前ら! ふざけんな!」

リザードマンAがそう怒鳴ると


「もうそこらへんでやめなさい!」

と見知らぬ男の声が響いた。


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