ざまぁ成分⑧ 陵辱されるシド

「……おっ……んぐぅ」


「いいぞ。噛むんじゃねぇぞ」


シドは衛兵から辱めを受けていた。


「ちゃんと出すからな。こぼすなよ」


「おおん……ぐぅ」


「おい。お前なにをやっている!」

別の衛兵が声をかけた。


「クソっ! 見つかった! おい! ちゃんと刺激しろ!」

と言いながら衛兵はシドの頭を前後に動かした。


「ん! んんん……ばはっ! はぁはぁ……ゴホッ……ゴホッ……」

シドが咳き込む。今まで喉が圧迫されていたため、息が出来なかった。すっと息を吸い込むと


おっ……

「ゴホッ! ゴホッ!」

咳き込むシド。なにやら肺に入ったようだ。


「おい。またかよ囚人で楽しむのもいい加減にしろよ。趣味悪いぞ」

「わりぃ。可愛かったからな。どうせ死ぬからいいと思って」

衛兵たちは話す。


「おい。シド。国王より直々に恩赦が出た。早く出ろ」

と衛兵が言う。シドはショックで呆然としていた。


衛兵はガチャリと牢屋の扉をあける。

「おーーい。意識あるかー」

「わりぃ。俺のデカすぎて顎が外れたようだな」

と言いながら衛兵たちは下品に笑いあった。


「早くでろ」

衛兵はシドを牢屋から無理やりだす。そして無理やり立たせて追い出した。衛兵の詰め所から無理やり追い出されるシド。あたりはすっかり夜だった。


バタン。衛兵は詰め所の扉を閉める。なにやらよく分からないうちに辱められたシド。頭がボーーっとする。俺は一体なにをされたんだ。シドは考える。名門ウォールデン一族の長男。犯す犯される側で言うなら俺は常に犯す側だった。


まだ十代のころなにも知らない身分の低い女の子を無理矢理辱めたことがある。それも何人も。シドはそれに別に罪悪感など感じなかった。気持ちいい行為だったし、男が女に対して性欲を持つのが当たり前だと思ったからだ。


自分たちは自分より身分の低い人間をいくらでも搾取していい。それが神が貴族与えた特権だと思っていた。


そう間違いなく信じていた。


陵辱した女が感情を失ったように呆然としているのを見た。俺はそれが大げさな演技だと思っていた。それにしても全員ほとんど同じ反応をするのが不思議だったが……


俺はあいつらの気持ちが分かった。自分の体をもて遊ばれる気持ち。モノのように扱われる気持ち。それは人の心の自尊心をズタズタに傷つけるものだと。


シドはフラフラになりながら歩く。お尻が痛い。お尻から血か何かよく分からないものが流て気持ちが悪い。


シドは思った。なんで誰も早く教えてくれなかったんだ。自分がやったことがどれだけの悪事か思い知った。


想像力が足りなかった。人の痛みが分からなかった。


シドは足を引きずりながら歩く。乱暴だったので足の神経をやられたのか。


「シドさん。大丈夫ですか?」

コルネリオがシドに声をかけた。


シドは呆然としてコルネリオを見た。


「随分ひどい有様ですね。衛兵に暴行されたんですか?」

コルネリオは言う。


されたのは性的暴行だったが……それは流石に言えなかった。コルネリオに言ったらその噂を広げられるだろう。衛兵に性的暴行をされたシドという噂を。


「お前に関係ない……だろう」

シドはコルネリオを無視して前に進む。


「いや、関係あるんですよ。クロードさんを探しに行くんでしょ? いいもの発見したんですよ。モントレイユに繋がる転移門がこの近くにあります」

コルネリオは言う。


「なにっ?」

シドはコルネリオに聞いた。


「逝くなら急いだ方が良いですよ。転移門のゲートが不安定なのでいつ消えるか分からないですから」

コルネリオは言う。


シドはクロードのことを思い出した。


そうだ! 全部あいつのせいだ! 俺がこうなったのもあいつが悪い! あいつがブラックドラゴンを討伐した。それで全てが狂った。あいつは大人しく死んでおくべきだったんだ。俺のためにあいつは死んでおくべきだった!


クロード! 全部アイツのせいだ! クロード。復讐してやるからな。絶対に!


「コルネリオ……転移門はどこだ」

シドはコルネリオに行った。


「案内しますよ」

コルネリオは不気味に笑った。


そうやって二人は夜の闇に消えていった。クロードを探すために。


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