No.6 これがLvアップか

今日は初めてのダンジョンに挑む。

俺が向かっているのは家に1番近いFランクダンジョン『蘭奈川ダンジョン』に向かっている。


今日はダンジョンにモンスターが現れてから3日目。ダンジョンに関するスレやニュースで得た情報によると、Fランクダンジョンはあまりにも弱いから、規制とかないらしい。

ほとんど人も来ないそうだ。


最弱の俺にはもってこいの場所だ。


Eランクダンジョンからはワルモディの冒険者ランクをダンジョンと同じランクにしないと入ることが出来ないとか。

ダンジョンの踏破数とか能力値とかで自身のランクが上がってって、入れるダンジョンも増えていくという仕組みだ。


ワルモディの有用性にかなり驚きだ。

政府としても、これはかなりありがたい話だ。

ワルモディがなかったら、政府自身で政策を一から取らなければならない。

しかも頭の固い奴らが多い現状、とんでもない政策でよりいっそう世の中を堕としそうで怖かった。



そんなことを考えているうちに、蘭奈川ダンジョンに到着すると、予想通り人気はなかった。

蘭奈川ダンジョンも、先日行った鏡屋ダンジョンと同様、自然の中に溶け込む形で位置していた。


「よし。初めの1歩だ。」


そう意気込みをし、ダンジョンに入構する。


ダンジョンの中はいかにもダンジョンという感じの空間だった。

トンネルの中にいるような感覚だ。


俺はせっかくだから<ゴミ>を使って、モンスターに自分がゴミだと自負してみた。

なんて惨めなんだ…。


すると、前から誰もが1度は聞いたことがあるあの音が聞こえてきた。


"ポヨーン ポヨーン"


「この音はっっ!スライム!」


ちょっとスライムの顔(?)がひきつっているのは見なかったことにしよう。

ちょっと抵抗感を持つような挙動でゆっくりとこちらに弾んでくる。


「え…っと。スレ曰くFランクダンジョンのスライムは誰が殴ってもだいたい倒せるだったよな。よし。」


とは言っても俺は耐久1の紙甲装の状態だ。

油断大敵ということで、充分な警戒をし、スライムに勝負を仕掛ける。


「よし。行くぞ!」


"タッ"


「喰らえ!」


俺の渾身の一撃がスライムに直撃した。

が、決定打にはなっていないようだった。


大抵の人は一撃で倒せたとの事だが、俺のステータスじゃ仕方ないだろう。


もう一撃だ!


「はぁ!」


俺が再びスライムを殴ると同時に、ぼすっという音を鳴らしてスライムが消えた。


数秒後光沢のある宝石のような石が、床に落ちた。

これがいわゆる魔石らしい。


魔石を手に取ると、風化するように光となり、俺に体に入ってきた。


『Lvが2アップしました。』


「よっしゃぁぁあ!」


大して凄いことはしていないが、初めてのこの感覚に興奮が止まらなかった。


なにこれ楽しい。ぱない。


「いや、落ち着け、俺。こんなことは誰にでもできるぞ。よし。この調子で行くぞ!」


『Lvが2アップしました。』

『Lvが1アップしました。』

『Lvが1アップしました。』

『Lvが1アップしました。』


「よし!とりあえずこんなもんだよな。」


俺はスライム初討伐後、10体のスライムを倒し、レベルを7まで上げた。

こうして戦い終えると落ち着きが戻るが、さっきまでは興奮の真っ只中だった。


まあとりあえず脱引きこもりを成功させたんだ。これぐらいは許されるだろう。


「あとは、、ステータスだな。」


確か、ワルモディによるとLvが1上がると一律で能力値が5上がり、スキルポイントが10上がるらしい。


スキル取れば強くなれるんじゃないかという声もあるだろう。そうとも取れるが、そうでも無いとも取れる。


理由としては、攻撃スキルは完全に初期能力値依存で、俺がちゃんと使えるものは支援スキルぐらいだ。それもたいした効果のないものだが。


それでも攻撃スキルはとることに意味があるという。それは能力値補正だ。

攻撃スキルによっては能力値が○○上がるや、○○%上がるなどの補正がつくらしい。


それは置いといて、俺はステータスを開く。


------------------

ステータス


真柄 綾

Lv.7


体力:37

筋力:38

耐久:36

速度:40

幸運:38


スキルポイント:70


------------------


固有スキル:ゴミ


------------------


興奮してたせいか、全く気にしていなかったが、少し体が軽くなっている。


これがLvアップか…

悪いもんじゃないな。


「これどんどんLv上げればすごいことになりそうだな。」


そうやって感激に浸かる綾だった。

この感覚にまだ慣れない綾だったが、戸惑うことなく歩みを始める。


「帰るか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る