第2話 魔法使いのギフト✨😜✨✨✨💕

『これでトロローも晴れて魔法使いになれるッてェワケだァ〜ーー……!!』

 嬉しそうにジョーダンは電話の向こうで



「はァ……、なにをご機嫌にんだよ!!

 魔法使いだってェ……😒💦

 いくつになったんだ!! お前は!!」

 大丈夫なのか、ジョーダンこいつの頭は……。

 ワケのわからないコトで喜んで。



 カレも同級生タメなので今年で二十歳になる。



 しかし精神年齢は、中二の頃から少しも進歩がないようだ。


 いっぱしの良い大人が『魔法使い』だとか言って、狂喜乱舞するなんて、どれだけお目出度めでたいんだろう。




『なァ〜……、頼むから、お前の魔法でオレのハーレムを作ってくれよォ〜……!!』

 なおもジョーダンは夢のような話しを続けた。



「なッ、ハーレムゥ……😓💦」

 聞いていて、うんざりしてくるような夢物語りだ。



『そうそうオッパイの大きな美少女ばかりの【パラダイス・ハーレム】を……!!』

 まるで、厨二病真っ盛りのような願望だ。



「出来るか。そんな都合よく魔法なんか!!

 お前なんかのために!!」

 


『え、どうしてェ……、ケチケチするなよ!

 あんなに愛し合った仲じゃン!!

 ケッケケェ……!!』

 茶化すように笑ってみせた。



「ぬうゥ……、ふざけたコトを言うなァ!!

 誰が、お前と男同士で愛し合うか!!

 知らない人が聞いたら誤解するだろう!」

 サッと辺りの様子を伺った。


「……」

 通行人のひとりは歩きスマホをしている。

 しかし幸いにもこちらの話しには関心がないようだ。




『こうなったらオレとトロローでハーレムを作ろうぜェ!! ムチムチプリンプリンの美少女ばっかりの……!!

 夢の【パラダイス・ハーレム】だ!!』

 


「どんなハーレムだよォ……。パラダイス・ハーレムッてェ……!!

 いつの時代の死語だよォ。

 ムチムチプリンプリンッてえェ……!!

 断っておくけど、ボクは魔法なんて使えないからァ!!」



『えェ、どうして!! 二十歳の童貞ボーイは漏れなく魔法使いになれるギフトが貰えるンだろォ……!!』



「どんなギフトだよォ!! 童貞は漏れなく魔法使いにッてェ……、重度の厨二病患者か!!

 どっかのラノベじゃないんだから!!」



『なんだ。魔法使いになれるから、必死になって童貞を守ってきたんだろォ!!』

 


「そんなワケあるかァーー……!! 

 童貞チェリ魔法使いマホかァ!!

 だいたい、お前は、なんでボクが童貞だと言う前提で話しを続けてんだよ!!」

 まったく失敬なヤツだ。


 実際、ボクは童貞なので強く反論もできないが。



『まァ、オレからもバースデープレゼントを送ってやるからビックリするなよ!!』



「えェ、バースデープレゼント……?

 わかったよ。ここは駅からの帰り道なんだ。ウチに帰ったら、かけ直すから……」

 これ以上、厨二病真っ盛りのバカ話しに付き合いきれない。



『な、なんだよ。トロロー、切るなよ……

 寂しィ〜だろォ!!』


「ッるッさい!! じゃァなァ……」

 無理やり断って電話を切ろうとした。


『おいおいィ……!!』

 ジョーダンは何か言いたそうだったが、有無も言わさず通話を遮断した。

 これ以上、深夜の往来でバカな話しもできない。

 



 そうだ。もしかしたら……。




 この目の前の死神ジルは、ジョーダンのサプライズ・プレゼントなのかもしれない。





☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚


 




 そのジョーダンとの電話を切った直後のことだった。

 ボクの家は目の前だ。あとほんの数十歩と言うところだ。



 なんの前触れもなく閃光と共にボクの目の前に美少女のジルが現れた。

 


 一瞬、落雷が起こったと思うほど眩しい閃光だ。



 そして死神ジルと名乗る彼女は突然、上から目線でボクに宣告した。




『101日後に死ぬことが決定したわァ!!

 宜しくゥ……✨😜✨✨💕』

 さながら、深夜の通販番組のような明るいうたい文句だ。



 まるで小悪魔みたいにあどけなく微笑んだ。



「なッ、な、なな、なんですッてえェ〜ーーーー……😳💦」

 深夜にも関わらず、大きな声で叫んでしまった。



「えェ……?!」その瞬間、通行人が足を止めて、こっちを怪訝な顔で見つめた。

 サラリーマン風の男性だ。



 こっちは可笑しな魔女風のコスプレをしている美少女と会話の最中だ。


 不審に思われても仕方がないだろう。




『ああァら……?! 聞こえなかったかしら!!』

 ジルは微笑みを浮かべた。

 


「いえいえ、聞こえましたけど……。

 いたって耳は良い方なので!!

 なにを言ってるんですか。

 突然、目の前に現れて……」


『あァら……✨✨💕 事前告知する死神なんていないわよ。

 いつだって死神は突然、現れるモノなの。

 ホォ〜ッホホホ……✨😜✨💕』

 また高らかに笑った。



「いやいや、そうかもしれませんけど……

 なにを陽気に『死を宣告』してんですかァ……!!」

 どうせなら、もう少しシリアスに宣告して欲しい。



『だって、トロローみたいな童貞風情が生きていても意味がないじゃん!!』



「何なんですかァ〜……!! 童貞風情が、生きてちゃいけないッてェ……!!

 童貞ハラスメントですかァ〜!!」

 ついカッとして、大声でわめいてしまった。



「……😒💦」また近くを通りかかった通行人がチラッとボクたちの様子を伺っている。



 真夜中に童貞がどうしたとか、騒いでいるのだ。変な目で見られても仕方がないだろう。



「あのですねえェ……。いくらジョークでも101日後に死ぬなんて悪質ですよ」

 恥ずかしいので少し声をひそめた。


『あァら、別にジョークじゃないわよ!!』



「いやいやァ……、わかりましたよ。

 どうせジョーダンのバースデー・サプライズなんでしょ!!

 いくらでアイツに頼まれたんですか!!」

 さっきの電話でビックリするようなプレゼントを送ると言っていた。



 きっとこの美少女のジルがサプライズ・プレゼントなのだろう。








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