友達に
私にとって香奈ちゃん達とのグループというのは居場所。
虐められていた私を救ってくれた居場所。
その筈だった...。
小学生の頃から虐められっ子、中学生になつても高校生になってもそれは変わらなかった。虐める人は違っても虐められるのはいつも私。
それでいい、私がターゲットになることで
誰かが救われるなら。
でも苦しかった、辛かった。
そんなの当たり前。
私が人より少し頭がいいから?
私が人より少し痩せているから?
私が運動が出来ないから、トロいから?
どれだけ自分に問いても虐められる理由にはならない答えしか出てこない。
私は嫌な人間なのだろうか?
そんなことを考え続けていた。
後ろを向いて、下を向いて生きてきた。
家ではヒステリックなお姉ちゃんからの暴力や罵倒、自分にすごく自信のある妹からの自慢の嵐。
親は共働きで中々帰って来ない。
死のうかな...なんて考えた。
学校のトイレで一人閉じこもって持ちこんだ
鋏を首に当てた。
「ごめんなさい...血塗れになってしまうかな、発見者は怖いかな。全て私が悪いんです。
謝りますからどうか、どうか...許して。」
首に刺そうとした瞬間だった。
ゴンゴンゴン!
「な、何!?」
扉を強く叩かれた。
「すみません!緊急なんです!漏れる!!」
「えっ!?今開けます!」
この人がここで緊急事態になってしまっては
この人が虐められてしまうかもしれない。
「ごめん、急がせて!1番手前の個室だったから!」
「いいから早く入って下さい!!!」
久しぶりにこんなに大きな声が出た。
神様が自殺を止めてくれた気がした。
生きてみようかな...そう思おうと..思えた。
「ほんとに助かったよ!ありがと。
斜洲井さん!ごめんね、邪魔して。」
「う、ううん。大丈夫だよ。上坂さん。
むしろこっちこそ...。」
「ん?」
「何でもない。あ、あの。」
「なーに?」
「お友達...なりたいです。」
「え!?すんごい嬉しい!なろなろ!」
作れるんだ。こんなに簡単に、友達って。
前を向いたら良いことが起こった。
「この子達が私が一緒に人達だよー!
仲良くしよーな!あたしのことは香奈って呼べよ!」
「香奈...ちゃん!」
莉乃ちゃんと雛乃ちゃんは私を優しく出迎えてくれた。
後に巡ちゃんも加わってとても楽しい毎日だった。
でも、私は後にいわゆるいじられキャラになっていってしまった。
虐められている訳ではない。
仲のいい同士のものってわかってる。
だからこそ仲を壊したくないから言えない。
やめてって、辛いって...。
私が全部いけない。いじられることをした私がいけない。きっと何かが反感を買っちゃったんだ。
再びトイレに閉じこもって鋏を首に突きつけた。でも...。
「死ぬのも怖い...!」
トイレを出てしまった。
「斜洲井さん、鋏なんか持ってどうしたの?」
話しかけてきたのは後野さんだ。
莉乃ちゃんの想い人。
「な、何もないよ!なんかごめんね...」
「別に。でも、自殺だったら辞めときなよ。
どんな人でも生きてる価値はあるし楽しいこともある。無ければ作ればいいんだからさ。」
生きている価値...私にも。
後野さんと友達になりたいな。
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