ぎぬぬ

第11話 告白と新しい道

さて何だか知らないが小説を書く事になった。

俺が、である。

その為の素案を纏めていたのだが。

とんでもない事を忘れていた。


小テストがあるのだ。

それで部活の一員で取り敢えず試験勉強、という形になった。

どういう感じかというと.....土日合宿。

それも何故か静先輩の家で、だ。

ツツジ先輩、俺、燐、そして美玖の4人でやって来た。


というか泊まれるのか?これだけの人数で?

俺は思いながら顎に手を添える。

何だかその.....燐にもかなり裏がありそうな気がするし。

波乱万丈のお泊まりになりそうな気がする.....。


「うちは元々、旅館だったんだ。今はやってないけど.....それで広いからね。泊まれると思うよ」


「ああ。そうなんですね」


「そういう事だよ。タッチ」


「.....タッチっての止めて下さい.....俺はタッチじゃ無いです」


「タッチはタッチだからね。.....スマホをタッチ!」


「下らない事を言っている場合ですか」


もー。かったいなぁ、と静先輩は頬を膨らませる。

俺はその姿に苦笑いを浮かべる。

そして行っていると。


突然だが燐がツツジ先輩に向いた。

それから、ツツジ先輩。私の事.....どう見えます?、と聞く.....今!?

驚愕しながら俺達は顔を見合わせる。


「.....え?.....良い後輩だと思っているぞ。お前の事は」


「良い後輩以上の関係になりますか?」


「.....え?.....それはどういう.....」


「私。ツツジ先輩が好きなので。.....だ、だから.....負けたくないんです。静先輩に」


「!?」


今告白!?

俺は驚愕にまた驚愕する。

それから見ていると。

静先輩が、ほほう、とニヤッとした。

そして悪魔の様な笑みを浮かべる。


「私を好きだという男を取ろうとする。.....良い度胸だね。激おこぷんぷん丸だよ」


「例え.....例えそうであっても付き合っている訳じゃ無いですよね。じゃあワンチャンあると思っていますから。負けないです」


「ほほーう?言うねぇ.....?」


「.....」


困ったもんだな。

静先輩と燐は火花を散らしながら.....バトルをする。

俺は何を見せられているのだろうか。


何というか俺を好いている訳でも無いリア充の戦いなんぞ見てもその。

仕方がないのだが.....。

思いながら俺は額に手を添えつつ。

見ているとツツジ先輩が俺に耳打ちしてきた。


「燐は俺がずっと好きだったのか」


「.....そうですね。.....何かそうみたいです。クラスでも言ってましたから」


「.....そうなのか.....困ったものだな。俺はどうしたら良いと思う」


それを俺に聞くのかよ。

俺は思いながら.....先輩を見る。

顔を引き攣らせながら、だ。

だけど先輩は本気で悩んでいる様だ。

だとするなら.....そうだな.....。


「『自分の胸に手を当ててみな。心に悩ませるんだ。本当の好きを考えるんだ』」


「.....お前らしくもない格好良いセリフだな。ラノベか」


「.....そうですね。恥ずいですけどラノベです。.....でもなんかこれって理解出来る感じはします。本当の好きってのは自分が決めるんじゃなくて心が決めるってのは」


「.....まあ確かにな。.....好きって折角後輩が言ってくれているんだ。.....じゃあ男らしく覚悟を決めないとな」


そんな感じの会話をしていると。

じゃあ凛花も覚悟を決めるの?、と期待の眼差しで俺をみてきた。

何だよそれ、と思いながら未玖を見る。

俺が何で覚悟を決めないといけない。

思いながら首を振る。


「.....俺には好きな人は居ないからな。そんな事を考えても意味無いだろ」


「.....そ、そうなんだ.....うん。そうだね。あはは」


「.....???」


何でそんな反応しているのだ。

少しだけその、ガッカリな感じを見せる。

ガッカリって何だガッカリって。

意味が分からないのだが.....、と思っていると直ぐに顔を上げて意を決する様な感じを見せた。


「.....でもそれだったら、ちゃんす、はあるよね」


「.....だから意味が分からん.....」


意味が分からない.....。

どう反応したら良いのだろうか?

思いながら.....バトルをしている燐を静先輩を見る。

リア充ってのは面倒な存在で訳が分からないな.....うん。

改めて.....そう思えた気がした。



何だか最近、俺の周りが騒がしい気がする。

それも俺を巡って、だ。

何だかそんな気がしてならない。


俺は?を浮かべながら首を傾げつつの日々だった。

そもそも何故俺?

静かにさせて欲しいのだが。

だけど.....そんな静かな生活をしたいと思っているのだがリア充の生活をしているよな俺も、だ。


「.....」


ボーッと課題をこなす休憩中に外を見る。

他のみんなも休憩している。

元旅館だけあって.....相当に活用の部分が大きい。

少しだけ古ぼけていたが問題無いぐらいだ。

仮にも温泉にも入れるしな。


「あ。こんな所にいたんだ」


「.....何だ。里見か」


「.....里見じゃないよ。.....ほらほら」


「.....未玖」


「宜しい」


何を言わすんだよ本当に。

俺は考えながら静先輩を恨む。

人の名前を.....っていうか女子の名前を下で呼ぶとか。

嫌にも程があるだろう。

それに未玖もきっと嫌だろうしな。


「.....ねえ。何を見ているの」


「.....外の景色だな。夕焼けを見ていた」


「.....何で?」


「.....何でってそりゃ.....まあ暇だからな。スマホばかり見ていても.....楽しく無いだろう。今日は何だか疲れそうな日になりそうだからな」


「.....そうだね。あはは。騒がしいの良いよね」


そんな感じで会話が途切れた。

何だか.....居心地が悪い。

思いながら.....俺は隣に腰掛ける未玖を見る。

何故横に.....と思いながら見る。


「.....ねえ。.....君は好きな人は居ないの」


「.....何だいきなり。そういうのは居ないって言っただろう。そもそも俺はそういうのは好きでは無いんだ」


「.....そうなんだ.....えっと.....」


「.....あのさ。未玖」


「な、何!?」


驚く未玖。

赤くなりながらだが.....?

俺は聞いてみる。

聞いてみたかったから、だ。

そして向く。


「俺の名前を呼ぶの.....嫌じゃ無いのか?.....だって.....ボッチだぞ俺は」


「.....そうだね。.....嫌じゃ無いもん」


「.....そうなのか。.....それは良かった。無理させているんじゃ無いかって思ったんだ。だから安心した」


「.....そうだね。.....ねえ」


俺を笑みを浮かべて見てくる未玖。

そして赤くなりながらモジモジした。

その姿に首を傾げながら居ると未玖が立ち上がる。

それから.....俺を見てくる。


「.....君は.....カンが強いから.....早く気が付いて欲しいな」


「.....え?」


「.....じゃあね.....うん」


そして赤いまま、そそくさ、と去って行く未玖。

いやいや何だってんだ一体?

思いながら.....俺は溜息を吐くしか出来ず。

もどかしい気持ちで外を見る。

訳が分からないんだが。

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