同類ね
前島莉乃side
悔無はどういうつもりなのだろうか。
香奈が死んだこと、本来ならもっと悲しがるだろうに...。
あんなに懐いていたのにその面影もない。
「莉乃...」
「巡」
巡は安全だ。
巡は私たちグループの全員を愛しているから
きっと香奈のことも悲しがって馬鹿みたいに
私にも同意を求めてくるだろう。
思考が読みやすい人の方が安全。
それは私が悔無をこれから使うにあたっても
大切なことだ。
「香奈のこと、やったの莉乃?」
「やったって?」
「殺したの、莉乃?」
「違うけど、どうして私だと?」
「香奈は莉乃のことが好きだった。
でも莉乃は後野さんのことが好きでしょう?
だから、邪魔になったのではないかって考えたの。」
まぁ、そうだろう。
私だって犯人を知っているわけでもないので
下手なことは言えない。
下手に人に罪を着せてそいつが犯人でなかった場合、私がより疑われるからだ。
今私に出来ることはいかに巡の興味を逸らすか。
でも、それも無理だろう。
先程の通り、巡は私たち全員を愛している。
その中の一人が死んだとなれば、解決するまで引きずるだろう。
それが普通の感覚を持った人間なのかもしれない。
私は普通ではないこと、それを自覚しているから何となくわかる...。
「私は別に貴方を責めるつもりはないのよ。
だって同類になっているのだもの。
親友の同じになれたこと、嬉しく思うわ。」
「は...?」
「あら、知らなかったかしら?
私も父を殺しているの。
罪には問われないって知っているけれど。」
巡も異常者だったのか。
やはり、私の感覚は狂っている...のか。
自覚はあれど実感は全く湧かない。
自分がおかしいことも、巡が喜んでいる理由も。
「私たちの中には愛が少し重い子が多いから
全く気にしていないわ。
愛って大切だから。
でもね、親友の間で隠し事をする方が私は嫌なの。
ねぇ、言ってよ。ねぇねぇねぇねぇ。」
目に光が感じられない。
己斐的に見開いた彼女の瞳孔が私のことを真っ直ぐ見つめてくる。
「き...もちわるい。」
巡は唖然としていた。
別にそんなことはどうだっていい。
私のせいにされたらアリアが。
アリアが殺人鬼の友達というレッテルを貼られてしまう。
アリアといられなくなる...!
それだけは何としても。
何をしても...!
「うっ...!」
私は手袋をつけて必死に巡の首を絞めた。
人があまり通らない視聴覚室前の廊下。
私だとわかる証拠はなにもない。
これでバレない。初めての殺人...。
「莉乃...っ!嬉しい。
私と、、そこまでしてっ、、同じに。」
「そんなわけない。
あんたはただの殺人者だっ!」
「違うのよ?私は貴方達と一緒にいたかったからっ!」
「やめてやめて気色悪いっ!
私はあんたなんか好きじゃない!」
「はぁ...?何言っているの?
好きでしょう?ねぇ、ねぇ、、、」
巡が私の手を引き剥がし体制を整えた。
「次はこっちの番よ。
罪になったって金があるんだからっ!」
「ぎゃっ...ぁ..ぁ..。」
意識が遠くなっていく。
寸分の狂いもなく頸動脈を絞められる。
「ぁ...。」
視界が暗くなった。
鈍い音が聞こえて自分が倒れたのだと気づいた。
「一部始終見させてもらったよ。
横田巡...さん。」
「後野...アリ..ア?」
「こんにちは。」
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