第9話
「…………」
その後、殆ど無意識のうちに家へと辿り着いた暁斗。パタンと部屋の扉を閉めて、パタリとベッドに倒れ込んだ。
(………ぬおおおおおおおおおお!!?!?)
そして、発狂した。頭を両手で抱え、ベッドの上でジタバタとのたうち回る。その顔は、珍しく真っ赤になっている。
(なんじゃあれなんじゃあれなんじゃあれ!!?)
暁斗の脳内に浮かぶのは、エミリの顔。真っ赤に染った頬に、少しだけ乱れた吐息。涙目+上目遣いのダブルコンボ。
間違いなく、暁斗はドギマギしていたのだ。誤魔化す余地なく。
端的に言うならば、エミリに見惚れていたのだ。
(ま、待てっ!エミリは激しいスキンシップをするんだ!だからあれもスキンシップの一環――――って、流石にこれは自己暗示できるかぁぁぁぁぁ!!)
ぬぐぅおおおおお……と、ゾンビみたいな呻き声を上げる暁斗。暴れすぎてベッドから落ちた。
「いっっ!?」
ビターン!と激しい音がなる。今度は痛みに悶え「ぬぐぅおおおおお……」と呻き声をだした。情けない限りである。
「いててて……」
だが、その痛みのおかげで少しだけ顔の熱が引いた暁斗。暫くじっと痛みに耐え、ゆっくりと体を起こす。
『わ、私……アキ……アキトのことが……i……ich liebe――――~~~~っ!』
「……ここまで言われて、流石にスキンシップと言い張るのはクソダサか……」
暁斗は、壁の向こうにいるエミリを見つめた。
一方その頃、壁向こうにいるエミリ。背後から聞こえたドスン!という音にビクッ!と反応。一瞬立ち上がって様子を見に行こうとしたが、さっきの放課後のことを思い出し、辞めた。
ぺたん、と床に座り込むとすぐそばに置いてあるスマホがブブッと振動する。恐る恐るエミリが電源をつけると、そこには『はよせい』とエミリを告白させ隊の三人からのメッセージが飛んできていた。
もちろん、先程のことを思い出すと、顔に火でも当てられたかのように真っ赤になる。
(……うぅ、こんなの始めて…)
頬に両手を当てて、ブンブンと頭を振る。もちろん暁斗のことは今すぐに結婚したいほどに好きだ。愛していると、心の中ではなんど言ったことか。
(……まさか、言葉にするのがこんなに恥ずかしいなんて……)
コンコンコン
「っ!?」
物思いにふけている所に、突如として鳴り響くノック音。その音に盛大にビックリしたエミリ。両親は未だに仕事中。この音を鳴らすとしたら、暁斗以外にいない。
「……入るぞ」
「えっ、あっ!」
心の準備が出来ていないまま、暁斗の入室を許してしまった。暁斗の顔を見ると、急速に顔が赤くなる。
「エミリ」
「あ、アキト……」
暁斗は、ゆっくりとエミリに近づく。しかし、対象的にエミリはゆっくりと1歩ずつ下がるが、すぐ後ろはベッドである。
当然、引っかかったエミリは、そのままベッドに倒れ込む。そして、逃げる間もなく暁斗に上を塞がれた。
状況だけ見たらまるで押し倒されている。そんな状況である。
(……え、えっ!?私もどうなっちゃうの!?)
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もうちょっとだけ続くんじゃ
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