第17話 人を殺してる人がいたから攻撃したら殺されたんだけど?

今日は、東の森に住むトレントという魔獣を討伐する依頼を受けていた。


「ふぅ…無事に5体狩れたな。」


結構楽勝だったな。ステータスで攻撃すれば一撃で死んだし。


「帰るか。」


俺が帰路につこうとしたとき、


「きゃあああぁぁぁぁ!」


女の人の悲鳴が聞こえた。


「っ!?」


考えるより先に体が動いていた。

そして辿り着いた先を見て俺は絶句した。


「なんだ…これ……」


そこらじゅうが真っ赤に染まっていた。

その全てが血、血、血だ。


「おぉ!また俺に殺されに来た奴がいるか!」


そこには鎧を着、巨大な盾を持ってる男がいた。


「お前がこの人たちを殺ったのか?」


「そうだぞ!お前もすぐに殺してやるから安心しろ!」


俺はその言葉を聞いた瞬間に奴に近づいた。


「ほう!今の時代でここまで早く動ける奴がいるとは思ってなかったぞ!」


「舐めやがって!」


俺はこのとき気づかなかった。俺の動きをこいつは簡単に捉えていたということに。


「ふん!」


がきん!


「……っ!効いてないだと!?」


俺の剣は奴どころか、奴の鎧にすら傷を付けていなかった。


「速さはいい!力もいい!だが俺の防御力よりかは圧倒的に弱い!!」


そう言って奴は盾を振った。


俺はそれを避けた。

………つもりだった。


「ぐっ!!なに!?」


俺の剣を持った腕が血飛沫を上げながら宙に舞う。


痛い!痛い痛い痛い!


「なにを…した…?」


「お前が弱いだけだ!」


そう言いその男は盾を横に振った。





俺の上半身と下半身が離れた。

斬られたのだ。盾で。


「ぐぁぁぁぁぁ!!」


「まだ生きているか!もう終わりだ!」









そこに残ったのは…赤い血溜まりを作っている数人の村人の残骸と、上半身と下半身が離れた、首がない死体だけであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る