ドラゴンのところに置き去りにされた俺がドラゴンの火に焼かれながら【魔王術】に覚醒する!魔族の姫君と結ばれ魔界の英雄を産む運命らしい。元いたギルドは俺を嫌っていたリーダーが逆に追放され消滅したらしい
ざまぁ展開 ② カシムお前……なんだその顔は……!
ざまぁ展開 ② カシムお前……なんだその顔は……!
「やっぱりだ。掘り返した跡がある。この下になにか埋まってるぞ。多分死体だ」
コルネリオは言う。
「嘘だろ。誰がやったんだよ。こんなの」
カシムはなんだか震えている。
「カシム。ビビってんじゃん! カワイイ!」
リーシャがそう言った。
「ビビってねぇよ! ふざけんな。お前」
カシムはリーシャにそう言う。
「掘り返すぞ」
シドはメンバーにそう言った。
「えっ?」
メンバーが一同に答えた。
◇
「ねぇ! さっきからカシムなにも手を動かしてないですよね」
コルネリオは言う。コルネリオ、ジャムディ、サムソンはスコップがないのでなんとか手や盾を使い地面を掘っていた。
その掘っている作業をシドとカシム、リーシャが雑談しながら見ている。この三人はまるで奴隷を従えている主人のようだった。
「だって私たちそんなふうに土掘れないもーーん」
リーシャがそう答える。
「そうだもーーん」
とカシムがふざけて答えた。
「全員でやった方が早く終わると思うんですけどね」
コルネリオは言う。
「ごめん。俺手が弱いんだ」
と言ってカシムは笑った。
それに対して舌打ちするサムソン。どうやらサムソンも自分たちだけが穴掘り作業するのが気に入らないようだ。
「駄目ですね。このギルド」
コルネリオがサムソン、ジャムディだけに聞こえるくらいの大きさの声でそう言った。
「真面目にやってる人がこんな風に馬鹿を見るんだから。大体クエストに女連れって意味分かんないですよね。ねぇ。サムソン」
コルネリオはサムソンに話を振ってみた。
「えっ? 俺か? まぁあいつは元からあんな奴だからな。まぁでも改めて見ると腹立つな」
サムソンは言った。
「そうですよね。ムカつきますよね。カシム。でもまぁこんな時にクロードさんが居てくれたらって思いますね。結構、便利だったんですよね。マテリアライズ。こういう時にスコップとかポッっと出してくれたから」
コルネリオはそう言いながらふぅ! とため息をつく。盾で掘り返すのに疲れたのだ。
「そうだな……それはその通りだ。馬車の車輪が壊れたときにあたらしく車輪を作ってくれたりな」
ジャムディが同意した。
「そうなんですよね。スキルって戦闘に役立つものばかりじゃないんですよね。行軍や野営の時に役立つスキルの方が実は重要なんですよね」
土を掘り起こしながらコルネリオは言う。
「そうだよな。一日の戦闘時間は5分あるかないかぐらいだからな。戦闘時間以外は地味な行軍がほとんどだからな」
ジャムディが言う。
「それが分かってないのがシドなんですよね。とりあえずお山の猿を気取って自分が権力を持つことに執着するだけ。それでリーダーとしての適切な判断が出来てないことに気づいてない。だからクロードさんをクビにしたりする。で、そのしわ寄せは僕達に行く」
コルネリオはそう言った。
「フンッ」
とサムソンは鼻で笑う。
「ここにいたら僕たちの才能も使い潰されるかも知れないですね。こりゃ身の振り方考えた方がいいかな」
コルネリオは邪悪な笑みを浮かべでそう言ったあと、
「掘れましたよ! シドさん」
と一気に明るい口調になってシドにそう告げた。
サムソン、コルネリオ、ジャムディの献身的な働きのおかげで大きな穴が掘られ棺桶が露出する。
「なんだ……これは棺桶?」
シドは呟く。木製の棺桶だった。色など塗っていない簡素な急ごしらえの棺桶だった。
「おーーい。その棺桶開けちゃっていいよ」
カシムがそう言う。
「カシムがやったらどうですか? 僕達もう手が痛くて。それぐらい出来ますよね?」
コルネリオはカシムに言う。
「えっ? 俺が……」
カシムがシドの方を見るとシドはカシム睨んでいた。早く行けとのアイコンタクトだ。
「分かった。分かった。行きますよ」
と言いながらカシムは掘り下げられた地面を滑り落ち棺桶に着いた。
「あっ! 私も!」
そう言って侍女のリーシャも掘られた斜面を滑り落ちる。
「僕たちは下がりましょう。トラップがあるかもなので」
とコルネリオはサムソンとジャムディに言った。三人は下がる。
「ったくどいつもこいつも俺がいねーとなにも出来ねーな。本当使えない奴らばっかりだな。全部俺がやってるじゃねぇか!」
カシムはそう言ってトラップを回避するために下がった三人にそう言った。
「チッ!」
舌打ちするサムソン。呆れたように笑うコルネリオ。無言のジャムディ。
カシムは腕に力を入れて
バカッ! 棺桶の蓋を開けた。その棺桶の中身を見るとカシムはフッっと笑った。
「ただの死体だよ。ビビる必要はねぇ!」
カシムはそう言った。
「もっとよく見ろ! なにかおかしな点はないか?」
シドが言う。
「トーチライトをこっちに!」
カシムがそう言うとコルネリオはトーチライトを移動させてカシムの真上に来るようにした。
「どれどれ……」
カシムは棺桶を覗き込む。そこには顔の汚れをキレイに拭かれた遺体があった。それと棺桶内に大量の花が置かれていた。
「えーーキレイ。だれがお花入れたんだろ」
リーシャが言う。
するとその花からバフっっと大量の花粉が飛び散った。リーシャとカシムは大量の花粉を吸い込む!
「うわぁ!」
カシムが叫んだ。その叫びを聞いてコルネリオたちは驚いて飛び退く。
「大丈夫ですか? カシム」
コルネリオが叫ぶ。
「あぁ。大丈夫だ。ただの花粉……ゴホッ……ゴホッ……大量に吸い込んだだけだ」
カシムはせき込みながら言った。
「クシュン! ハクシュン!」
リーシャは大量の花粉を吸い込みクシャミをしている。
するとコルネリオたちやシドは笑った。
「カシム。ちゃんとトラップ解除しろよ!」
サムソンが笑う。
「なにやってんだよ。しっかりしろ」
シドもそう言いながら笑った。
「だからただの花粉……ウオエーー……かふウオエエ」
! なんだかカシムの様子がおかしい。
「ウオエーー! オウエエエ!!」
リーシャも喉を押さえて奇妙な言葉を叫んでいる。
「ひっ!」
後ずさるコルネリオたち。
「オオオオオオオ……みん……エエエエエ!!!」
「グオオオオオオオ!!! たす……オ! 」
奇妙な叫び声を上げるカシムとリーシャたち。
「おい! カシム! お前顔が!」
サムソンがそう叫んだ。
それを聞いたカシムが自分の顔を触るとなんだか球のようなものに触れる。カシムはそれを取ろうとして引っ張る。ブチン。音がする。何かが千切れた。痛い。カシムは手に取った球のようなものを見た。それはカシムの目玉だった!
◇
まだまだ続きます! 長いので分割しました!
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