『あの人』が帰ってきた

 これは……驚いたな。ずいぶんと綺麗に整頓されて。この食糧も君が用意してくれたのかい? ただ身を休めているだけでもよかったのに。……ふふ。いや、ありがとう。純粋に感謝しているんだ。嬉しいよ。


 それで、これから君はどうするんだい? ここまでしてくれたんだ、望みの場所があるなら責任をもって送り届けるよ。


 ――ここに残りたいって? いいや、迷惑じゃないけど。むしろこの調子なら私が助かるくらいだよ。でも、いいのかい? 私は一所に留まれないんだ、確かにここは安全だろうけど、君が孤独に過ごす時間はとても多くなるだろう。……それでも、いいのかい?


 ――そうか。君がそう言うなら、ここの番を頼もうかな。それから、


 しかし、これはちょっと予想外だったな。ここは単に、私や旅の道具をほんの一時留め置くだけの場所だったのに。

 私がここに『帰ってくる』理由ができてしまうなんて。

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