第3話 マッチングアプリに載せる写真がない
気を取り直して、婚活を始めてみようと思った。でも、いきなり結婚相談所へ行くのではなく、まずはマッチングアプリとかで慣れた方がいいのではと考えた。いずれ結婚したい気持ちはあるし、結婚したいなら早めに動いた方がいいとは思うけど、結婚相談所はお金もかかるしまだ早い気がした。
随分前にスマホに入れたマッチングアプリを改めて探した。真剣度が高いアプリでOやZ、少し緩めのアプリでPやWなどがあるというイメージだ。もっとカジュアルなアプリも知ってはいるけどそれは入れていない。ちなみに、プロフィールはあまり書いていないし、特にいいねも送っていないせいか、誰かとマッチングしたことは一度も無い。
要は完全に放置してたのだけど、まずは誰かとマッチングできる所を目指すべきなのではと思った。それが出来ずに結婚相談所へ行ったら多分、何か月もの月会費を無駄にする気がする。
久々にアプリを起動すると、アプリからお勧めの女性が10人ほど紹介された。レストランで食事している写真とか、旅先で撮ってもらった写真とか、綺麗なプロフィールを作っている人が多い。趣味を見ると、食事、旅行、映画などと書いている人が結構いる。世の女性はそんなに一辺倒なのだろうか。
自分も食事に行くことはあるけれど、男で行く店と言えばラーメン屋、とんかつ屋、唐揚げ屋、焼肉屋、居酒屋とかになってしまう。旅行は男の中では行く方だと思うので、その方面で会話の取っ掛かりを探した方がいいのだろうか。あと、映画なら学生の時に結構観たので話ができるかもしれない。ただひとまずは、誰にもいいねを付けずに自分のプロフィールを見に行くことにした。
自分のプロフィールは、久々に見るとひどいものだった。まず写真がダサい。自分が写った写真をそもそもあまり持っていなかったので、使ったのは友達とBBQをした時に撮られた煙まみれの写真だった。差し替えようと思ったけれど今も良い写真が無い。
プロフィール写真は自撮りよりも、友達とかに撮られた写真を使った方がいいらしい。これは確かにそうだと思う。自宅で表情を作って撮った自撮り写真よりも、出掛け先で人に撮ってもらった写真の方が、その人の興味や自然な表情が分かるし、情報量も多く感じる。
しかしこの、汗だくTシャツを着て軍手をして、煙まみれで肉を食っている写真はどうなのか。写真を変えるならやっぱり人に撮ってほしいけど、友達で写真を撮る習慣のある人間は少ない。どこかに行った時に「アプリで使いたいから撮ってくれ」と言うしかないのだろうか。でも仮に頼んだとして、上手く撮ってもらえる保証もない。最終手段として親に撮ってもらう手もなくはないけど、それは気持ち的には避けたい。
プロフィール文も書き換えたいとは思ったものの、良いプロフィール写真を手に入れるハードルの高さに辟易して、アプリを閉じてしまった。今すぐに直すことは不可能だ。でもそのうち、全体的に考え直さないと。
とりあえず、友達と遊ぶ約束をして、どこかでそれとなく写真を撮ってもらうか……。
<つづく>
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