第壱世界 オワリノセカイ

第6話 オワリノセカイ

「これは…」


 零妃レミの話では僕の世界は死んでから少し時間が経っていると言っていた。

 推定一ヶ月程度のズレが発生するだろうとも言っていたが…


「おかしいな…」


 とりあえず…施設を探索してみよう。

 彼女がどこに行ったか手がかりがあるかも知れない。


 ────地球?:施設跡


「これはひどいな…」


 近くで見る施設はボロボロに崩れていた。三棟あった建物は一棟を残して倒壊していた。

 だが…


「なぜ死体がないのだろう…」


 全員逃げたのならそれでいいが…機械兵の残骸すらないのはおかしい。

 残った建物を調べる必要があるみたいだ。


「上官は無事かな。」


 僕は残った建物に慎重に入っていった。


 ────施設跡:生活棟


 …ここには初めて入るな。

 生活棟は人々が生活するための建物だ。兵器として造られた僕は入ることは無かった。


「…ここで上官も生活してたんだ。」


 中はボロボロで見るも無残なことになっていた。


「うん…?この手記…見たことある…」


 たしか…上官のじゃないかな。

 この手記の表紙に書いてある幾何学模様は彼女が気に入っていたものだ。


「読んでみる価値があるかも知れない…」


 僕は手記をポケットにしまうと一回外に出ることにした。


 ────施設跡:生活棟外


 僕は錆びた小さいコンテナに腰を掛けると手記を読み始めた。


『私たちはこの戦争に勝った。だけど…彼が最後の犠牲になってしまった。

 …彼が守ってくれたこの命は無駄にはしたくない。』


 この手記は上官の物のようだ。上官は戦争を乗り越えてくれたみたいだ。

 そして、毎日何があったかの日記のようだ。

 読み進めてくうちに…この施設を放棄した内容を発見した。


『突如として正体不明の敵が出現したみたい。こちらの攻撃は効かない上に機械兵のコントロールを奪われ劣勢だ。この施設はもう長くない…更に無数の小さい分身も生み出して包囲された。…最後にレイに会いたかったな。この気持ちも伝えられずに別れちゃったから。』


「オヤ、イキノコリデスカ。」


「!?」


 僕は吹き飛ばされた。

 なんだ…?全く気が付かなかった…

 ギリギリ受け身を取るとそいつを見た。

 機械兵…?漆黒の体だが脚部は先端に向かって細くなり胴体と手足は完全に分離しており、腕部に至っては上腕と前腕までもが分離している。背部に6つのウイングのような物を浮かせている。


「誰だ…」


「ボクデスカ?バグドールダ。ヨウコソ、オワリノセカイヘ。」

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