リュウト視点 VS冥界龍

さて、冥界への道はある。ちゃちゃっと冥界龍を討伐して帰るか。

そしてリュウトは黒色の穴に入っていった。


『…む?我が領域に足を踏み入れた者がいるか。すぐに葬ってやる。』

漆黒の龍はそう言った。




冥界龍とやらはこんなところにいるのか。ここはまるで、地獄だな。


「む?」


リュウトが目を向けた先には、金色の眼でこちらを見ている漆黒で巨大なドラゴンがいた。


『……鎧が動いている?』


漆黒の龍は首を傾げる。


「おっと、これは失敬。私はSランク冒険者のリュウトと申します。」


胸に手を当てお辞儀をする。


『…人間か。我輩は最強の龍。『冥界龍』ドラヴァーナスだ。』


「それではドラヴァーナス殿。…お手合わせを願いたい。」


そう言いリュウトは剣を持った。


『……よかろう。我輩が直々に殺してやろう。』


ドラヴァーナスは天に舞い上がった。


「…いざ、参るッ!」


『来い‼』


そして、戦いは始まった。


初めに仕掛けたのはリュウトだ。


「不可視剣…!」


リュウトがそう唱えると、リュウトが持つ剣は消えた。

否、消えたのではなく“見えなくなった”のだ。


『ほう、見えない剣か。初めて見たな。』


ドラヴァーナスも感心した。


「最強の龍…冥界龍殿。ここで討ち取らせて頂く。」


そう言ってリュウトは地を蹴った。

その速度は、ギルマスよりも圧倒的に速い。

だが冥界龍の眼はそれを捉えていた。


『龍眼』、それは全ての動きを見切れる眼のこと。

その眼でリュウトの剣筋を見切った。

そして尻尾を振り下ろす。

それを空中で身を捻り、回避するリュウト。


『小癪な』


冥界龍はリュウトが飛んだ先に腕を振り下ろす。


リュウトは空中を蹴り、更に高く飛躍しまたもそれを避けた。

冥界龍の腕は空を切った。


「剣技…『死速斬撃』」


『死速斬撃』と呼ばれた斬撃は冥界龍に向かってとんでもない速度で飛んでいった。

龍眼でも捉えきれないほどの速度だ。


『ぐぬぅ!』


血が舞う。冥界龍は傷を負ったのだ。そして、龍特有の硬い鱗を軽々と切り裂くリュウトに恐怖を覚えた。

だがそんなこと気にしないとばかりに冥界龍の口元に魔力が集まりだした。


「ふっ…最強の龍の息吹、見せてみろ!!」


『灰になり消えろ!』


冥界龍が放ったブレスはリュウトを飲み込もうとする。


「剣気術…『鎌鼬』」


リュウトが見えない剣を振るうと、斬撃が飛んでいった。これはただの斬撃ではない。全てを切り裂く斬撃なのだ。

そして冥界龍が放ったブレスも例外ではない。


『なぬ!?』


冥界龍の最強のブレスは、リュウトが放った『鎌鼬』により相殺された。

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