第7話 アオハル=妬ましい存在

アオハル。

つまり文字通り(青春)って意味だが。

何というか妬ましいもんだな。

俺にとっちゃなんの関係も無いんだけど。

里見の言う事が分かるよ何となく、だ。

思いながらその日の5時限目の事。


俺は大欠伸をしながら外の景色を眺めていた。

それからボヤッとしていると。

1人の男が近付いて来た。

俺に対して、だ。


茶髪のイケメンで清潔感のある.....人間。

何だコイツ.....確か佐藤の言っていた、鹿島?葉月(かしまはつき)、だったな。

名前曖昧なんだけど。

覚えるのも面倒いし、だ。


「やあ」


「.....な、何でしょうか」


「.....おっと。俺にそんな改まらなくても良いよ。.....有難う。.....凪を救ってくれたんだよな?君は」


「.....別に、救った、と言う意味では無いんだが.....」


「ハハハ。まあそう言うな。.....君のお陰で凪は無事に救出されたんだから。.....本当に感謝してるよ。有難う。凪はお礼を言わないタイプだからね。.....俺から感謝の言葉をと思って」


「.....そうかい」


葉月は、もし良かったら僕と友達にならないかい。独りぼっちも気楽じゃ無いだろ?君の噂は予々だよ。色々と、と柔かに向いてくる。

何を言っているのだ。

俺は友人を作れるタイプに見えるか?

ジト目で鹿島を見ながら.....俺は盛大に溜息を吐いた。


「鹿島。申し訳ないが俺は一人が好きなんだ。.....御免な」


「そうか。.....まあ無理はしないでくれよ。.....何時でも声を掛けてくれ。お前もクラスメイトの一員なんだしな」


「.....」


そう言われるとはな。

見捨てられているものと思ったぜ。

俺は思いながらも、分かったよ、と返事しながら鹿島に向く。


鹿島は、うん。じゃあ、と手を挙げて去って行く。

俺はその姿を見送りながら.....盛大に溜息をは.....いた。

うわ!?浪川!?

俺をジッと見ている浪川が!


「お前は何をしている?!いきなり横に現れるな!」


「み、見てわからない?.....君の観察」


「見れば分かるがキモい真似をするな」


「あ、アハハ。.....その。相談に乗って欲しいって言ったよね。私。あれ.....今日の放課後でもあ、アリかな」


「.....え.....いや、まあ良いけど.....」


何処で相談する気だコイツは。

俺は思いながら.....浪川を見る。

浪川は悲しげなヒロインの顔をしていた。


私.....絶対に部長に負けないもん。

と言いながら拳を握り締める。

いや。もう勝ってるだろ部長は.....。

お前は負けだよ.....とは言えないので。

俺は黙って苦笑するしかなかった。


「.....所でなんか.....最近、里見さんと仲が良いよね。どうしたの?」


「.....借金を返してもらっているからな.....」


「え?」


「何でもない。.....取り敢えずは仲が良い訳じゃない。色々あるんだよ。人生には」


「.....え?.....え?そうなの?」


そうなんだよ。

納得してくれよ。

っつーか借金を直ぐに返せばこんな事にならないで済むのによ。


俺は思いながら額に手を添える。

そうしていると.....里見がやって来た。

それから俺を見てくる。


手で、表に出てほしい、とアピールしている。

俺は?を浮かべながら、忙しいな畜生、と思いながら立ち上がる。

そして浪川に挨拶してから。


それから歩いて里見に近付いた。

里見は俺に対して向いてくる。

俺は?を浮かべながら見つめる。

どうした、と言いながら。


「ね。デートしない」


「.....馬鹿なのかお前は。.....いきなり何を言い出すんだ」


「.....デート代奢るから。.....借金を早く返したい。それにアオハルもしたい」


「.....俺なんかとアオハルにならないだろ。何を言ってんの」


「君。思った以上に.....」


そこまで言い掛けてごほんと咳払いをする里見。

それから赤くなる。

俺はますます???を浮かべながら里見を見る。

そして里見は、まあとにかく。デートしよ、と笑顔で向いてくる.....つーか。


「デート費用があるなら返して.....お金。俺ラノベ買いたい」


「もー。最低だね。.....お金もそうだけど.....付き合って。お願い」


「.....意味が分からない.....」


こうして俺は何故か知らないが。

立て続けに予定に恵まれた。

嫌な予定でしかも俺に関係ない。

どうしたもんかね全く。


そう思いながら.....俺は額に手を添える。

そして.....盛大にもう何十回目かも分からない溜息を吐いた。

ため息吐きすぎてゲロりそうだ.....。

思いつつ里見に向く。


「もう良いか。帰っても」


「待って。.....あのね」


「何だよ.....」


「.....なほちんを救ってくれて有難う。.....怒られたのに.....有難う」


「.....はいはい」


俺はそんな曖昧な返事をしながら。

別にアイツの為じゃないしな、と思いつつ教室に戻る。

それから椅子に腰掛け.....た。


何故かまだ浪川が居た。

( ^ω^ )的な感じで、である。

不愉快極まりないのだが。


「怪しいな。やっぱり狙っているんじゃない?」


「.....俺はそんな感情は無いっての。良い加減に浪川、帰れお前」


「えー。怪しいなぁ」


「良いから。頼むから一人にしてくれ.....」


いやもう面倒い。

何でこうもクラスメイトに絡まれているんだ。

借金から随分.....風呂敷が広がったもんだな。

全く、と思いながら次のチャイムが鳴った。


それから.....勉強をし始める。

そう言えば小テストがある。

どうにかしなければ.....。


本日の残高 −4100円

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