フィルランカと高級レストラン

第23話 出かける準備をするフィルランカと手伝うエルメアーナ


 フィルランカは、エルメアーナに頼んで、宣伝用の服を着ていた。


 コルセットを着けるのは、少し苦労をするが、何とか着けることが出来た。


「ありがとう、エルメアーナ。 これを使うと、ちょっとだけ、胸が大きく見えるのよ」


 そう言って、コルセットを着けた状態でエルメアーナに見せる。


「うーん。 確かに。 すごいな、これ」


 11歳の2人には、羨ましいスタイルになっていた。


 メリハリのないスタイルなのだが、コルセットによって、脇腹が大きくくびれて、その周辺にあった脂肪が、隙間のある胸に向かって登っていったので、大した膨らみもない胸でも、少し大きく見えるようになったのだ。


 それを見ていたエルメアーナは、羨ましそうにフィルランカの胸を見ていた。


「フィルランカ、今度、私にもやってくれないか」


「もちろんよ。 でも、今日は、私、お出かけだから、また、今度ね」


「うん」


 エルメアーナは、嬉しそうに答えながら、コルセットの下を見る。


「フィルランカ、その下着もいいな。 腰にピッタリしている。 いつものブカブカのとは違う。 それも可愛いな。 桃色の生地に花柄も綺麗だし、小さなリボンも可愛い。 いつものヘソが隠れるような大きさじゃなくて、腰のところも狭くなって、足の曲がりに合わせてV字に切れ上がっているのもカッコイイ」


 そう言って、フィルランカの股間をエルメアーナは、凝視していた。


「それに、いつものブカブカのパンツは、足と下着の間に隙間が有るから、転んだ時に、隙間から、中が見えてたからな。 それなら、転んでも中は見えないだろう」


 流石にフィルランカも、転んでしまって、下着の中身まで見えてしまう話は恥ずかしかったのだろう、慌てて、両手で前を隠すようにしながら、腰を引いている。


「ちょ、ちょっと、あまりジロジロ見ないでよ」


「何を言っている。 いつも、湯浴みは2人で裸で洗っているじゃないか。 私は、お前のうなじのホクロだって知っているぞ」


「で、でもぉ、裸の時は、そんな事言わなでしょ」


「うん。 今の方が、なんかイイ。 湯浴みの時とは違う」


「イヤだわ。 何だかエルメアーナったら、イヤラシイわよ」


 そう言って、ベットの上に、置いてあったドレスを取りに、数歩、歩くのだが、下着姿で歩くフィルランカの後ろ姿を、エルメアーナはジーッと眺めていた。


 コルセットで引き締められた脇腹によって、腰回りとの凹凸が、とても11歳の少女のものとは思えない、艶やかさが有った。


 フィルランカは、エルメアーナの視線を気にする事なく、ベットの上にあるハイソックスを手に取ると、ベットに片足を乗せて、ソックスを爪先に入れて、ゆっくりと引き上げる。


 太ももの中間までソックスを引き上げると、もう片方の足にもハイソックスを同じように履く。


 今度は、コルセットから下がっている紐を、下着の中に入れてから、ハイソックスに止める。


 前を2本止めると、お尻の方の紐を、前と同じように下着の中に入れて、ソックスの後ろと止めた。


「フィルランカ。 なんで、その紐を下着の中に入れるの? 下着の上からなら、簡単に止められるだろ」


「ああ、これね。 ミルミヨルさんが言うには、トイレの時に、下着を簡単に下ろせるかららしいんだけど、大人の女性は、もっと別の理由があるらしいのよ。 下着を下ろすのが楽になるなんて、トイレ以外に理由なんて無いと思うんだけど、変ね」


「……」


 エルメアーナは、少し青い顔をしている。


 エルメアーナは、何か思い当たる事があったのか、黙ってフィルランカを見ていた。


「エルメアーナ?」


 フィルランカは、エルメアーナの表情を見て、不思議そうにエルメアーナを呼んだ。


「ああ、すまない。 何でもないんだ」


 エルメアーナには、下着を降ろしやすくする理由が、何となく分かったようだ。


 それは、エルメアーナの記憶の中に封印した出来事の中にあるのだが、それを口に出す事は無かった。


「変なの」


 フィルランカは、そう言うと、ベットに置いておいたドレスを手に取ると、前後を確認してから、ドレスを着る。


 ドレスは、背中が空いており、その中にフィルランカは、腰を曲げて、片足を上げて、ドレスの中に足を通す。


 内側の生地を足に掛からないように注意して入れると、もう一方の足を上げて、注意しながらドレスの中に入れる。


 ドレスの生地を踏んでないのを確認すると、ゆっくりとドレスを上げて、手を通す。


 両手を通すと、後ろを止めようと背中に回す。


 ただ、見えない部分を止めるのは難しいみたいで、うまく止められないようだ。


「ねえ、エルメアーナ。 わるいけど、後ろを止めてもらえないかしら」


 エルメアーナは、ボーッと、フィルランカを見ていたので、直ぐには反応できないでいる。


 エルメアーナは、フィルランカの姿に見惚れてしまっていたのだ。


「エルメアーナ?」


「あっ、ああ、ごめん。 背中を止めればいいのね」


 エルメアーナは、慌てて、フィルランカに寄ると背中を止めるのを手伝う。


 ただ、エルメアーナは、少し頬を赤くしながら、手伝っていた。




 フィルランカは、着替えた後、髪の毛をブラッシングして、整えると、靴を履いて、全てを整えた。


 自分の髪の毛、ドレス、靴を確認して、ミルミヨル達に用意してもらった時と、ほぼ同じようになったと思ったようだ。


 満足そうに自分の姿を確認する。


「じゃあ、行ってくるわね」


 フィルランカは、エルメアーナに挨拶すると、出かけていった。


 その後ろ姿を、エルメアーナは、見送った。

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