第13話 恋の華
とんでもない状態になっている。
俺は思いながら.....部室で待っているとツツジ先輩が戻って来た。
情けないな俺は、と言いながら。
何があったのだろうか、と思いながらツツジ先輩を見る。
見失った、とツツジ先輩が切り出す。
「お前は何をしているんだ?ツツジ。アホか」
「.....静.....」
「見失うな。肝心な時に」
「.....そうだな。.....なあ。タッチ」
「.....な、何でしょうか?」
「お前なら分かるか。.....燐。アイツの居場所」
「.....正直分からんです。.....でも.....カンで良いなら探します」
カンでも良い。.....彼女を探してきてくれるか、とツツジ先輩は顔を顰める。
俺はその姿を見ながら、はい、と返事をする。
そして直ぐにドアに手を掛けた。
すると、タッチ、と声が。
俺は背後を見る。
「すまないな。ツツジの馬鹿野郎のせいで」
「.....いえ。全然構いません。.....むしろこういう事しか出来ないので」
「君は.....存分に活躍している。.....その分.....申し訳なさを痛感するよ」
「.....そう思ってくれるんですね?静先輩。珍しいですね」
「.....珍しいとは失礼だな君は。全く」
それから静先輩は苦笑いを浮かべる。
俺はその姿を見ながら、取り敢えず探してきます、と言いながらドアノブを捻る。
そして外に出た。
すると、私も探すよ、と声が。
背後を見ると未玖が立っていた。
俺は?を浮かべて未玖を見てみる。
「.....お前もか?良いのに」
「私が探したいの。.....だから.....一緒に、ね?」
「.....そっか。.....なら一緒に探そうか」
「.....うん」
そして俺は当ても無く動く。
そうして行き着いた先があった。
それは.....学校裏だ。
丁度壁が多く。
俺も滞在した事のあるボッチ空間だった。
☆
「.....凛花くん?」
「.....よお。やっと見つけた」
「.....あまり顔を見て欲しくないけど.....」
「.....それは知ってる。.....だから顔は見ない」
そして俺は.....燐の横に腰掛ける。
それから俺のその横に.....未玖が腰掛ける構図になる。
すると空間を空けてくれた。
俺は燐を見ながら空を見上げる。
うーぬ.....こういう時はどう声を掛けたら、と思ったのだが。
それを察してか未玖が先に口を開いた。
そして聞く。
「.....大丈夫?」
「.....うん。.....まあ.....うん」
「.....吹っ切れないよね。こういうの。.....だって私もそうだから」
「.....そうなんだ」
「.....そうだよ?こう見えても後悔ばかりだから」
そして胸を張る未玖。
今胸を張っても仕方が無いと思うのだが。
思いながら俺は溜息を吐きながら少しだけ横を見る。
すると俯いていた。
膝に顔を隠す様に、であるが。
「.....私.....ゴメン。逃げて情けないね」
「.....情けなくは無いんじゃないか。逃げるって事も.....大切だ」
「逃げる事は負けじゃ無いしね。だって私だって逃げたし」
「.....有難う。2人とも優しいね」
顔を上げながら柔和な顔をする燐。
しかしその顔は破顔していた。
つまり泣き顔だ。
俺は.....その姿に眉を顰める。
すると.....その顔を同じ様に見た未玖が抱きしめた。
「.....!」
「逃げる事は負けじゃない.....だって.....私も逃げた。.....だからね。燐。.....私思うの。.....まだ諦める事はしないでほしいって」
「.....でも.....もう無理だよ」
「恋は.....終わりじゃない。.....だって.....私だって凛花くんが好きだしね」
「.....え」
「え」
暴露するな!!!!?
俺は真っ赤になりながら未玖を見る。
何を暴露してんだ!!!!!
すると未玖は、もう察しているでしょ。貴方も、とニヤニヤする。
そして燐を見た。
「.....燐。好きになるのを変えるのもあるの。.....こうやって流れていくんだよ。色々とね。まあ私の場合は.....あり得ないけど.....ゴメン。説明にならないけど.....とにかく好きって気持ちを大切にしてほしい」
「.....素敵だね。.....それ」
「.....うん。応援したいの。私。燐を」
「.....」
やれやれだな。
此処で俺の話を持ち出すとか.....。
俺は赤くなって頬を掻く。
そうしていると燐が、少しだけ勇気が出た、とニコッとした。
それから空を見上げる。
「晴れてきたね」
「そうだな。ちょっとばかり小雨が降っていたけどな」
「こういう晴れの時って良いなって思う。.....戻ろうかな。.....うん」
「.....その意気だね。ぐっじょぶだよ」
「.....有難う。凛花くん。未玖さん」
そう言いながら俺達は部室に戻る。
まあ.....結論から言って.....負ける事もある。
だけど勝つ事もある。
恋の戦争は誰にも分からない。
そんな曖昧な理論で.....今は成り立った。
まあとは言え.....まだまだ色々ありそうだが.....。
俺モブなのにな。
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