ざまぁ展開②  放尿するシド


嘘だろ……シドは倒れながら考えていた。そんな……これが現実なんてあるはずがない。俺はあらゆるものを利用して上に登りつめる。そして摂政の地位を手に入れる。そのハズだったのに。


俺が処刑される?


え? ん? 誰も助けてくれないんだけど。シドは周りを見回す。同情を引こうとして大袈裟に倒れた。普通ならここで


「シド! 大丈夫か?」

「シド! 私が代わりに処刑されてあげる!」


ってなるハズだが……


周りの天空の大鷲団のメンバーは冷たい目線で俺を見下ろしている。まるで別れ話を切り出す時の恋人のような冷たい目線だ。


シドはムクリと起き上がった。


「同情されないって分かったらすぐ起きた。随分切り替えが早いですね」

とコルネリオが言った。するとメンバーからドッっと笑いが起きる。


シドは頭が真っ白だった。なんとかこれを乗り越えなければいけない。どんな手を使ってでも。


「コンスタンツ卿。どうして私が処刑されるのですか?」

シドは聞いた。


「ドラゴン、アンシルヴァンドとの交渉の結果じゃ。お前がエリクサーをケチったことにドラゴンは激怒している。全く余計な真似をしてくれたな。お前兵士たちと一緒に実家に帰り、お前の一族を連れてこい。交渉の結果はこうだ。シド・ウォールデンお前の処刑。そしてウォールデン一族全ての処刑だ。お前の一族は取り潰しだ。お前の一族は200人くらいいたな。悪いが全員国のために死んでくれ」

コンスタンツ卿は言った。


コンスタンツ卿のこの言葉に流石の大鷲団も絶句する。

シドのいるウォールデン一族の絶滅。それが国王とアンシルヴァンドとの交渉の結果だった。


じょーーーー……あれ……なんだか股間が温かい。気がついたらシドは恐怖のあまりお漏らしをしていた。

「うわっきったね!」

サムソンが言う。


「シドお前……漏らしているのか?」

ジャムディが言う。


「うわぁ! クッサ! もう最悪。何こいつ。死ぬときぐらい格好つけなさいよ! あんた腐っても騎士なんでしょ?」

マオが言った。


「うふふふふ……シド……処刑おめでとう……呪いの効果てきめんだね……」

ユイが言う。


「ああああああ……うあああああ!!!!」

シドは大きな声をあげた。それでいきなり泣き出した。


「うわああああ!!!! ああああ!!! 酷いよ! 酷いよ! なんでそんなことするんだよぉ! みんな酷いよ!」

シドは急に泣き出した。みんな一斉にシドを見る。


「酷いよぉ……頑張ったじゃん! 頑張ったじゃん! 俺頑張ったじゃん! なんでこんな頑張っだ俺が死ぬんだよ! おがぢぃだろ! おがぢいだろぉ!」

シドは泣きながら言う。だが誰もシドに同情しなかった。シドの今までやってきた所業がエゲツないものだったからだ。するとシドは床に広がった自分の尿ベチャっと手で触り、その尿のついた手で自分の顔を洗い出した!


「おっ! お前なにしてんだ!」

女戦士のエルザが言う。


「えっ? ヤバっ! こいつ自分のオシッコで顔を洗ってんじゃん!」

マオが言う。


「だずげでぇーー誰がだずげでぇーーぐだざい!!」

と言いながらシドは自分のオシッコを手に取り顔を洗い出した。


「あーみなさんこれ気にすることないですよ。シドって追い詰められるとよくこういう変なことするんです。泣いて同情を引いたり、おかしな行動をして周りを混乱させて煙に巻くんですね。子供の嘘泣きと一緒ですよ」

コルネリオが言う。


すると

「へーそうなんだ」

マオが言う。

「不気味っ! 不気味っ! シド不気味!」

とユイが言う。


「おい! ふざけんなよ! コルネリオ! お前! 俺がこんなに泣いてるだろうが!」

シドは急に起き上がり言う。


「ほら。嘘泣きが終わった。言った通りじゃないですか」

コルネリオは呆れたように言う。


「お前っ!」

シドはコルネリオに詰め寄り暴力を振るおうとする。すると、ボカン! いきなりシドの顔面にサムソンがパンチを入れた。ドサッっと倒れるシド。


「もうみっともない真似やめろよ! さっさと処刑されろ!」

サムソンはシドを見下ろしそう言い放った。


「ありがとうございます。いいパンチです。サムソン」

コルネリオはサムソンにそう言ってからシドの方を見てニヤリと笑った。


シドはコンスタンツ卿の顔を見た。そして思い出した。お互いに交わしたギアスのことを!


「コンスタンツ卿! あの人工神の起動はどうなったのですか?」

シドは言う。


「起動? 出来なかったが、それがなにか関係あるのか?」

コンスタンツ卿は言う。


やった! 出た! 希望が出た! シドは心の中でほくそ笑む。


「コンスタンツ卿! あのギアスの内容をご存知ですか?」

そう言ってシドは懐からギアスの書類を取り出す。


「私がドラゴンの交渉に失敗した際! それと同じくコンスタンツ卿も人工神の起動に失敗した場合! コンスタンツ卿はギアスの呪いにかけられて私の使い魔になるという契約です!」

シドはギアスの契約書を見せながら言う。


「なんだその理不尽な契約は。どこにそんなことが書いてある?」

コンスタンツ卿は聞いた。

するとシドは契約書の小さい文字を指差し叫んだ。


「ここです! ここに小さく書かれています! ですのでコンスタンツ卿は私の使い魔です! では使い魔! コンスタンツ! 命令します! 私の処刑を取り消しなさい!」

シドが叫ぶ。


するとあたりはシーーンと静まり返っている。


「コンスタンツ! 主人の命令には絶対服従ですよ! 従いなさい!」

シドは再び叫んだ。だがなにも起こらない。


「シド。駄目だ。そのギアスは使えない」

ギアスを作ったジャムディが言う。


まだまだざまぁ続きます

見たい方はフォローハート★で評価お願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る