第6話隼人の元に届いた1通の新着メール(6)

「…ん?新着メール?誰からだ?」


ギャルゲーをプレイしている最中に1通の新着メールが隼人のノートパソコンに届いた。


普段の友達とのやり取りはスマホでしている為、ノートパソコンに新着メールが届く事は滅多にない。

ただの意味不明な広告か何かか?と隼人は取り敢えずギャルゲーを中断し、先程届いたメールを開いてみた。


「……何だこれ?誰から送られてきたか分からないんだけど……。悪戯メールか?」


メールを開いてみたが、一体誰から送られてきたか分からないようになっていた。


友人からの悪戯メールか?とも思ったが、一応メール本文も開いてみる。


するとそこにはこう書かれていた。



『未だ邂逅していない、新たなステージに興味はありますか?』


そしてそのメッセージの下には『YES・NO』のタグも存在していた。


「……どういう意味だ…このメールは…。『未だ邂逅していない』っていうのは、あれか?未だプレイしていない新しいジャンルのギャルゲーの事か?」


隼人は腕を組み、首を傾げながら画面に表示されているメッセージの意図を考察する。


「つっても、大体のジャンルはプレイ済みだしなぁ…。まだ何かプレイしてない、エンペラーと呼ばれている俺が知らないジャンルのギャルゲーがあるとでも言うのか?」


これでも数々のギャルゲーを攻略してきた実績もある隼人。

その実績等のお陰で世界中の人達からエンペラーとまで呼ばれている。

そして攻略不可能とまで言われた隠しヒロインを世界で初めて攻略したのも隼人なのだ。

そんな隼人が未だ知らないジャンルのギャルゲーが存在すると言う事がどうしても信じられなかった。


「…ふふふ、いいだろう。これはエンペラーである俺への挑戦と見た!!俺に攻略出来ないヒロインなど世界中何処を探してもいないのだからな!!」


不敵な笑い声が部屋中に響き渡る。

目を輝かせながら隼人はマウスを手に取り、迷う事なく『YES』のタグをクリックした。


「にゅふふ、『興味はありますか?』だって?あるに決まっているじゃないか!!!さぁ、未だ見ぬ可愛い天使たちとの邂逅を俺は全力で迎え入れるのだぁぁーーって、うぎゃぁぁぁぁぁーーーッ!!!目が、目がぁぁぁぁぁーーーッ!!!」


途端にノートパソコンの画面から眩い光が解き放たれる。

いきなりの出来事に対応出来ず、その眩い光が隼人の目を眩ます。


ワンテンポ遅れて腕で目を覆い隠し、光を遮断する。


数秒後、光は徐々に明るさを失いなが、消えていく。

その気配を察した隼人はゆっくりと目を覆い隠していた腕を下ろす。


「………誰…です…か…?」


視界に捉えたのは1人の女の人だった。

ただ、それは普通とはかけ離れた容姿をしている。

神々しい装飾をあしらった服装を身につけていて、何か後光のようなオーラを身体全体から放出していた。

いわゆる『神様』と言えば分かりやすいのではないだろうか。


「初めまして、峯岸隼人さん。…いえ、ギャルゲー界のエンペラーとお呼びした方がよろしいですか?」


目の前にいる神にも似た女性は、ふふっと柔らかな笑顔を向けながら隼人に声をかけてくる。


(……か、可愛い……)


「……萌え………」


「あらぁ、私に萌えて下さるのですか?…恥ずかしいわぁ…」


「へ!!?あ、あの、声に出てましたか!?」


思考がつい無意識に声になって出ていた事に恥ずかしさが顔に出る。


「ええ。しっかり聞こえましたよ」


「あぅぅ…。俺とした事が、まさか人前でこんな…くっ……穴があったら入れた……入りたい…」


「ふふふ」


先程と同じように全てを優しく包み込むような笑顔を向けられる。


(…い、いかん!!この流れは良くない!!流れを変えないとまたボロを出しそうだ!)


そう感じとった隼人は自分自身がこれ以上、目の前の女性に恥を晒さない為に流れを変える。


「ごほんっ!えぇっと、まだ状況が理解出来ていないのですが、貴方は誰ですか?何者なのですか?」


「そうですね。峯岸隼人さん、貴方の質問に答えましょう。私は、天界の12柱ある中の第6柱でフェリスと申します。貴方達からすれば『神様』と言われる存在です。』



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