第119話 エルメアーナの衣装の着付け


 フィルランカと色違いの服を持ったリズディアは、まず、エルメアーナの前に当てると、スカートは、胸の下までを覆おうようにできており、上着は、鳩尾あたりまでになり、上着を着せても、下から覗けば、胸が丸見えになってしまう事に気がついたようだ。


(これだけだと意味がないわね。 ワンピースのスカートを付けて、胸が丸見えって、男を誘う? いえ、ミルミヨルなら、そんなつもりでこの服をエルメアーナに渡すわけないわね)


リズディアは、掛かっていた衣装の方をもう一度見ると、この衣装の横にあった白のブラウスに目がいった。


「ヒェル、そこにある、白いブラウスを取って、エルメアーナに着せて」


 ヒュェルリーンは、言われるがまま、ブラウスを取ってエルメアーナの後ろに立つと、そのブラウスを着せた。


 着せ終わったヒュェルリーンにスカートとセットになっていた上着を渡すと、自分は、スカートを持って、エルメアーナに着せ始める。


 肩まであるワンピースなのだが、ウエストは、エルメアーナに合わせてある。


しかし、着る時は絞ってないので、緩くなっている。


 それを取り付けてある紐を引っ張って絞る。


 すると、ウエストが、綺麗にくびれてくれ、そして、胸元に余裕のあるブラウスが、フワッと強調された。


 そこまで整えると、リズディアは、また、エルメアーナの体を触りまくり始めた。


「ああ、なるほどね。 ふん、ふん。 上手くできているわ。 さすがは、ミルミヨルのオートクチュールね」


 リズディアは、エルメアーナの胸の感じを、確認する。


着る前と後の違いを、自分の手の感覚で確認したのだ。


 ただ、エルメアーナは、恥ずかしさから、半ベソ状態になっていた。


「これは、いいかも。 ちょっと、ヒェル。 あなたの胸の形を、綺麗に固定できるわ」


「あら、私も、エルメアーナのように上に持ち上げられるのかしら」


「ええ、こっちは、胸を大きく見せるように、胸周りが、切られている感じでしょ。 でも、ほら、下乳あたりに、形を固定するように、コルセットから下乳までの形を整えるようにデザインしたら、あなたの大きさでも、重力に引かれるような事はなくなるわ」


 ヒュェルリーンは、リズディアに言われて、自分の両手を自分の胸の下に添えて、上に上げるようにした。


「そうなのよね。 大きいと垂れるのよね。 エルメアーナもだけど、フィルランカのようにもっと、上に向けておきたいのよね」


「そうでしょ。 それに、年齢とともに、下がってくるのよ。 だから、持ち上げられたら、とても、綺麗に見えるでしょ。 イルルの言っていた上の年代には、とても有難いデザインでしょ」


 リズディアは、エルメアーナの胸を、心地よさそうに持ちつつ答えた。


 2人は、これから行おうと考えているデザインに夢中になっていた。


 そして、リズディアは、自分の前に立たせているエルメアーナの胸の感覚を感じていたのだが、リズディアは、嬉しそうに、そのまま、エルメアーナを抱きしめていた。


 すると、エルメアーナは、恥ずかしそうに顔を赤くしていた。


「あの、リズディア様」


 エルメアーナが、リズディアに話しかけるので、リズディアは、後ろから抱き締めているので、顔が、エルメアーナの肩の上にあった。


 その顔を少しエルメアーナの方に向けて、覗き込む。


「何?」


「これだと、ちょっと、刺激が強すぎるので、もう1枚、下着を、付けさせて欲しい」


 エルメアーナは、恥ずかしそうに言う。


「これは、裸で着ると、先が擦れてしまうので、刺激が強いんだ。 だから、もう一度着替えさせて、もらえ、ない、だろう、か」


「「あっ!」」


 リズディアと、ヒュェルリーンは、なんとなく、自分の過去を思い出したようだ。


 今では、感じる事のない感覚がこの時代にはあった事を思い出したのか、リズディアとヒュェルリーンは、お互いを見る。


「そ、そうね、じゃあ、もう一度、着替えようか」


「う、うん。 ごめんね。 私には、ちょっと無くなった感覚かもね」


 エルメアーナは、2人を微妙な表情で見る。


「じゃあ、下着も私が選んでいいだろうか」


「え、ええ。 そうね」


 ヒュェルリーンとリズディアは、エルメアーナが脱ぎ出したのを見て、慌てて、近くに行って、エルメアーナが着ているものを脱ぐのを手伝い始めた。


 胸を覆う鳩尾までのベストに腕が付いたデザインの上着を、ヒュェルリーンが受け取ると、リズディアが、スカートのウエストを引き締めている紐を緩めるのを手伝い、脱がせると、そのワンピース型のスカートを受け取る。


 ブラウスを脱ぐと、そのブラウスを抜いで、ヒュェルリーンに渡すと、そのまま、タンスの前に行くと、履いていた下着を脱ぐと、その下着をベットの上に投げると、しゃがんで、引き出しを開けた。


「この服には、こっちの下着の方が合うんだ」


 そう言って、ヒュェルリーンが、手にした場所とは、反対側の位置から、取り上げると、足に通し始めた。


 上まで上げると、微妙な位置合わせをする。


 そして、また、タンスに手を伸ばすと、履いた下着と、お揃いの上に手を通し、後ろを止める。


 位置を確認しつつ、胸周りに脂肪を持ち上げるように脇腹の方から、上に上げるように擦り上げる。


 それを左右行いつつ、2人の側に来る。


「あのー、今のは?」


「ああ、この状態で少し集めておくんだ。 これをやっておくと、少し大きく見えるぞ」


「そうなの、ね」


 ヒュェルリーンは、エルメアーナの胸と、リズディアの胸を見る。


 そして、自分の胸を見た。


(ああ、エルメアーナは、フィルランカよりも小さいし、上は、必要ないかと思っていたけど、そうやって、大きく見せるために、使うようにしているのか。 でも、口に出して、言えないわね)


「準備、できた」


 そう言うと、ブラウスを着て、スカートを着ける。


 紐で絞る前に、ブラウスを丁寧に揃えつつ、胸周りにボリュームを持たせる。


 ブラウスを整えてから、スカートのウエストの紐を絞り出す。


 その様子を見て、リズディアが、絞るのを手伝い出した。


「ありがとう。 じゃあ、今日は、丁寧に絞る」


 エルメアーナは、下の方から、徐々に紐を絞って、徐々に上に上げていくと、最後にリズディアに紐を結んでもらった。


 スカートが整うと、体を動かして、ブラウスの緩みを整えると、上に着る鳩尾までの短い袖付きのベストを羽織る。


 スカートのブラウスが出ている部分を覆い隠す程度なので、ベストは、胸の上に乗ったようになり、大きく膨らんでいるように見えた。


 エルメアーナは、着た後の様子を確認するように体を動かして確認する。


「どうだ、今日は、丁寧に用意した。 とても、いい感じに着付けられたぞ」


 満足そうに言うと、ヒュェルリーンは感心したように見る。


 そしてリズディアは、何かを考えるようだった。


「丁寧に着たら、もっと、大きく見えるのね」


 リズディアは、感心した様子で呟いた。

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