第16話 冒険の終わり

 魔石がある広場から、また洞窟を通って入り口に戻る。帰りはエヴァさんがいるおかげで、何事もなく洞窟内を進むことができた。

 ちなみに、僕が道中で捕まえていたスライムは帰るときに忘れず開放した。先程捕まえたスライムはだけでなく、一回目の洞窟探索で、逃げるのに必死で開放することができなかったスライムも忘れずに。だが、1回目の洞窟探索の時に捕獲した場所にはスライムもういなかった。どうやら自力で脱出したようだ。当然かと思いつつ、僕はエヴァさんとエミリーの後ろを歩いた。


 「入り口だ!」


 エイリーがその光を見て嬉しそうに言った。その言葉に僕も嬉しくなって頷いた。

 洞窟を出ると日が高く登っていた。洞窟に入っていたのは2時間ほどだと思うが、それでも太陽に懐かしさを覚える。これで、今回の洞窟探索は終了。これから家に帰るまではちょっとした旅になるが、来た道なのでそこまで心配ないだろう。

 洞窟を出ると、先頭を歩いていたエヴァさんが振り返って口を開く。


「これでエミリーも魔石は手に入れることができたな。これで魔術学校に入学することができる」

「はい!」


 エミリーは元気よく返事をした。


「セオも魔石を手に入れたわけだが、お前は入学はできるのか?」


 エヴァさんは僕の事情をある程度知っている。だから、魔石だけでは入学できない可能性についても察しが付いているようだ。


「これを持って親を説得してみます。もしダメなら家出して苦学生ですね」

「どんな手を使ってでも入るつもりか?」

「そのためにこの洞窟に来ましたから」

「なら、エイミーとは同学年になるかもしれないな」

「ええ!セオくんも一緒!?」

「うまく行ったらね」

「ホント!一緒に行けるといいね!」


 エミリーが満面の笑みで僕の方を見ている。エヴァさんはエヴァさんで頷いている。


「なるほど。ともあれ、ここでお別れだ。ああ、そうだ。寝床の後始末はしておいてくれ。礼は今度する」

「わかりました」


 エヴァさんには殺されかけたが、一応お世話になったので礼も兼ねて後始末を行う。今は以前より使える魔力量が増えているので、キャンプ地を元に戻すのは簡単にできるだろう。


「それじゃあな」

「じゃあね!」


 僕はエヴァさんとエイミーを見送った。エイミーはいい子だったし、エヴァさんは無茶苦茶な人だったけど悪い人とは思えなかった。


「また、会えるといいな」


 僕は本心からそう思って、キャンプ地に向かった。

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プリヴィアスライフズ(1/3)~1000年ぶりのダンジョン攻略~ ゆうさむ @fyrice

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