第4話 新人 sideナスタチウム


 カランコエがナスタチウムに所属したそのあと。地下室ではメンバーたちがカランコエについての話題で盛り上がっていた。






「随分と面白い子ねぇ、さっきの男の子。ええっと…たしかカラン?君だったかしら。」

「『あなたを守る』美しい友情だね!僕の美しさには到底及ばないけれどさ!」

「そうだな!アキレアにあんなに圧を掛けられておきながらキッパリ言い切るとは!なかなか研究しがいのありそうな少年だよ!!」

「カランのやつのこと、俺は気に入ったぜ。初めはただのナヨナヨしたガキだと思ったが、命の危険があると脅されながらもアイツ何でもするって言い切りやがった。これは誰にでもできることじゃねえぞ。」


 どんなに強い信念を持つものも命の危険がある、そう脅されてもなお自分の信念を貫き通すのは簡単なことではない。それはこの場にいる誰もが知ることであった。


「おい!さっきから無言のケシとギボウシはどう思うよ!」


 呼ばれたふたりがそれぞれ顔を上げる。

「え、あーごめん。ケシ眠くてなんも聞いてなかった。」

「私は特にこれといって言うことは無い。危険を承知の上で本人が決めたのだから好きにさせればいいだろう。」

 どうやらこの2人は既に興味が薄れているようで直ぐに睡眠と読書に戻ってしまった。


「まあ、たしかにあの質問に対してすぐに返事もできねえような奴はこっちから願い下げだけどな。」

「それもそうよねぇ、ふふ。」




                . . . .

「それよりも私はカランの使える特殊能力の方が気になるぞ!彼はわざわざ自分の花の名を省略して周りに呼ばせておる!これは特殊能力に影響するのか?くっ研究者の血が騒ぐ!」

「落ち着きなさいプラタナス。たしか『あなたを守る』というのはカランコエの花言葉のはずだ。つまり彼は花言葉を守れていない自分にその名を名乗る資格はないとかそんなようなことを考えているのだろう。」

「なるほど!カランのやつ、随分と律儀なんだな!普通自分の花の名は正式名称で呼ぶものなのに!」

 この国では必ず一人一つ生まれつき体に花の痣が刻まれていることから皆自分に刻まれた花の名を自分の名として名乗るのが古くからの風習である。また、皆自分の花の名をとても大切にしているためわざわざ略称で呼ぶ人などは滅多にいなかった。



「プラタナスの言う通りだ。最近はタンジーの動きも以前より活発化しているようだし、我々は常に人手不足だからカラン君にも早く特殊能力を習得してもらわなくてはいけないね。」

 

 ナスタチウムのメンバーはここにいる面々だけではないにしろ敵であるタンジーはとても大きな組織であり、また悲しい現実ではあるが戦いの中でメンバーが欠けてしまうこともある。

 カランコエには伝えなかったが、既にナスタチウムはタンジーとの接触を果たしているのだった。



「カラン君の指導には…そうだスイセンにお願いするとしよう。」


 リンドウから名を呼ばれたスイセンが大きく高笑いをする。

「僕かい!!ハッハッハ任せてくれたまえ!!」


「な!ちょっと待てよリンドウ!俺にやらせてくれよ!」

「そうねぇ、私もやってみたいわ。」

「私もだ!カランの特殊能力を調べるチャンス!逃す訳にはいかない!」

 周囲から反論の声め飛ぶがリンドウはそれを制する。


「大丈夫。今回はスイセンが適任だよ。それに今回、ほかのみんなには頼みたい仕事があってね。」


 『仕事 』という単語に反応し皆が話すのを辞めリンドウのことを真剣に見つめる。


     . . .

「最近、ローズを見かけたという情報がこちらに入った。」



 部屋の空気が一瞬にして冷たくなる。


「おいリンドウ。貴様その情報は確かなんだろうな。」

「確かかなんて関係ないわ。アイツがまた姿を現した可能性が少しでもあるのなら今回こそは絶対に逃がさない。それだけでしょう?」

「あいつは今度こそ俺たちが捕まえてやる…もう好きにはさせねえ。」







「さあみんな、敵は今この瞬間も猛威を振るっている。これ以上彼らを好きにさせてはいけない。ナスタチウムの花の名にかけ、必ずや我々に『勝利』をもたらすと誓おう。」









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現時点で判明している花の名一覧

(作中ではまだ明かされていない花の名あり)


主人公⇸カランコエ

幼なじみ⇸不明


【ナスタチウムside】

リーダー⇸リンドウ

厳つい男性⇸アキレア

美しい女性⇸カトレア

研究者⇸プラタナス

自分が大好きな男性⇸スイセン

真面目な男性⇸ギボウシ

常に寝てる人⇸ケシ

その他未登場キャラ有


【タンジーside】

敵(?)⇸ローズ

全貌不明


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