第6話
あれから始業式は恙無く終わり、明日の入学式の準備をすれば今日の学校は終わりである。半日で終了ということもあり、新しく友達となった人を誘い、どこか飯でも食べに行かね?という声が聞こえる。
そんな中、暁斗とエミリはそそくさと帰る準備を進めて席を立つ。その様子を見て賢治が声を掛けた。
「お二人さんそんな急いでどうしたんだ?」
「なに、別に大したことじゃないよ」
「アキト!」
「悪い、それじゃあな」
急かすように教室の出口で暁斗を呼ぶエミリ。暁斗は賢治に向けて手を挙げて「じゃな」とした後、エミリに手を握られ引っ張られて行った。
「……なんだ?あんなに急いで」
「エミリちゃんはね、ゲームが好きなんだよ」
頭を捻る賢治の元に、花音がやってきた。
「花見坂か……しかし、ゲームが好きなのか?」
「えぇ、立川くんと初めてやったス○ブラにハマりまくったせいよ」
「へぇ、意外だな」
そういえば、暁斗もゲームが好きだったなと脳内で思い出した賢治。
「それじゃ、早くゲームするために帰ったのか?」
「違うわ。今日は星の○ービィ新作の発売日よ」
「カー○ィ……」
視点変わって立川兄妹。早歩きで進むエミリの隣にピッタリとくっつくようにして歩く暁斗。本来なら、この時点でエミリは腕に抱きつき、更には手を繋いで指を絡めるということをするが、今はゲームを早く買いたいため、手をつなぐだけにしている。
学校から歩いて約30分。目当てのゲームが売ってあるショッピングセンターへと辿り着き、四階へと急いで移動。
「……!
最後の一つだけ店頭に並べられてあった星のカ○ビィを見て、遂に暁斗の手を離して駆け寄ったエミリ。それをガッシリと掴むと、喜びでそれを胸に抱いてからぴょんぴょん跳ねた。
「良かったな、エミリ」
「Ja!」
「おっと」
そして、そのままの勢いで、喜びを全身で表現したエミリがアキトに抱きつく。突然のことに暁斗は一瞬ビックリしたが、何かとエミリが抱きついてくるのは日常茶飯事なので、直ぐに受け止めて頭を撫でる。
それを見た周りの人が「あら~」と生暖かな視線を投げたり「チッ」と舌打ちをして憎悪の視線を主に暁斗に向けるなど、様々な反応があった。
「ここじゃ周りの迷惑になるから早く会計を済ませような」
「Ja!早く帰ってやりたいね!」
「そうだな」
ハグをやめて、自然な流れでエミリは暁斗の腕に抱きついて歩く。勿論、代金は半分ずつである。
「どうする?昼飯はここで食うか、何か買って帰るか」
「Hmm……アキトの好きな方でいいよ」
「そうか……じゃあそこら辺のコンビニで何か買うか。早くエミリもゲームしたいだろうし」
「
「
ニッコリと笑うエミリに、自然と暁斗の頬が柔らかくなる。しかし、ここがどこかお忘れではないだろうか。
そう、ここはまだショッピングセンター内である。
この日、自販機のブラックコーヒーが根こそぎ売り切れになるという珍事が発生していた。
「ふんふーん♪」
その後、家に帰り昼飯を食べ終わってからゲームをやる準備に。筐体はSw○tchなので二人で遊べる。
パッケージからカセットを取り出してセットするエミリを横目に、暁斗はコントローラーを準備。電源を入れ、暁斗がベッドを背もたれにした所で、エミリが足の間に入ってきて、暁斗の胸を背もたれにする。
そして、暁斗はエミリのお腹に手を回してコントローラーを握った。これがこの二人のプレイスタイルである。これが崩れる時はス○ブラの時だけである。
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