恋をしたんだ
後野さんと友達になりたい。
そのためには莉乃ちゃんともっと仲良くならないといけない。
莉乃ちゃんは独占欲が強いから、私が後野さんに近づくのをよく思わないはずだ。
だったら莉乃ちゃんの2番目になれば良い。
そう思ったから。
「莉乃ちゃんっ!」
「どうしたの?悔無。」
やはり莉乃ちゃんは後野さん以外には基本的にテンションが低い。
頑張らないと。
「り、莉乃ちゃんって後野さんのこと好きだよね?」
「...だからどうしたの?悔無。」
一瞬、恐ろしい形相だったように見えたけれどすぐに元の表情に戻った。
怒っていたみたい。
「私、二人の応援したいなぁって。
莉乃ちゃんも後野さんも可愛くてお似合いだと思ってるの!だから...」
「本当に?」
「うんっ!莉乃ちゃんは少し危うい考え方だけど、莉乃ちゃんが罪を犯してしまって、それがもしバレてしまったら後野さんといられなくなっちゃうでしょ?
だから、莉乃ちゃんの考える危ないこと全部
私が受け持ちたい!」
これが莉乃ちゃんが1番乗ってくれそうな提案。
莉乃ちゃんが今まで人を殺さなかったのは単に罪に問われるからで、それを誰かが受け持つという提案は彼女にとっても願ってもない申し出だろう。
「どうかな?」
「目的は?それを聞かないと任せられない。」
「後野さんと友達になりたいの。
勿論、莉乃ちゃん以上の関係を迫ったりしないし莉乃ちゃんや後野さんの意思を尊重するよ!!」
疑いの眼差しを向けていた莉乃ちゃんだったけれど、口角を上げた。
「わかった。
アリアと友達になること、許してあげる。
でも、絶対に私が許可してない会話はしないで。」
莉乃ちゃん、本当に使えるなぁ。
あれ、何で私こんな酷いこと莉乃ちゃんに思ってるんだろう。
莉乃ちゃんだって私の大切な友達で...。
親友になりたい1人で。なのに。
なんで莉乃ちゃんのことはどうでもいいって思えるの...?
「あ、斜洲井さん。」
「悔無がアリアと友達になりたいらしくって..
私にアリアと会わせてって頼んできたの!
アリアの意思に任せるけど、どうする?」
「勿論いいよ!じゃあ、悔無って呼ぶね!
そっちもアリアって呼んでよ!」
いとも簡単にアリアちゃんと友達になれてしまった。
「莉乃ちゃん、アリアちゃんありがとう!」
「そういえば、今日は朝から警察が下に来てるけどどうしたんだろう?
香奈ちゃんも連絡取れないし...」
「噂、知らないの?香奈、殺されたんだって。」
「えっ!?そうなの。知らなかった。」
何だろう、、
悲しいはずなのに。
悲しいと思わなきゃいけないのに。
そう思うほど、悲しいを生み出そうとするほど
何も感じない。
あぁ、知らなかったなぁとしか思えない。
私は狂ってしまったのだろうか。
いや違う。
私は...恋をしたんだ。
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