第2話 カツサンド=借金の味
里見未玖。
何というか.....そうだな。
外見としては黒の長髪に三日月の髪留め。
それから.....かなりの美少女と言える小顔に柔らかそうな唇。
スタイル抜群。
そんな感じで学校中でモテている。
男の幼馴染が居る.....のだが。
振られた様だ。
まあ俺に恋しているとか無いしまるで関係ないんだけどさ。
それに俺が恋している事もない。
だけどそのお願い。
真面目に5000円返してほしいんだが。
貸した俺も馬鹿だけど。
「.....」
俺は、5000円。5000円、と考えながら外を見ていると。
いきなり話し掛けられた。
リア充に、だ。
それも.....よく見れば里見である。
教室中が大騒ぎになった。
「.....え?何で?」
「マジかよ」
「え?アイツなんかに里見さんが.....?」
と、である。
里見さんは俺に向いて笑みを浮かべている。
何のご用事でしょうか。
俺は思いながらクラス中を困惑で見渡しつつ。
里見を見る。
「あのね。5000円に関してだけど.....」
「.....はい?.....あ。返してくれるの?」
「.....その。手持ちが無いの。もし良かったら私を好き放題にして良いからそれで精算出来ないかな.....」
「.....へ?」
俺は目をパチクリする。
それから里見を見てみる。
このアホ何言ってんの?、と思いながら、だ。
里見は少しだけ赤面しながら俺を見ている。
マジかよ、と思いながら、だ。
「.....えと。すまん。そういう趣味は無いんだが.....そもそもそれって犯罪だし」
「.....じゃあどう返したら良い?ごめん.....」
「.....うーん.....何か奢ってくれる?それで良いよもう」
「.....じゃ、じゃあお弁当を作ってくる!.....そ、それでどうかな」
そして里見は手を叩く。
昼飯で作ってくるってか?
俺は赤面しながらも、分かったよもう、と返事した。
それで返してもらおう。
昼飯を浮かせるしな。
考えつつ.....里見を見る。
里見は、じゃあまた後で.....、と去って行く。
俺はその姿に盛大に溜息を吐いた。
困ったな.....かなりややこしくなってきた気がする。
思いつつ目の前に視線を向けると。
そこではリア充。
つまり別のリア充が話していた。
会話をしている。
男子女子の2人だ。
付き合っていると噂の.....である。
このクラスって美少女多いよな。
考えながら俺は盛大にまたも溜息を吐いた。
嬉しくねぇな.....何だか。
☆
その日の昼の事。
俺は立ち上がってそのまま売店へ向かおうとした。
のだがその前に何故か慌てた様子で里美が帰って来た。
売店に先に行った筈の、である。
「ごめん。お待たせ」
そして俺に話し掛けてくる。
何でしょうか?
俺は困惑しながら目をパチクリする。
何だ一体。
「これ。カツサンド。そして飲み物。.....今日はお弁当を作ってないから」
「.....ああ。成程。有難うな」
「何時もこの時間に向かうでしょ?君。だから先に買ってきた」
「.....そんなに慌ててか?.....すまんな」
「借金、早く返したいし」
ですよねー。
俺は思いつつもカツサンドを受け取る。
っていうか俺カツサンドあまり好きではない。
考えながらもせっかく買ってくれた物にケチはつけられないと思い。
何も言わなかった。
「.....それで明日からなんだけど.....」
「.....ん?」
「.....外で飯を食わないか。俺は.....出来ればこの教室での注目は嫌だ」
「え?.....何で?」
「.....」
このクソリア充め。
俺は思いながらも何も言わずにそのまま再びの再びに盛大に溜息を吐いた。
それから?を浮かべている里見を見る。
そして、俺はボッチなんだよ、と小さく語る。
すると里見は何かを察した様にハッとして意気消沈した。
ごめん、と言いながら、だ。
やめて?そういうの良くないよ?心に。
「.....じゃあ.....外で」
「うん。頼むわ」
それから俺は里見と別れてから椅子に腰掛けた。
すると.....目の前のリア充のギャルっぽい奴が話し掛けてくる。
今度は何だ一体。
コイツ確か.....佐藤凪保(さとうなぎほ)だったっけ?
髪色が茶色の.....顔立ちは整っている美人っつーか。
ウザイ。
考えながら俺は見ていると。
その女が話し掛けてきた。
「アンタ。さとちんと仲良いの?」
「.....いや。そういう訳じゃ無いんだが」
「じゃあ何でさとちんと話しているの。買ってきてもらってんの」
「.....いや.....うん。事情はある」
ふーん。
話せない事情なんだ。
と俺に厳つい顔を向けてくる。
何だよ一体。
アイツには借金があるんだぞ俺に。
「あまり調子乗らない事。.....アンタ格下なんだから」
「.....はい.....」
言いながらウザギャルは去って行く。
何だそれまるで底辺のギャルから東◯大学に行くみたいじゃん?
しかしこれが俺のクラスの日常。
俺の日常、と言える。
全くな、と思っていると.....俺に対してまたも話し掛けてくる奴が。
何だ今度は、と思いながら見ると。
「あ。あの。.....田中くん」
「.....お前.....確か浪川燐(なみかわりん)だっけ」
「.....う、うん。.....その。えっと.....もし良かったら読書部に入らない?」
「.....何でだよ.....」
「.....い、いや!本ばっかり読んでいるから.....その.....と思って.....」
浪川はそう言いながら萎縮する。
そんな浪川の容姿だが.....小学生と間違われそうな容姿だ。
所謂ロリっ娘。
髪留めもキャラクタのグッズでしかも制服ぶかぶか。
つまり.....ロリ、だ。
コイツ読書部(文芸部に似た部活)だったのか。
「.....まあ.....見学には行く」
「.....あ、有難う!有難う!」
「.....」
去って行く浪川。
何だか今日は胃が痛い事ばかりだ。
俺は思いつつ.....カツサンドを食べる。
うわ。油っぽい。
考えつつ.....俺はその事でまたも盛大に溜息を吐いたのであった。
本日の残高 −4750円
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