隠れなんとか

バブみ道日丿宮組

お題:部屋とYシャツと抜け毛 制限時間:15分

隠れなんとか

 彼の部屋に何食わぬ顔で入ると、

「……また、こんなに汚しちゃって」

 しょうがないんだからと、部屋に散らかってるYシャツを集めてく。

 その主たる者はベッドの上ですやすやと寝息をたててる。

「……はぁ」

 部屋に入るには鍵が必要。それは当然のこと。

 私はその合鍵をこの人からもらってる。

 だから、いつでも入ることができる。それ自体はいいことなのだけど、こうも悪い生活習慣を見せられると、もう同棲を始めるべきではないのであろうかと思いもする。

「……?」

 Yシャツをあらかた拾い集めて、いつも使ってる洗濯カゴに入れ込むと見慣れないものを洗面所で見つけた。

 幼子の下着。服もある。それに見慣れないくせっ毛。彼の色とは異なる。

「……子どもができたとか?」

 いや……それはない。できるとしたら、私の方で、彼に子どもができる機能はない。そういった行為はしてるが、きちんと避妊してる。検査だって受けてる。

 なら、確かめるしかない。

 彼を起こそう。そう決めると、ベッドで寝てる彼のもとへ急いだ。

「……膨らんでる?」

 それは勃起現象では説明できないぐらいの大きなものが彼の下半身に存在してた。

「……愛人?」

 布団の下にまさか幼子の愛人? これめくったら、浮気現場になったりする? えっ、いやでも幼子だよね? 大人じゃないよね?

「……ゴクリ」

 なんか緊張してきた。スマホも用意しておこうかな。通報したほうがいいだろうし、おばさんに連絡もしたほうが良い。

「……朝だよ」

 布団を勢いよくめくれば、

「すやすや」

「すぃーすぃー」

 彼に抱きつく形で金髪少女がいた。


「説明してくれるかな?」

 そこから覚醒する彼を待つのに数分かかった。その間に少女は起きて、トイレにいって今はテレビを見てる。

「親戚の子なんだ」

 それが彼の説明だった。

 まさか小学生と一緒に眠る趣味があったとは意外の意外だ。

「……別れようか」

 ぽろりと出た言葉に、彼は正座をして、土下座まで至った。

 わかってる。彼は悪くない。悪いとすれば、認める努力をしない私の方であろう。

 結局のところ、親戚の子というのはおばさんに確認したところ間違ってはなくて、数日の間一緒に過ごすことになった。引き取ったといったほうがいいかもしれないが……。

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隠れなんとか バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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