第2話 予測される疑問とその答え
小説でも論証でも、書いている内容はQ&Aの連続であることが多い。
質問が書かれていなくても、内容は想定される問いへの答えであるのだ。
例
私は買った。
不完全な文であるから明白だが、何を、が抜けている。読んだ人間は、何を?を感じるだろう。
例
私は買った。恐ろしいものを。
恐ろしいものとは何か、気になる。
例
私は買った。恐ろしいものを。盗まれたはずの日本人形だ。
読ませる文章は、明らかに疑問を与える文章である。実のところ、小説なら最初の一文は不完全であった方が良いぐらいだ。ただし、何がを感じさせなければならないので、そこはうまくやらなければならない。
コンプリートセンテンス、という概念を知っているだろうか。
目的語のある文章は目的語を抜かすとコンプリートセンテンス。完全文ではない。
完全文を理解すれば、不完全文も作りやすい。
不完全文を敢えて作らなくとも、疑問の出てくる文章は作りやすい。疑問文を書けば良い。
反語表現とは、そういうものの一部だ。
例
彼は生きているだろうか。いや、いないだろう。
疑問文でなくても、疑問が湧いてくる文章は作れる。
例
貧乏な男は野良猫を気の毒に思った。
貧乏なのに猫をどうするのか、気の毒に思ったとして飼うのか、餌をやるのか、餌をやることはいいことではない、など様々な疑問や感想、ルールが思いつかないだろうか。
そして、書く側はこれに答えなければならない。
例
貧乏な男は野良猫を気の毒に思った。男が持っているのは、鰹節一袋だけだった。そして、これは、今日の男の晩御飯だった。
男と猫はどうなってしまうんだ。
このように、一文があったとして、何を疑問に思うのか、を明確に認識すると筆が進む。
文章を書く場合、まず疑問を引き起こすことを目的に一文目に手をつけて、そのあとは読者の関心事である想定される疑問に答えなくてはならない。
試験も同じで、この場面で当然問題となることは何か。疑問の内容自体が加点ポイントである。結論はブレるが問題意識はさほどブレない。試験でも疑問を外さないことが重要である。
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