ざまぁ展開 ビクトリア死亡

兵士たちは次々とビクトリアに罵声を浴びせている。どれも優秀な兵士たちだ。シドはビクトリアが屈強な兵士たちを痛めつけることで性的な快感を感じる変態女だとは知っていたが……


やはりかなり恨まれていたようだ。


この兵士たちの溜まっていた鬱憤の爆発にさすがのシドもビビった。


「気持ち悪いんだよ! お前みたいな女! 自分どれだけのことをしたと思ってるんだ!」

「私可愛いからぁ。なにしても許されると思ってんだろ! ブス女! 許されねぇんだよ! 早くドラゴンに食い殺されろ!」

「死ねっ! ゴミ女! できるだけ苦しんで死ねっ!」

口々に罵る兵士たち。


「うわあああああんんん!! みんな酷いよぉ!!! なんで! なんで! なんで! あああああああ!!!! ゴメン! みんな助けてよ! 謝るから!」

ビクトリアは子供みたいに泣きじゃくった。


「グオオオオオオオ!!!」

雄叫びを上げながらオイゲンシュタット城を離れるアンシルヴァンド。凄まじいスピード。シドはもうドラゴンの姿が見えない。


シドは空を見上げたいた。


「おい。大丈夫かよ。シド。ビクトリアはお前のお気に入りだったんじゃねぇのか?」

天空の大鷲団の弓使いであるカシムがシドに声をかける。


「は? 見てわかるだろ。俺は大丈夫だ。怪我一つしてない」

シドは言った。

「ひっでぇなぁ! シド! ビクトリアはお前のことが好きだったんだろ?」

カシムが言う。


「だからなんだよ。あいつは顔と体だけだからな。もうそろそろ飽きて使い捨てようと思ってたところだ。だから丁度良かったな」

シドがそう言い放つ。


「ひっでぇなぁ。シド。だが流石だぜ団長」

カシムが笑った。


二人は不気味に笑いあう。


まもなく、この内二人のうち一人が絶望に暮れるとも知らずに。




ブラックドラゴン、アンシルヴァンドはビクトリアを口に入れて空を飛んでいた。


「ちょっと! 出してよーー! ねぇ!」

ビクトリアはアンシルヴァンドの口の中で叫ぶ。


「あぁーこれって天罰かなぁ」

ビクトリアは呟いた。


「私クロードに酷いこと一杯したもんな。その天罰が下ったのかな……」

ビクトリアは一人つぶやく。


「寝てるときに耳に虫を入れたり、一人でトロールの巣穴に置いてけぼりにしたり。いっぱい酷いことしたな。クロードのリアクションが面白くてさ。し、死ぬーーみたいな」

ビクトリアは笑った。


「他の人が大勢見てる前でクロードがヴァージンだってバラしたこともあったな。クロードが慌てて否定してて。あーーあのリアクション楽しかったなぁ!」


「ゴメンね。クロード。ホントにゴメン。許して……ぷっ! クロードのあの顔! アハハハハ!!」

ビクトリアはおかしくなったように腹を抱えて笑いだした。


すると

「あっ!」

ビクトリアは空中にいた。ドラゴンの口の中で笑ったり暴れたりしたからドラゴンが気持ち悪くなって思わず口から出してしまったのだ!


「キャーーーー!!!」


落下するビクトリア。ドラゴンであるアンシルヴァンドは一瞬落としてしまったビクトリアを再度拾おうとしたが、すぐに諦め飛び去った。



「ねぇお父さん。僕ね。空から女の子が降ってくるって思ってて。天使みたいに」

小さな男の子が農作業を手伝いながら父親に言う。ここはオイゲンシュタット城近くの農村だ。


「おや、シモン。どうしてそう思うんだ?」

農作業をしながら優しい口調で父親はシモンに聞いた。


「だってさ。そっちの方がロマンチックだから」

シモンは照れながら言う。


「そうだな。確かにロマンチックだな。シモンはそういうのが好きなんだな」

父親はシモンが可愛くて仕方がないように言う。


「でしょ? お父さん。あっ! お父さん! 空から女の子が!」

シモンが上空を見て叫ぶ。


「おや、シモンここは本の世界じゃないよ」

父親は笑って言う。


「本当だよ! お父さん! 声が聞こえるでしょ!」

シモンが言うと


「キャーーーーーー」

とビクトリアの声が聞こえると思ったら


パァン! ビクトリアは地面に衝突し水風船のように粉々に吹き飛んだ。あたり一帯に散らばるビクトリアの肉片。ビクトリアは死んだ。


「あっ! 消えた!」

シモンが叫ぶ。


「そうだね。不思議なこともあるもんだね。シモンの言うとおり俺にも声が聞こえたよ」

父親が笑いながら言う。


「でしょ? お父さん信じてなかったでしょ」

シモンが言う。


「そうだな。シモンの言うとおりだったよ。シモンは物知りだな」

父親が言う。


「ふっふーん」

シモンは得意気だ。


「みんなーご飯が出来たよー」

シモンの母親が声をかけた。


「はーーい!」

大きな声で返事をするシモン。


「お父さん競争だよ! どっちが先に帰れるか」

シモンは言う。


「おっ! やるか! 負けないぞ!」

と言って二人とも家に向かって走り出した。


すぐそばには誰にも知られず肉片となって散らばったビクトリア。

そんなことつゆほども知らないシモンたち家族がお互いに顔を見合わせ笑い合っていた。



「さてとどうするか」

オイゲンシュタット城の中庭でシドは考え込んでいた。

「まぁなんだかんだ言ってもビクトリアの能力は使えるからな。一応助けてやるか。しかし、ガヴォイセンを捕らえた男とは誰なんだ? あそこにいたのは役立たずばっかりだったハズ」


「あっ!」

シドは思い至る。


「まさかクロード? 確かにあの中でレベル6はクロードだけだった。倒せるとしたらクロードだけしか……まさかあいつが? いやそんなハズ……神器でも使わない限り黒龍など倒せない」

シドは一人納得する。


「おい! シド! なにをブツブツ呟いている! この事態どう収集つけるつもりだ!」

シドに渋めの声の主が言う。


「なにっ!」

シドがそっちを振り向く。するとそこには白髪の立派な服を着た初老の男性がいた。


「こ、これはコンスタンツ卿」

シドがうやうやしくお礼をする。


コンスタンツ卿のそばには国王であるオイゲンも立っていた。

「一体どういうことだ。説明しろ。なぜドラゴンの侵入を許した! お前が受注したガヴォイセンとの戦いは失敗だったのか?! 説明しろ! シド! 貴様のその失態! 極刑に値するぞ!」

コンスタンツ卿はそう言った。シドの目が絶望に暗く染まった。



まだざまぁ展開続きます。気になる方はフォローハート★お願いします。


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