~とある男の手紙~









―――マーディル暦2015年、02、30






久しぶりだね、元気に過ごしているだろうか?


と、こんな書き始めも可笑しいかもしれないね。


だが君と離ればなれになってから3年も経つんだ。


本当、時が経つというのは早いものだよ。



早いと言えば、僕と君の愛の結晶は元気だろうか?


いや、元気に決まっているね。


この間君が送ってくれた写真を見ればすぐにわかるからね。


まさか君が最新の写真機を購入していたとは思わなかったよ。


でも、おかげで僕らの愛するわが子の成長していく姿がよくわかるから嬉しいよ。


3歳になったわが子の成長ぶりはどうだろうか?


きっと君のように心優しい子なんだろうな。


と、いうのはまだ早かったかな。


しかし将来わが子は何になるのだろうかな?


僕としてはやっぱり医者を継いで欲しいとは思っているけど、今の情勢では望まない方が幸せかもしれない。


何せ此方は未だ争いが酷くて中々休む暇も与えてくれないからね。


こういったものは早く終わって欲しいものだ。


旧国家と新生軍国の対立で僕らのような一般市民が巻き込まれるのは全く以て馬鹿げた話で



と、すまない。君には全く関係のない話を書いてしまった。


でも代わりの紙を用意するのも勿体無いからこのまま書かせてもらうよ。





実は今回手紙を出したのは他でもない、久しぶりに休暇がもらえそうなんだ。


と言ってもたったの一週間…君の元に着た頃にはまた直ぐに出発さ。


だが、それでも君と、わが子に会いたい。


写真ではなく、生の姿と生の声を聞きたいんだ。


君のところへは03月には行けそうだよ。


きっとそっちはこの時期でも温かいのだろうね。


考えただけで今からとても楽しみだ。




それでは、君とわが子に会える日を楽しみにしているよ。


愛するわが妻、わが子へ






                     ジノ・スターライト

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る