始まりの地 ベルンホルン
第3話 ついてこられちゃ復讐が・・・
(今、確実になにか音がなったよな。)
セイロン家の用意してくれた馬車には街までの食料やら服やらが用意されていた。ダリは村を出て、晴れた草原を走る馬車の中で惰眠を貪っていた。そんな時にその荷物の辺りから物音が聞こえたのである。
ダリはそうっと寄ってみる。そして、物音の聞こえた所に被っていた布を一気にめくる。
すると・・・
「セイロン=マリア、呼ばれてなくても参上しました!!」
(`・∀・´)エッヘン!!
少女が元気の良い声をあげ、飛び上がってきたのだ。服装はスカートからズボンになっていて、動きやすそうである。服はゆったりとしたのものから変わっていて、彼女の豊満な胸がより強調されている。
「やっぱり、ここに来てたのか。怪しいと思ってたんだよ、急に居なくなるし、マリアの両親は動揺してるし。まあ、いい。さっさと帰るぞ。」
ダリは一つ手間が出来たとそんなに深く考えずに言ったが、マリアはそれを否定してくる。
「それは出来ないのです。私は冒険に行きたいのです。この手紙を両親から預かっているので読んで頂けますか。」
そう言うと、マリアは斜めにかけていた鞄の中から手紙を一通取り出すとダリに手渡す。
「どれどれ」
『ダリ殿、この手紙は訪ねていただいた晩に書いております。まずは、娘を助けて頂きありがとうございます。
そして、娘との結婚はおそらく断られるでしょうが、私の村には強い力を持った者がいませんので治めるにしても示しがつきません。
そこで、なんとしてもダリ殿に領主になって頂こうと思い、娘を送りました。娘の事を旅を通して知っていただき、結婚を考えていただきたい。
追伸:優しいダリ殿の事なのでない事だと思いますが、もし、娘を面倒に思い村に返すような事を考えているのなら、それは、不可能です。村は可視化されておりません。我々セイロンの名を持つ者はその能力から売り飛ばされる事があった為、外からのお訪ねの場合は内側からの許可が必要です。どうか、娘をよろしくお願いいたします。』
「なんじゃこりゃ!もう、マリアを連れて行くしか無くなったじゃないか。」
(僕の目的にこいつは使えないんだよ。だって、職業も戦闘に向いてないらしいし。)
マリアは自信満々といった表情でダリに舌を振るう。
「今、こいつ戦闘に使えないって思いましたね。」
「まさか、実は戦闘向きの職業だっ・・・」
ダリの言葉を遮り、やはり自信満々に答える。
「職業は、ガーデナーなのです。」
(`・∀・´)エッヘン!!
「『(`・∀・´)エッヘン!!』二回目!それなら、尚更、使えないじゃん。」
(てか、ガーデナーってなんだよ。そんなの聞いた事ないぞ。)
「絶対、街に着いたらお前をギルドに預けるからな。」
マリアは涙ぐんでしまう。
「そ、そんな〜。ひどいです。それと、私の魔力と職業は・・・」
マリアが話を続けようとした時、馬車が揺れる。この辺りはモンスターの出ない場所であるので、どうせ、岩にでも当たったのだろうとダリ達は安心していた。しかし、それは、外れている。外を見るマリアがダリに声を震わせて言う。
「ダリさん。そ、外にゴブリンの群れが」
ダリも馬車から顔を出す。すると、少し離れた所に何百もの全長一メートル程の薄い緑の悪魔が蔓延っていた。その群れはこちらに石を投げつけ攻撃を加えてきていた。
ダリは迎撃をしようと外に出ようとするが、すでに一人馬車の中から飛び出していた。
「見ていてください!ダリさん!」
『大地の目覚め』
それを唱えるとゴブリン達の居る一帯に下から何本もツルが生え、ゴブリン達を捕まえると縛る強さは強くなっていき、ゴブリン達は消え結晶となってしまった。
「やりました!ダリさん!私モンスター倒しましたよ!」
ダリにとってはモンスターは消えたが疑問は多く残る戦闘だった。マリアは魔石を集めにいく。
馬車に戻ると早速マリアに聞くことに、
「マリア、あの能力はなんだ、ガーデナーというのは戦闘向きなのか?お前の両親は戦闘に向いていないと言っていた。」
マリアの肩に手を置くダリを彼女は手で制する。少し距離をとると応じる。
「落ち着いてください。確かに私の職業は戦闘向きではありません。しかし、私の魔力は他の人より多いのです。だから、攻撃に転じる事が出来たのです。まあ、魔力量はそこまで多くないので、一回きりしか使えませんけどね。」
そう言うと、マリアは無邪気な笑顔を向ける。
「そ、そうのか。」
その後は何も起こる事はなく無事に街へと到着した。
その街は高さ二十メートル程の石造の壁で囲まれている。ダリ達の向かう方には大きな門が閉じていて、その両脇に鉄の鎧を着た者が四人、二人ずつ槍を持ち立っていた。
「止まれ。そこの馬車。中を確認させてもらおう。」
その兵達がダリ達の馬車に入り中を確認していく。
「よし、問題ないな。では、身分証を見せてくれ。」
「ステータスではいけませんか?」
「すまない、ステータスは偽装できてしまう。身分証だとありがたい。」
ダリは裏切られ、意識を失っている時に身分証を取られていた。そのため、持っていなかった。マリアも外部との接触のない村で過ごしていたため持っていなかった。
「すみません、僕達二人とも身分証を無くしていて。どうしたら良いですかね?」
四人の内の一人が手で顎を擦りながら答える。
「うーん、そうか。なら、俺と一緒にギルドに着いてきてくれ、そこで新しく発行出来たはずだ。他の街で何か犯罪をしていたらそこで判明する。」
「分かりました。ありがとうございます。」
ダリ達はギルドに行くことになる。その間馬車は壁の外に置いておく事に。
ギルドに入るとそこには、いかにもという空間が広がっていた。
木造の傷や欠損の多い椅子や机。ガヤガヤと大きな声が飛び交っている。鼻の奥には酒の匂いがさしてくる。
「カリンさん、すみません。この子達、身分証を無くしてしまったみたいなんで、作って貰えませんか。」
その受付嬢はかなり美人だった。黒髪で目を細めダリ達に笑いかけている。その顔にかかったメガネは賢さを感じさせる。
そんなハツラツとした声で答える。
「はい、分かりました。任せて下さい!傭兵さんもお疲れ様です!」
「ありがとうございます。私は職に戻りますので、なにかあったら教えて下さい。君達もなにか困ったらこのギルドか私を頼るといい。」
そう言って、傭兵はギルドをあとにする。
「身分証の発行でしたよね。お名前と年齢、職業をここに記して下さい。」
ダリ達は書き終わると提出する。それを魔石のような箱に入れる。マリアの方を入れると、音が鳴る。
「マリアさん、あなたはこの職業では無いですね。なので、こちらで職業を見てそれで登録させていただきます。それと、ダリさんも魔力量の値が人類の上限に達してしまっていますので、バグが起きているのかと思われます。なので、一緒に受けて頂きます。」
こうして、マリアは水晶玉のような魔石に手を当てて測定する。すると、
「な、なんですか!これは!この職業は・・・」
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