第八章~動き出す計画と起きた誤算、そして明かされる裏切り~
大和を追い詰めるための、2マンの準備は着々と進んでいた。日にちや会場、時間についても恭也、陵介、恭一郎を中心に、話を進めていった。
だが準備を進めていく内に、plusαに対するいたずらや脅迫が増加、対バンを入れようとしても、会場側からNGを出されることが多くなった、これも全て大和の策略だった。
疑問に思った恭一郎は恭也に連絡を取ろうとするも繋がらず、恭一郎のイライラはピークに達しようとしていた。段々恭一郎自身も仕事に身が入らなくなり、plusαのスタッフたちの連絡も機能しなくなっていった。
そしてついに、光咲キ誇レのメンバーにも危害が及ぶようになった。初めは柊葉のスキャンダル、もちろんこれは事実無根で、柊葉自身も否定していたが、世間からの批判が相次ぎ、安全上の理由から一旦柊葉を休ませることにした。
次に美音が被害に遭った、とある日の帰り道、何者かに襲われ怪我を負ってしまう、その後もゆめ果と朱音には誹謗中傷の数々を浴びることになり、グループ内の精神状態は崩壊に近づきつつあった。
その事に耐えかねなくなった一輝から、信じられない発表があった。
【もうこの事務所を畳もう、このままだとメンバーだけじゃなく、事務所全体に崩壊の流れが行きかねない、スタッフも今こんな形だし、止むを得ないけど、解決策はそれしかない。】
和奏、美樹、誡南、夕凪、陵介は反対したが、恭一郎は悩んでいた、このままではどちらを取っても彼女たちを裏切る結果にしか繋がらない。事務所内に暗雲が立ち込めていた。
その時、ある人物が助けを求めてきた、セブンスターのスタッフでもある、光と涼平だった。
【助けてください、大和社長に2マンのことがバレて恭也さんたちが捕まりました、このままでは命の危険もあると言われました。】
恭一郎は今の話を聞いて疑問に思ったことがあり、思いきって2人に聞いた。
【計画がバレた?何故計画がバレたんだ。】
この質問に、光がこう答えた。
【実はあの密談、既に盗聴されていました、恐らくこれも大和社長の指示でしょう、それを知った社長は、敢えて最初は逆手に取り2マンを行うことに賛同してくれてました。
でも怪しいことを悟った恭也さんは社長の動向を探ることを始めました、あなた方に連絡が取れなかったことも、この事があったからかと思います。
でも、それも直ぐ社長にバレてしまい、恭也さん、あずささん、紫音ちゃん、優花ちゃんが捕まってしまいました、自分達は必死に逃げながら、恭也さんに頼まれたことをしっかりとこなしていました、そして社長のとんでもない野望を知ってしまいました。】
【そのとんでもない野望ってなんなんだ?】
この恭一郎の言葉に、今度は涼平が全身を震わせながらこう言った。
【社長は今いるアイドルを全てこの世から無くし、アイドルそのものを自らの手で変え、その儲けを全て手に入れ、アイドルビジネスを悪用しようとしています。
そしてその収益の一部を暴力団にも垂れ流し、もし反抗分子が起こったとしても暴力団に助けてもらう、そしてイメージを完全に覆し、アイドル=反社会的シンボルにしようとしています。
ですから早く恭也さんたちを助けてください、、このままでは2マンライブどころの話ではなくなります、お願いします。】
この話を聞いた恭一郎は少し悩んだ末、この場にいた全員に話しかけた。
【わかった、思いきって助けに行くよ、恭也さんたちを助け出して2マンを成功させよう、もうライブも近いし、全ての問題を解決できれば、お客さんにだって満足行くライブをお届けすることが出来る。
ただ危険性があるから、行くのは俺と陵介だけにさせてくれないか、これ以上他のメンバーやスタッフに危害を加えないようにしたいからね。それに事務所には一輝社長がいる、一輝社長に任せてほしいんだ。】
この恭一郎の一言に、美樹と誡南が黙っていなかった、特に美樹は野球を通じて光と涼平とは仲良くなっており、助けるのに理由はいらないと感じていたからだ。
【俺と誡南も連れてってください、涼平と光がこれだけ俺たちに頼み込んで来てくれたんです、俺たちもそれに応えたいんですよ。】
美樹のこの言葉に、恭一郎と陵介は美樹と誡南を連れていくことを決め、和奏、夕凪と光咲キ誇レのメンバーは事務所に残すことを決めた。
恭一郎たち6人は、全員で恭也たちの足取りを辿った、そしてとある情報を手に入れた恭一郎たちは、街外れの古い倉庫に向かった。
倉庫に入ると、そこには数人の男と大和社長がいた、それに恭也たち以外にCASIOPEAのメンバーも捕まっていた、CASIOPEAのメンバーの動きに気付いた大和が紐で縛り、全員を監禁させていたのだ、それを見た恭一郎は大和に対し、こう言い放った。
【あんたが大和忠正だな、色々話は聞いてるよ、自分の儲けのために数々の人たちの夢を奪ってきたこと、今回の俺たちのグループを襲わせたり、事務所に対して必要以上な脅迫、恭也さんたちを誘拐して2マンの真の目的を潰すこと、そしてあんたの野望のこともね。
あんたそれでも会社の経営者かよ、それで経営者を名乗って恥ずかしくないのかね、恭也さんたちを助けだし、ライブを成功させる、そしてあんたの野望をこのライブでぶちまけ失墜させてやるよ。】
この言葉を聞いた大和は、余裕の笑みを浮かべながら恭一郎にこう言い放った。
【ふん、お前こそ全く状況が掴めてないようだな、こうなることは既に予測済みなんだよ、だから俺はもう次の手を打った、おい、後ろを見てみな!!】
その一言で恭一郎は後ろを振り返った、するとそこに一輝、夕凪、和奏と光咲キ誇レのメンバーが現れた、一輝の手にはナイフがあり、夕凪、和奏とアイドルメンバーを人質に取っている、恭一郎は目を疑い、一輝に語りかけた。
【一輝さん、あんた何やってるんだよ?女子スタッフとアイドルを人質に取って。】
一輝も恭一郎の言葉を聞いて、本性を見せるかのように語り始めた。
【ふん、正直黙ってたけどな、俺はもとからあんたらの仲間じゃねえ、全ては大和社長の指示で動いていただけさ、あの会合のことを大和に流したのも、そっから光咲キ誇レに対する誹謗中傷やトラブルも、そして事務所を畳もうとしたのも、全ては大和さんの指示通りに動いたまでさ。】
その一言で、一輝と大和はグルだったことを悟った恭一郎、実は一輝は恭一郎と陵介に会う前から、大和の手下として働いていた。そして大和の指示通りにことを進め、この機会を狙っていた。
今まで支えに入っていた一輝の裏切り、恭一郎たちに最大のピンチが降りかかろうとしていた。
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