第9話 里見の幼馴染の願い

3日目の借金弁当。

何か手を抜き始めた感じだった。

それはなぜかと言えば.....サンドイッチなのだが.....ロー◯ンじゃねーか。

だけどそう思いながらだったが、今日忙しかったらから.....ごめん、と悲しげに向く里見に何も言えない。


これはこれで仕方が無いと思う。

それにこれだったら値段は分かり易いしな。

良かったと思う。


思いつつサンドイッチを噛み締めながら、そういや里見。今は幼馴染とはどんな関係になっているんだ、と聞いてみた。

何だか気になっているしな。

あれから何の変動もなく.....だから。


「.....アイツの事は聞かないで.....」


「.....お、おう」


炎が燃え上がる。

まるでガ◯ダムの様に、だ。

俺はその姿に困惑しながら苦笑しつつ咀嚼する。

そして盛大に溜息を吐いた。

それから、なあ里見、とまた向く。


「何?凛花」


「.....止めろって。噂が立つだろそれ」


「良いじゃない。凛花って。.....華麗なる花って感じ」


「.....俺は目立つのは嫌いなんだ。配慮してくれよ.....」


「配慮?してるつもりだよ?」


してないって。

俺は額に手を添えながら盛大に溜息をまた吐く。

それから.....ジト目で里見を見る。


だが里見は直ぐに話題を変えてしまった。

そう言えば君が救ったなぎなぎの事なんだけど.....、と切り出す。

俺は?を浮かべて里見を見る。


「なぎなぎってお前.....名前変わってんぞ」


「リア充ってそんな感じだよ?アハハ。呼び名なんて変動するよ」


「.....そ、そうですか」


よく分からないっすね。

俺は思いながら.....里見を見る。

すると里見は俺を見ていた。

そして柔和になる。

今日の放課後は大丈夫?、と聞いてきた。


「.....ああ。見学だったな。.....大丈夫だぞ。取り敢えず」


「.....良かった。じゃあ君と一緒だね」


「俺と一緒にって嫌じゃね?.....何だか」


「.....そんな事無いけどな。私は」


「.....え?」


俺は???を浮かべながら里見を見る。

里見は少しだけ紅潮して笑みを浮かべて俺を見ていた。

目をパチクリする俺。


それは.....つまり?

と思ってしまうのだが.....まあ無いよな。

俺は考えつつ首を振ってから里美に弁当箱を返した。


「今日は有難うな。美味しかった。お前のオススメ」


「.....そ、そう?良かった。.....で借金は.....」


「.....そうだな。400円マイナスで良いか」


「うん。妥当だね」


それから立ち上がる俺と里見。

そして笑みを浮かべてから移動を開始.....と思ったら。

何かカメラのレンズみたいなの.....が。

俺は、!?、と思いながら見ると。

そこに部長が居た。


「ほほーう。まさか美少女と一緒に弁当を食べるとは。良さげじゃないの」


「.....先輩。そういう関係じゃ無いですから」


「.....しかもお相手は5本指に入る美少女と来たもんだ。.....全くやるねぇ」


「先輩。聞いてますか。撮ったものを消して下さいね。後で」


何しているんだコイツは。

俺は思いながらカメラを取り上げようとするが。

カメラを先輩は直し込んでしまった。

本当に消してくれよ頼むから。

噂になったらそれがキツい。


「もしかして読書部の?」


「そうだな。.....静先輩だ」


「.....おや?君は確か絡まれていた.....」


「.....はい。.....田中くんに助けてもらいました」


「ほほーう.....」


「そういう関係じゃ無いですからね。先輩」


じゃあどういう関係かな?

こんな美少女にお弁当を作ってきてもらうとかまるで夫婦だぞ。

とニヤニヤする静先輩。

あのな.....、と思いながら見る。

面倒臭い。


「まあどういう理由があるかは知らないが。.....君。もし良かったら読書部に.....」


「入ります」


「.....え?.....え?まだ最後まで言ってないんだが」


「.....私、決めていたんです。読書部に入ろうって。.....丁度良かったです。部長さん。宜しくお願い致します」


「でも君.....エースだよね?吹奏楽部の。.....良いの?」


「辞めますから。.....あんな奴と一緒なんて.....」


ゴゴゴと何か触れてはならない祟りを感じた。

俺はその姿に苦笑いを浮かべつつ静先輩を見る。

静先輩は、そうか。まあ君の自由だからな。人生は、と笑みを浮かべる。

それから手を差し出した。


「じゃあ.....その。今日から宜しく」


「.....そうですね。.....宜しくお願いします」


柔和な感じで事は進む。

するとそんな感じで居ると奥の方で.....男性が俺達に向かって手を振っていた。

あれは.....里見の幼馴染?


俺は思いつつ目を見開いて見る。

そしてこっちにやって来た。

どうやら里美に用事が.....、と思ったのだが。


「見つけたよ。田中くん」


「.....え?俺.....?」


「ちょっと話したい事があるんだけど.....良いかな」


「.....いや。良いけど.....何だ?」


里見は、キシャー!、的な感じで猫的な感じになっている。

警戒に警戒しまくっている様な。

そんな感じで、だ。

静先輩も目を丸くしている。

俺と里見の幼馴染は2人に挨拶をして.....その場から去った。


「ちょっと待って。何の用事だ」


「.....君は.....未玖が好きなのか」


「.....え?は?違いますが.....」


「.....そうなのかい?.....そうは見えないけど。.....まあいいや。.....実はね。君の周りが噂になっているんだよ。.....未玖が好きなのかな、って感じでね。.....それで今日話を進めようと思って」


「何の?」


「.....未玖を幸せにしてくれないか」


そう言われ俺は見開く。

思いっきり、だ。

そして真剣な眼差しのソイツを見る。

確かコイツ.....名前は田島晴雄(たしまはるお)だったな。

吹奏楽部のエースが何を言っているんだ.....?


「俺は後輩と.....その付き合い始めた。.....だけど未玖の事も放っておくつもりは無い。.....だから.....」


「.....いや。良いけど.....でもさ。お前.....何か色々な事を考え人に押し付けるのは良く無いと思うのだが」


「.....分かってる。だから君に土下座しても良い。俺は.....アイツの幸せを願っているんだ。人一番に、だ。.....君に興味を引かれているみたいだから」


「いや.....俺は.....好きって訳じゃ無いんだが.....」


そもそもに里見とはそういう関係では無いので。

俺は思っていたのだが.....何だか胸につかえる感触があった。

?を浮かべつつ胸に手を添えていると。


真剣な眼差しで俺を見ていた。

何方にせよ.....未玖を守ってほしい。

と言って頭を下げた。


「.....頼む」


「.....」


俺は額に手を添えながらも。

参ったな、と思いつつ。

そのまま田島を見ていた。

困った、と思いながらだが.....。

何時の間にこんな事になってしまったのやら.....。


本日の残高 −3700円

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