仲間に裏切られ、魔法帝から最弱職の農民にジョブチェンジさせられたけど人類最高の魔力はそのままなので気楽に復讐しようと思う。それと、ついでに世界救ってみた。
第4話 私にだってチート能力はあるんだもん。
第4話 私にだってチート能力はあるんだもん。
球型の真珠のように光る魔法石を見て絶句する受付嬢にダリは声を掛ける。
「でしょ、職業ガーデナーなんて見たことないでしょ。」
彼女は魔法石から目を離さずそれを否定する。
「何を言っているんですか。今印刷します。」
そう言うと、受付嬢はとある紙をその水晶型に乗せる。すると、その紙の上に文字が浮かび上がってきた。
そして、ダリとマリアはそれを覗く。
「な、なんだこれ。」
そこに書いてあったのは、ガーデナーでも農民でもなかった。
氏名:セイロン=マリア
職業:大聖女 《ユニークジョブ》
魔力量:15000→??????
特性:大聖女スキル(①魔力量は自分の従事する者の魔力量の十分の一を持つ。しかし、その相手との親密度により魔力量は変化する。②無詠唱魔法は回復であり、詠唱時に攻撃魔法を加えられる。ただし詠唱は自らサーチしなくてはならない。)
「え、えー!こんな職業あるんですか?無詠唱でかいふ・・・」
その時、長い黒髪の受付嬢がマリアの口を手で塞ぎ耳元で注意をする。
「私とて、こんな職業知りませんが、もし本当であり、知られてしまえば、野蛮な盗賊に狙われてしまう。あまり大きい声で言わない方が良い。」
その会話を少し離れた所でそば耳を立てていた屈強な男三人が悪い笑みを浮かべていた。
受付嬢はそう言うと、パッと離れ笑顔で語りかける。
「私の方でもこの職業については調べてみます。②の方も気になりますし。なにか分かるまでは誰にも言いませんので私は安心してください。もし、本当に使えると分かればこの国の為に・・・という事もあるかもしれませんが。」
そして、ダリの方へ向き直るとさらに続けた。
「それではダリさんいきましょうか。」
今度はその魔法石は七色に光る。しかし、受付嬢の反応は先程とはうって代わり普通だった。
「はい、こちらになります。こちらの機械は故障してしまったのでしょうか。先程のマリアさんの職業といい・・・。ダリさんのは職業は合っていると思われますが、魔力量がなにかの間違いになってしまっていますね。」
ダリは安心していた。ダリの魔力量が信じられてしまえば、この国の為に働かなくてはならなくなってしまうからだ。
しかし、そんな事を考えもしないマリアはそれを否定する。
「なにを仰ているんですか。ダリさんの魔力量は本当ですよ。私はこの目でしっかりと魔法を・・・」
今度はダリが口を塞ぐ。それを怪訝そうな目で見ていた受付嬢は、ある報告をする。
「ま、まあ二人とも、身分証の二人のおかしな部分をこっちで変えておきますので、この街では好きにしてください。」
「それって、犯罪なんじゃ・・・」
ニヤリと笑みを浮かべる。
「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。それに、二人ともこれまでになにか怪しい事をした経歴もないし、大丈夫だと思います。この街、ベルンホルンを楽しんで頂戴!」
受付嬢はハッとなにか思い出したかのように手を叩いて言った。
「確かにその身分証の件はバレたら困るから、このギルドではこの私、バイスを呼んで下さい。それと、マリアさんあなたの名前で思い出したのだけれど、ハイカーさんってあなたのおばあさんの名前ですよね。」
「はい、」
バイスはメガネを上げると箱の中から一通の手紙を取り出す。
「これ、あなたがこのギルドに来ることがあったら渡してと頼まれたものなのですが、受け取って頂けますか?」
「はい!」
マリアはとても嬉しそうにそれを抱きかかえた。
「ハイカーさんはまだ元気?最近見ないのですけれど。」
そう問われると、マリアは少し目を潤ませた。下を向き答える。
「おばあちゃんは亡くなりました。去年の事です。」
「それは、悪い事を聞きましたね。ごめんなさいね。」
「大丈夫です。私の側に居てくれているって思ってますので。」
こうして、ダリ達は身分証を受け取り、馬車を取りに行った。
残されたバイスは独り考え事をしていた。
「でも、待って、亡くなられているなら今、この国の・・・」
ダリ達はゴブリンの落とした魔晶石を売るが宿代には足りなかったので、壁外の馬車でその晩は過ごす事になった。
「そういえば、ダリさん。どうして、私がダリさんの魔力量の事を言おうとした時止めたんですか?」
「本当だとバレると国の為に動かなくてはならなくなる。そうなると、僕の目的が達成しにくくなるんだ。」
「なんですか?目的って。」
ダリは、迷ったが疲れていたのか喋ってしまった。
すると、マリアは怒っていた。
「そんなのひどいです!今まで一緒に旅をしてきた仲間にそんな事をされるなんて許せません。私のダリさんをよくも酷い目に合わせてくれましたね。」
「なにが私のダリさんだ。誰もお前のものになっていない。あいつらは僕に最低な日々を送れとこの職業にしてしまったのだろうが今の職業は僕にとって天職だ。だから、
「ダリさん、笑みが怖いです。」(∩´﹏`∩)
そして、ダリはマリアの方を向き真剣な眼差しで伝える。
「だから、マリアは僕の計画に邪魔なんだ。村に返せないというなら、ここに置いていくまでだ。ここまでありがとう。」
ダリは、少し寂しがられると思ったがそうはいかなかった。むしろ、マリアは笑っていた。
「ククク、ククク、ダリさん。甘いですよ。初めてのキスより甘いですよ。」
(それは、酸っぱいのでは?)
「ダリさんは、バレたら国に仕えなくてはならないのですよね。なら、私を捨てると言うのなら、その時は・・・」
ゴクリ
「その時は?」
「バラします!」(`・∀・´)エッヘン!!
この時になってようやくダリは言ってはいけない事を言った事に気がついた。
(やっちまったー!)
次の日、ダリが目を覚ますと隣にはマリアがいなかった。すると、外から悲鳴のような声が聞こえてきた。
「ダリさーん!」
(どうして、僕は計画を立てると上手くいかないんだ。)
――――――――――――――――――――
この世界にある機械は全て魔晶石を燃料にして動いています。
セイロン家の謎に関してはこれから明らかになっていくので、疑問の残る点(セイロン家以外の者との対立は無いのか等)は解決すると思います。
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