スパダリGo

野薔薇

第1話

「っえ……」


朝から何となく胃がおかしい。

なんか、ムカムカする。


「聖太郎大丈夫?」


と声をかけてくれたのは、幼なじみで今は同居している、三次隼人だった。


隼人は職場でもエリートで、高学歴で高収入だった。


隼人は聖太郎の背中をさすると、

「あったかいなぁ。大丈夫?」


と声をかけた。



「隼ちゃんは優しいな。」

ふと呟いた言葉は、隼人に聞こえてしまっていた。


「どうしたんだよ急に。俺はお前のこと大切だから、いつまでも優しくするぞ。」


隼人の手は大きくて、温かくて、とても気持ち良かった。


さっきまでの胃のムカムカもすっかり癒されたようだった。




「何かあったらすぐ言えよ?」


と言うと隼人は職場に行った。


俺は洗濯物を畳んで、家の掃除を始めた。



しばらく掃除機をかけていたら、何だか頭がズキズキし始めた。


すると、「グラッ……」

急に目の前がぐらついて、俺は座り込んだ。


座っているはずなのに、頭がぐるぐるする……そして、


「気持ち悪い……」



胃液が込み上げてきて、今にも吐きそうになる。しかし、ここで吐くのは避けたいと、俺の本能は思ったのか、口を抑えてトイレへ駆け込んだ。


トイレに着いて、吐こうとしたが、なかなか吐けなかった。「く……くるしい…………」

俺は今までにないようなな吐き気と、頭をかち割るような頭痛。そして立っていられないよう目眩がしたのだ。



「助けて……隼人」


俺は咄嗟に胸ポケットにあった携帯を取り出した。


電話をかけるのはもちろん、電話帳の1番上にいる、隼人だ。



「お願い……隼人、出て……」


祈るような気持ちでコールを聞いていた。

3コールくらいすると、


「はい。三次です」



朝会ったはずなのに、電話越しの隼人の声はすごく久しぶりに感じて、何故か涙があふれる。



「は、隼人……」


「ん?この声は聖太郎?声の調子が悪いね……どうかしたの?」




「助けて……吐きそ……う。」



俺の体力はもう限界だった。


隼人はそんな俺を察したのか、

「すぐ帰るから待っててね」


と言って、


「買ってきて欲しいものとかある?」


とスパダリを発揮した。



「ゼリーとスポドリ買ってきて……」


俺は息も絶え絶えに答えた。



隼人は、

「あと20分ぐらいで着くから頑張れよ。」


と言って電話を切った。




すると、

「ズキン……!」


今までに感じたこともないくらいの腹痛が俺を襲った。


俺は思わず蹲った。


胃のものが全てひっくりかえったんじゃないかと思うくらいの吐き気が同時に襲う。



俺は冷や汗でびっしょりだった。


「隼人……早く来て……」


するとまた痛みの波が俺を襲った。



俺は意識を手放した。










どれくらいの時間が経ったのだろう。


うっすらと目を開けると、


白い天井に仕切りのカーテン。腕には点滴……



「そっか……俺倒れて……」


「ようやく目が覚めたか!?大丈夫か……?」



すると横には心配そうな顔をした隼人が居た。




「ビックリしたんだからな。お前がいきなり倒れてて意識がなかったんだもん。慌てて救急車を呼んだよ。」


隼人の言葉は、いつもより早口で動揺していた。


「ごめんな。隼人」


隼人に謝る。


「無理するなよ?」


隼人はそう言うと、俺の頭をなでた。




「今日は病院でお泊まりだな。一人で大丈夫か?」


俺はこくりと頷いた。



「早く元気になれよ。」


隼人はそう言うと俺のおでこにそっとキスをした。



今日は1人だけどよく眠れそうだ。


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スパダリGo 野薔薇 @sayuki_mero

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