サイコパスの辿った道

私は何の取り柄もないただの女子高生。


仲がいいグループはあり、ちゃんと一緒に帰る友達もいるもののクラス内での好感度は低め良い立ち位置とは言えないくらいの立場。


勉強は特別出来るわけではなく、逆に出来ない訳でもない。

運動はあまり得意ではない。

というか体力がないと言った方が正しい。

手先も不器用な方だ。

成績は中の下くらいを小学生の頃からキープしている。



私の初恋は幼稚園の頃。

喧嘩友達だった子だった。

彼が幼稚園の遊具で遊んでいるのを突き落としてみた時に興奮がこの体を包んだ。


この初恋がその子へのものだったのか、

自分の行為へのものなのかはよくわからない。


それでも全身を包む内側からの熱は不思議と心地良かった。



二回目の恋は小学校二年生の頃。

それまで好きだった子は学校の先生が怖かったことがきっかけで精神を病んでしまったらしく、転校してしまった。


そんな時、向かいのアパートに住んでいた当時の親友の影響でその子が好意を持っていた子のことが気になった。


気にして見てみると面白いワードセンスで同級生を笑わせるムードメーカー的存在なようでクラスは違ったものの少し好きになった。


その当時、彼は私が通っていたスイミングスクールの子と両思いだったらしく小二ながら付き合っていたそうだった。


私は激しく嫉妬した。

私だけ見ていてくれればいい。

クラスが違っても私のことを一番に見てほしい。


一度もクラスが同じになったことのない彼に

そんな感情を抱いていた。


暫くして彼はその子と別れたようだ。

まぁきっとその程度の仲だったのだろう。

私はただ、彼に彼女の悪いところを流しただけ。


幼かったとしても好き同士で揺るがない愛情を持っているなら絶対に私が流した情報程度で嫌うはずがない。


私は失望した。

今まであんなに見てもらいたかった彼のことが嫌いになって、私の愛情もその程度だったのかと気がついた。

そして恋心は散った。



三回目の恋は小学四年生の時だ。

当時帰り道が一緒だった男の子で、その子に私は嫌われているように思えた。

席替えは先生の決めたランダムの席だったものの、強運により隣の席を勝ち取った。


彼はモテる方ではなかったが、二人目の彼と同じでムードメーカー的な役割。


給食の班の時が一番喋ることの出来る時間。

彼の好きそうな話題を振って、まるで司会者であるかのようにその場を回した。


彼は自分の自慢が出来る場を用意してくれる私を気に入ってくれたのだろう。

私とクラスのガキ大将が喧嘩をしていると私の味方をしてくれた。

それがとても嬉しくて、私は自らガキ大将に

喧嘩を仕掛けたり虐められたりした。


楽しくて仕方がなかった。


けれど、私の愛情は熱しやすく冷めやすいタイプだったらしく自然に彼への情熱は消え去った。



小学校最後の恋は六年生の時。

足を怪我した私の荷物を持って移動してくれた子にときめいた。


男子と女子は勿論違う部屋に泊まったけれど、

私は同室の人たちから彼の情報を聞き出すべく話を誘導した。


それなりに楽しい恋バナや怪談話もいい思い出にはなった。


普通の授業になってからも、自由な席を選べるタイプの席替えでは彼の行動を予測して

席を真っ先に取り、彼の隣ではなく後ろの席からちょっかいをかけることを楽しんだ。


なぜ後ろを選んだのか。

それには理由があった。


私の隣に座るのは少しの期間私が気に入っていた人。


小学五年生の時に少し意地悪をしてしまっていたけれど趣味の話が合ってとても楽しい会話をしたのを覚えている。


単純に話すだけならそっちの子の方が楽しかったから彼の隣を選んだ。


恋が叶うか叶わないかのところで卒業を迎えてしまった。



中学は共学だったものの、あまり学校は行っていなかったことが原因で好きな人は出来なかった。



高校へ入って一人だけ大切にしている人がいた。

それは小学校からの幼馴染の後野こうのアリア。

彼女は私のことを優先してくれる面倒見のいい性格をしていて、同い年の友達の中で一番気を許せる相手だ。




思えば数多くいる男の子よりもずっと、

私は彼女のことが好きだったのかもしれない。


初めて感じることのできた自分の一途さに感動した。


アリアのために出来ることを何でもしてみよう。


独占欲の強い私のその感情は高校生で初めて同性のカノジョに注がれた。


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