第3話 一体何を見せられているんですかね?

取り敢えずは.....うん。

断るのも悪いし部室に行ってみようかな。

どうせこのまま家に帰ってもラノベを読むしか無いのだから。


それに取り敢えず俺も青春をしてみたいという事で行く。

読書部のドアをノックしてから開けてみた。

6月もそこそこの日に、だ。


そしてこんなものに遭遇した。

どうも部長と思しき人、3年生の女性。

とこの部活の副部長、3年生との駆け引きの様子に。

何これ?何を見せられているの。


「アンタさ。良い加減にし、しなさいよね。そ、その。私だって忙しいんだから.....」


「.....は?お前が忙しい?笑わせんな」


「私は読書部の部長なの!だからアンタみたいなのと.....」


「あのな。俺お前が好きだからこの場に居たいんだけど」


「なっ!?!?!は、はぁ!?/////」


うわー。

甘いですねぇ。

まるで砂糖でも弾頭に入れて投下した様な。

こんなに砂糖ぶち撒けたらそら腎臓も悪くなりますよ。

ふざけるなリア充のこんちくしょうめが。


俺はイライラして考えながら踵を返す。

もう帰るぞ俺は。

考えながら目の前を見ると目を輝かせた浪川が立っていた。

そしてそれと同時に部室のドアが開く。

3年生の女性の方が、おや?君は?、と言いながら出て来る。


「.....あちゃー」


見つかった事に俺は額に手を添える。

それから浪川を見つつ盛大に溜息を吐く。

すると浪川がいきなり頭を下げた。

それから、部長!新しい部員です!、と紹介をする。

いやいやちょっと待て.....何言ってん.....。


「燐!それは本当か!!!!?それは新しい部員か!!!!?」


それ、ってオイ。

浪川の名を叫びいきなり目を輝かせて大声を出す3年生の先輩。

俺はビックリしながらその顔を見る。

そして俺の手をブンブンと握ってから振る3年生の先輩。


「私の名前は山吹!!!!!山吹静だ!!!!!よ・ろ・し・く!!!!!」


「は、はい。俺は.....田中凛花です.....」


「凛花!?まるで女の様だな!!!!!アッハッハ!!!!!」


いやいや.....早速過ぎって。

いきなり痛い所を突くねこの先輩。

まるで育てた花を掘る様なそんな感覚だ。


俺は思いながら顔を引き攣らせて苦笑いを浮かべつつ.....見つめる。

そんな静先輩は俺を見ながら笑みを浮かべた。

するとその背後から更に人が出て来る。

騒ぎを聞きつける様にドアが開いて、だ。


「.....静?誰だその男は」


「新しい部員だよ!なんと.....燐が連れて来た!」


「へぇ?そうなのか。.....それはまた.....このヒヨコみたいなのが?.....あ。俺は山神ツツジっていうんだ。宜しくな」


言いながらツツジ先輩は笑顔を浮かべながら俺に握手を求めてくる。

そして歯を見せて笑顔を浮かべて俺を見てくるツツジ先輩。

いや.....初対面でそんな事を言うんだな。

俺は再びの苦笑いで手を握る。


この先輩も結構キツイもんだな。

まるで氷に燃え滾る鉄の玉を落とす様な。

そんな感じに.....まあ感じられる。


そうしていると浪川が、まあまあ先輩方!取り敢えず部室に入りましょう!、と手を叩いてから.....笑顔を浮かべた。

そして浪川はそのまま俺達に向く。


本当にまるでこの世界は幸せに満ちているよ、と言わんばかりのニコニコしながらの満面の笑顔な感じで、だ。

するとツツジ先輩が俺に向いてくる。


「ああまあひよこってのは冗談だが。しかし凛花。お前は花だな。.....そして俺もツツジで花だ。.....これは何の巡り合わせだろうな?アッハッハ」


「え?確かにそうですね.....それ考えてなかったです」


「おお確かに!これは巡り合わせだな!.....だったらやっぱり部員として入ってくれるか!」


「.....え?.....いや.....!?」


いやいや何だそれ.....無茶苦茶すぎるんだが。

俺は思いながら.....顔を思いっきり引き攣らせる。

当然ながら浪川もニコニコ笑顔で目を輝かせて見てくる。

非常に対応に困る様な有様である。


困るとしか言いようがないのだが.....。

俺は額に手を添えながら盛大に溜息を吐く。

そして俺は静先輩とツツジ先輩を見る。

期待の眼差しであった.....。



部室の中では俺はお茶を出された。

そして.....そのままお茶菓子も出される。

さっきイチャイチャしていた部室とは思えないぐらいに整っている?様に見えるが。


俺はビックリしながら見ていた.....のだが。

よく見れば真面目な本とラノベが混じって置かれていた。

俺は苦笑いを浮かべながら.....その状態を見る。

そうしていると静先輩が俺に向いてきた。


「それで。君はどうしてこの部室を知ったんだ?」


「.....まあその.....浪川がやって来て言ったんです俺に。.....もし良かったら部室に来てくれないって。.....それでやって来ました」


「そうかいそうかい。しかし君はボッチで有.....ゴホン!!!!!.....本当に来てくれて有難うね」


「ちょっと待て。今とんでもない事を言い掛けませんでしたか?」


「言い掛けてないよ?」


「絶対に言い掛けましたよね!?俺ってそんなに有名なんですか!?」


横を見る静先輩。

いやいや横を見ないで下さいよ!、と思い俺は慌てる。

静先輩は、大丈夫だ。君には輝かしい未来が待っている、と俺の肩に手を添えて笑顔を浮かべる。


浪川は、うんうん、と納得しながら頷く。

そうは思って無い様な気がする.....。

ただただ本当に顔を引き攣らせる状況でしかない。

俺は思いつつ額に手を添える。


「まあそれはそうと.....取り敢えずは来てくれた事に感謝しかない。この部活は終わりを迎えようとしているのだ」


「.....!?.....いきなりですね!?」


すると静先輩は俺に向いてきた。

真面目な顔で、だ。

そして苦笑いを浮かべる。

俺は?を浮かべる。


「.....いや。文字通り終わりを迎えようとしている。.....何故かと言えば部員が居ないからな。.....先程の件はまあ冗談だが.....取り敢えずは見学して行ってくれ。入るのもそうだが読書部もなかなか楽しいって事を取り敢えず広めてほしいんだ」


「.....成程ですね.....」


「そうなの。だ、だから.....誘ったの。.....田中くんを.....ごめんね。利用するみたいで.....」


「.....浪川.....」


しかしその。

思ったけど何かこれ悲しい感じだけど.....その。

俺ってもし良かったら入って欲しい展開になっているよね?

どうしたら良いのでしょうか。

俺は考えながら.....何十回目かも分からないが手を額に添える。


「.....でも運命はそうだが強制じゃないぞ。良いか凛花。.....勘違いはしないでくれ」


「.....あ、はい。.....あ、いや。.....えっと。もしその入るとしても帰宅部の俺ですけど役に立つんでしょうか?」


「.....え?それはつまり入ってくれるのか?」


「.....可哀想だからじゃないです。.....俺も青春してみたいなって思ったからです」


「有難う!それは.....予想外だ!!!!!」


静先輩は一気にパァッと明るくなる。

それからバンバンと背中をぶっ叩かれた。

痛いんやが。

そして浪川もツツジ先輩もそれなりに笑みを浮かべて俺を見る。

しかしこんなに明るくなるんだな。


人の助けに.....なるんだな。

こんな俺でも、だ。

笑みを浮かべながら.....部員達を見る。

思いつつ俺は.....爽快な嬉しい気持ちに久々になった.....のもあるし。

不安な気持ちに.....もなった。


本日の残高 −4750円

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