最高の友人とリーダー
アリアは私の言うことを率先して何でもしてくれた。
一緒に帰る時に電車の号車を合わせてくれたり、放課後に用事がある私を待ってくれたりしていて兎に角最高の友人だ。
「莉乃ー!」
「香奈...どうしたの?」
声をかけてきたのは私が属するグループの
リーダー格の
香奈は大きな態度を取っているが割と小心者で傷つきやすい。
幾度となく揉めてきたものの全て丸く収まっている。
それでも、やや亀裂の入りやすい危険な状態を保っている関係だ。
なのにも関わらず香奈はいつも私に声をかけて肩を組みグループの仲間として同じ時間を過ごそうとする。
嫌ではないが鬱陶しく感じることもある。
香奈はポニーテールを揺らしながら溜息をついた。
「何かあったの?」
「いやね、成績が悪くてぇ」
彼女の言う成績はこの前にあった実力テストのことだろう。
追試がないので私は別に力を入れていなかったから少し悪くても気にしなかったが、
全力で望んで尚、点が伸びなかった香奈はそれなりに凹んだらしい。
「大丈夫だよ。香奈が頑張ってるの、みんな知ってるよ!」
それは本当だ。
いつも授業は私なんかより真面目に聞いているし、グループの中でも真剣な方だと言える。
実際に良い点を取れるテストだって少なくない。
「そうかな...莉乃の優しさ心にくるよ」
優しさなどではない。
香奈が凹んでいては、同じ話を酔っ払いのように何度もされるからウザったい。
だから慰めたまでだ。
まぁ、これでもまたウザくなるのだろうけど。
「アリア知らない?」
「アリアじゃなくて私を見ろよー。」
「え、なんで?」
「何でって...私と莉乃は親友だろ?」
「友達だけどさ...アリアも大事なの!」
しれっと親友であることを否定する。
「ちぇー。アリアならトイレに...」
否定されたことは気づかなかったようだ。
「あ!そういえば。雛乃が呼んでたよ!」
香奈は雛乃に弱い。
幼馴染ということもあり仲がとても良いのだ。
雛乃も香奈のことを信頼していて理想の親友という感じだ。
私とアリアもそう見えているのだろうか。
トイレから出てきたアリアに全力で手を振る。
「アリアぁぁぁ!」
「莉乃、ウザいくらい元気だよね。今日も。」
「まぁね!アリアがいるもん!」
私は今日一番の笑顔をプレゼントした。
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