第3話 Their parallel world

「自分自身…?」


「そうよ。外に連れてっていい?零妃。」

 

「もちろんいいよ。私の科学力を使って治療したんだからね。おかしいところなんてあるはずがないよ。」


彼女は自分の腕に自身を持っているみたいだ。たしかに、違和感を感じるところは全く無い。


「じゃあ、外に行きましょう?えーっと…あなたの名前は?」


「僕の名前…そんなものないよ。ただの兵器なんだから。」


彼女から貰った名前は二人だけの秘密だ。


「ふぅん…ならあなたの名前は零夜レイヤね!」


「零夜…わかった。」


零夜か…彼女から貰った名前に似ている。


「妙に聞き分けいいわね…とりあえず行くわよ!」


すこし怪訝な顔をしたがすぐに気を取り直すと僕はXイクスに手を取られて外に連れ出された。


――――???∶外

「ここ…は?」


僕は彼女に手を取られて外に出た。そこには…


「植物…?」


緑豊かな光景が広がっていた。


「零夜ってどんな世界から来たの?」


「どんな世界?赤茶色の世界だよ。死の気配も濃密な所かな。」


少し歩けば骨と死体と薬莢が落ちていた。植物は食べれるものしか無かった。


「ふぅん…ここは世界の狭間。」


「世界の狭間…?」


「うん。ここはたくさんある世界の間に生まれた空間。まあ、世界って言っても平行存在の世界だけどね。」


意味がわからない。急に世界の狭間とか平行存在とか言われてもわからない。


「つまり…どうゆうこと?」


「そうね…簡単に言うとパラレルワールドって事よ。」


「もっと意味がわからない。」


「とりあえず、そういう事よ。一番大事なのはここからよ。」


大雑把な性格のようだ。


「まだあるのかい?そろそろキツイのだけど…」


「零妃に質問してたでしょ?返答はあなただって。」


「そうだね。でも、今ならわかる気がする。平行世界っていうピースがあるなら。」


「あら。ならなんだと思う?」


「つまり、平行世界にいた僕ってことだろうね。僕がいた世界とは別の僕ってところだろう。」


「正解!いやー。さすがね。この段階でそこまで行くなんて。」


「更に言うならここに来るには一回瀕死…もしくは死ぬことが条件かい?」


「…なんでわかるの?」


「簡単だよ。。」


ここまでの説明が手慣れすぎているのだ。示し合わせているとしか思えないくらいに速やかにここまで連れてこられた。


「ふぅん…まぁいいわ。とりあえず、あなたには2つの選択肢があるわ。一つは死ぬこと。」


それはそうだろう。元々死んでいたはずなのにここに来たのだから。


「2つ目は私達の組織に来るか。」


「組織…?」


「主に色々な世界にある依頼をこなすことね。」


「その依頼は何があるのかい?」


「そうね…たとえば薬草を採取することや要人を警護したり討伐したり…そういう感じね。」


「なるほど…」


もしかしたらもう一回彼女に会えるかもしれない…


「僕の世界に行くことはできるのかい?」


「可能よ。」


なら、死ぬことは出来ないな。


「君たちの組織に入るよ。」


「ホントに!やったぁ!」


嬉しそうだな…


「それじゃあ!私達の組織【Their parallel world自分達の平行世界】へ!」


こうして僕と僕達の生活が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る