食べまたしまいたい…
後野アリアside
「何をしてるの?雛乃。」
「莉乃が探しますよ。」
「何してるの?」
莉乃の友達がこんなことをしていては莉乃が傷ついてしまう。
もしも莉乃が傷ついて不登校にでもなってしまったら...?
もしも莉乃が本当は雛乃のことが好きで香奈に嫉妬してしまったら...?
香奈のことを好きな場合は?
大量の可能性が私の頭の中を駆け巡り私は
パンクしそうになる。
莉乃が私のことを好きなのは知っている。
だからこそ...心配なんだ。
元々、私は莉乃のことが嫌いだった。
少し前までは私に冷たかったし、私のことを見下していたんだと思う。
好きな子に近づくための踏み台...きっとそんな風に思われていたんだと思う。
私は勉強できないし、顔も中の中。
一般的で何の特徴もなくて...。
だから、特別な才能はないのに一部の人にのみわかる魅力を持つ莉乃に嫉妬もしていた。
でも、いきなり莉乃は優しくなった。
私の意思を尊重し、私にトロンとした視線を向けるようになった。
私は莉乃のことが嫌いだった...。
でも、今は大好きだ。
大好き過ぎて食べてしまいたい。
好き...好き...大好き。
莉乃莉乃莉乃莉乃莉乃莉乃莉乃莉乃莉乃..!
だから、莉乃がカナのグループに属している内は冷たくして分かってもらう。
貴方はそこにふさわしくないと。
もっと大空に羽ばたくべきだって。
その大空は私なんだって!
「何してたの?」
「何もしてないですよ?ね?香奈。」
「あぁ、もちろん。」
香奈の目が何かがあったことを物語っている。
別にそこはどうでもいいけど。
「じゃ、ばら撒くね。貴方が香奈を脅してたこと。私を見ろってアホみたいなこと言ってたのをさ。」
「別にいいですよ。私は香奈さえいればいい。貴方も莉乃も邪魔なんです。」
「そうなんだ。ま、いいけどね。
私も貴方のこと邪魔だと思っているから。」
胸に隠していたナイフを取り出して香奈の首を切り裂いた。
雛乃は目を見開いた。
こんなことをするなんて思っていなかったのだろう。
だって仕方がない。
莉乃は私がこの人達が嫌いだって気づいてくれなかったんだから。
「私がやったってチクッたらこの動画を先生に知らせる。警察にも。」
「これって...!」
スマホに入っている動画を見せるとより一層険しい顔をした。
「合成したんですか?」
「うん。因みに、警察に通報するなら私が有利だよ。私のお兄ちゃんが警察の偉い人...
だから。貴方の人生パーになっちゃうよ。」
雛乃は顔に付いていた血を拭って涙を流した。
「あげるよ。」
透明な手袋。指紋は付いていない。
これを雛乃に持たせれば事件の全ては雛乃の犯行になる。
防犯カメラなんてついてないから。
「じゃあね。くれぐれも下手なことはしちゃダメだよ。もし私が貴方を殺したら
刃物、持ってたもんね?」
釘を刺して部屋を出る。
雛乃の視線が突き刺さるけど気にしない。
私の全ては莉乃のためにあるんだから。
「莉乃...食べてしまいたい。」
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