第4話 何で救ったんだろうか俺は

丁度、旧書道部だった読書部の部室内。

簡単に言えばラノベが7割がた置かれている。

それから昔からありそうな太宰とかが3割がた置かれている。

どう考えてもラノベ有りすぎだろ。

多すぎるだろ。


何考えてんのよこの部活。

こんなにラノベ置いて良いのか?

学校だろ此処は?

いや、静先輩とツツジ先輩とかが良いなら良いんだけど.....そのまあ。

生徒会とバトる理由だな。これ。


「という事でまあ卒業して行ったオタク先輩方、生徒会の圧力を恐れて辞めて行った奴ら!それらを合計して.....足してもまあ人数が全く足りないっ!アッハッハ!」


「笑い事じゃねーぞ。静。どうする気だお前は」


「今は全く思い浮かばないが.....凛花は救世主だな。.....本当に感謝するよ凛花。本当に入ってくれるんだな?」


「え?.....あ、はい.....」


「オタク同士仲良くしような!アッハッハ」


俺はその言葉に改めて静先輩を見る。

丸眼鏡にポニテ。

そして制服を見事に着こなしていて。

律儀に校則を守っている.....様に見える。

それから.....顔立ちはかなり凛々しく整っている美女だ。


そしてツツジ先輩。

巌の様な感じのガタイをしている。

昔はラグビーでもやっていたのか、と言える様な。

そんな感じだが.....柔和な性格をしている。

黒髪の短髪に笑みが絶えない。

顔立ちもイケメンに近い。


羨ましいもんだ。

全く、と思いつつ.....改めて太宰を見る。

よく見れば埃を相当に被っている.....。

まるでドレスの様に、だ。


オイオイ太宰が泣くぞこれ。

俺は思いつつ.....ラノベを見る。

そこに.....数多くの.....限定品が置いてあった。

マジか!すげぇ!


「マジカルキャミキャミの.....限定版のキャミキャミちゃんの人形だ!!!!!スッゲェ!!!!!」


「それはアニメ円盤発売後に限定品でその後に廃盤になっていたからな。.....アキバで10万円したがな。アッハッハ」


「誰が出したんですか!?スゲェ!本当に凄い!廃盤になっていて手に入り辛いのに!マジすげぇ!」


「.....まあ.....その。色々な金銭の通り道があるのだよ。若者よ」


目を逸らす静先輩。

ま。アカン。

まさかと思うがこれ.....部費で購入した訳じゃ無いよな?

俺は思いながら.....目を逸らす静先輩を見る。

ま。まあ良いじゃないか!、と焦りながら静先輩は笑顔になる。


「歓迎するよ。改めてね」


「.....俺もな」


「わ、私も」


俺に笑みを浮かべる3人。

こうして俺は.....相当に怪しげな部活の.....部員となった。

まあ何というかこれはこれでもう仕方が無い様な気がする。

断りようが無かったしな.....。

俺は額に手を添えながらそう思う。


「さて。そうとなったら活動範囲の説.....」


そこまで言い掛けた時だ。

突然ドアが蹴り破られるかの如く開いた。

それから怒鳴り込んで来る.....のは生徒会長だった。

ウェ!?、と声が漏れてしまう。


そして.....女性の生徒会長は猛烈な眼差し(死神の如く)の眼差しで静先輩を射抜いてみせる。

その眼差しには俺も小便を漏らしそうになるレベルだ。


当然の事だが浪川は撃沈した。

ガタガタ震えている。

そしてその死神は声を発した。


「.....このクソバカ!静.....貴様という奴は.....また部費の様々な部分をちょろまかしたな!」


「.....え?それって何時もジャン?嫁子。まあまあ良いじゃん。私との幼馴染の仲だしね?てへぺろ」


「アホか!絶対に駄目だ!ちょろまかして申請するな!!!!!.....まあでもそれは良い。今回の件は.....お前達の部員の件だ。この部室を存続させるなら5人必要だ。.....それは用意出来るんだな?約束の日までに」


「.....えっと.....」


「ただでさえ自慢が出来ない部室だ。.....お前達の行動は全て見抜いているからな。.....もし今回部員が集まらなければ全て凍結。お前達も解散だ。分かったな」


そう言ってそのままドアは静かに閉まる。

俺は顔を引き攣らせながら.....静先輩を見つめる。

困ったもんだねぇ、と言いながら顎に手を添える。

ツツジ先輩も、そうだな、と言いながら、だ。


「ねぇねぇ。凛花。そして燐。.....良い人居ない?」


「.....無理ですよそんなの.....」


「だ、だね.....」


「うーん。困ったもんだな。.....アイツもそろそろ堪忍袋の尾は切れそうだからな。.....今回はちょろまかすのは無理か」


「.....まあまあ。静。大丈夫だ。.....凛花なら静とも燐と仲良くなったのだ。.....別の女性と仲良くなれるさ。直ぐに」


何を言っているのか分からないんですがツツジ先輩.....。

俺は顔を引き攣らせて額に手を添えながら.....廊下を見ると。

女子生徒と男子生徒がごっちゃになりながら居る。

俺は?を浮かべながら見ていると。

どうやら女子生徒が絡まれている様だった。


「ん?どうしたんだ?外が騒がしいな」


「そうですね.....」


それから全員でドアを少しだけ開けると。

そこで.....里見が絡まれているのが見えた。

相手は誰かというと.....1年生の様に見えるのだが。

何だありゃ、と思いながら見る。

耳を澄ませてみた。


「2年生だからって調子に乗らないで。.....多勢はこっちなんだから」


「まだアピールしているの?貴方の幼馴染に対して。.....さっちゃんが付き合い始めたんだから手を出さないでよ」


「.....」


何やってんだアイツは.....。

里見。

確か.....幼馴染が1年の女子生徒に取られたよな?

それで.....何かまたやったのか?


俺は思いながら盛大に溜息を吐く。

さてどうしたものか。

エロゲのパターンだと此処でイベント発生だな.....。

例えば、救いますか、的な感じで。


「何だ。リア充の闘争の様だな。じゃあ閉めるか.....」


そこまで言い掛けた静さんの手を取る。

それから俺はドアを押し開けて廊下に出た。

そして俺は見知らぬふりをしてそのまま視線を感じながら.....隙をついて里見の手を勢い良く握ってからそれから駆け出す。

走れ!、と言いながら、である。


「あ!何アイツ!」


「意味分からねぇ!」


という1年坊の声を無視して駆け出す。

ちょ。ちょっと貴方!?、と声がするが取り敢えず逃げる。

そして.....中庭の方まで逃げて来た。


全く.....走るのも遅いのに勘弁してほしい。

思いつつ里見を見る。

里見もゼエゼエ言っていた。


「その.....部活中じゃ無かったの?」


「.....だからと言って無視出来んわ。あの状況は」


「.....でも有難う。.....貴方の事.....少し見直したかも.....また」


「そうかい。.....じゃあ俺、部活中だから.....」


それから戻ろうとした。

すると、待って、と声がする。

俺は息を整えながら?を浮かべつつ背後を見る。


その。本当に有難う、と笑みを浮かべる。

俺はその事に残高を増やそうかと思ったが。

まあこれは自らを動かしただけだし。

と思ってしまった。


本日の残高 −4750円

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る