私のものです

下川雛乃side


私はアリアを殺してあげることにしました。

ですが、巡が止めてきたのです。


「後には引けないから...」


とかなんとか言って。


私はそれでもいいからアリアを殺したいのです。

愛されている者が愛を受け入れずに向けた愛を贅沢に堪能しているアリアは罪人なのです。

私の中で有罪判決を下されたアリアは死ぬ運命であり、莉乃は遺体の前で一生泣き続ける宿命だと思うのです。


二人がいなくなれば私は幸せになれる。

香奈だって目が覚めるはずなのです。


「巡。」


「何?」


「貴方が言えた立場でしょうか?

私は知っていますよ?貴方が私たちを盗撮して部屋に飾りうっとりしていること。

私たちのことを親友と宣っている貴方が私たちにする唯一の秘密ごと。」


「だって、好きですもの。雛乃達のこと。」


「そうですか、貴方は罪人として捕まるよりも香奈たちにバレる方が嫌なのでしょう?

黙っていますからお前も言わないで下さいね。」


巡に釘を刺し私はカッターを手に持ちます。


アリアは昼休みに体育館の前へ来る約束。

頼み込んだら了承して下さいました。


「はぁ、楽しみ!」


「雛乃〜!」


「か、香奈!どうしましたか?」


「数学のノート写させてよー。昨日のやつ。

お前真面目に板書してんだろ?」


「えぇ、どうぞ。」


「サンキュー!って落書きだらけじゃねーか!」


「先生が五月蝿くて鬱陶しかったので。」


「何だー。じゃ、莉乃に見せてもーらお。」


「また、莉乃ですか?香奈。」


「ん?」


「莉乃莉乃莉乃と。やめてください。」


こんなつもりではなかったのです。

けれど私は香奈にカッターを向けていました。


「ちょ、雛乃!?」


「貴方が悪いのですよ?」


香奈の口元を手で塞ぎ、首に刃を突き立てます。


「やめ...っ!...っぅ...ぁ」


情けない声をあげて生を求める香奈は愚かで美しかったのです。


「大丈夫、殺しませんよ?ただ、私を見てください。そうすれば楽ですから。」


香奈は頷いてくれました。

過程は違えど結果的には香奈は私のものになりました。


カシャっとシャッター音が聞こえます。

誰でしょうか?私と香奈の仲を邪魔するクソ野郎は。









「あら、アリア。どうしましたか?

莉乃が探しますよ...。」

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