第三十三話 魔動兵器とその力

 帝国内の復旧も未完全なまま共和国と王国に対しての戦いの灯が点ろうとしていた。


~ ユーラ城謁見の間 ~


 その場所には死んでいるはずのフィルデリックXXV世(ラウス・フィルデリック)が玉座に腰を据えていた。真実を知らないイグナート、ヨシャ、それとウィストクルス以外の者達に皇帝は病気であると報せられていた。だが、今、謁見の間には大元帥、元帥二人、そして、その下の将軍たち五人、そのほか軍務の上将官の者達、それから謁見室に入れるだけの兵士が集まっていた。

 皇帝の顔色は病状という事で少しばかり色が悪かった。しかし、けして死人には見えない。死術士ネクロス・ノアが施す傀儡の術は意図も簡単にそういった人の表情、顔色も変えられてしまうのだ。

 フィルデリック皇帝からその場にいる者達に宰相からの間接的な言葉ではなく皇帝自らファーティルとサイエンダストリアルに宣戦布告する旨を伝える。それはマクシス宰相の企みであり、宰相を駒にするヘルゲミルの意図でもあった。

「聞け兵達よ・・・、我が愛しき妻と娘が先の戦いの最中、共和国と王国の者等によって囚われの身となった。そればかりではない、我が国の神宝、混沌の神ケイオシスの力が封じられた魔剣ディハードまでもが奪われてしまったのだ」

 魔剣ディハード、神を封じし三種の神器の一つでその剣はアルマが神創暦、ルシリアとの戦いの際にアルマ自身が手にしていた物でもあった。

「これは我が国に対する王国と共和国の宣戦布告である。われはそれに対して徹底抗戦をすることに決定した。みなの者、我が声に従えっ」

 威厳のあるその皇帝の声に一部の者達を除いた他の武官たちは拳を高々と掲げフィルデリックXXV世の言葉に従った。だが、皇帝が言う二人も神宝の魔剣もヘルゲミルの手の内にある。


~   ~   ~


 その頃、ファーティル王国エア城にサイエンダストリアル共和国のラリー・シュトラーゼル大統領と副大統領ウィンディー・レインスそれと外務大臣のジェイ・フォルテスが訪れていた。

「アレフ王、何を躊躇している私の提案に不満でもあるのか?私達には帝国と戦う理由がある。今の機を逃して、事態は進行する一方ではないのかっ!!」

「しかし、帝国と戦うことが本来の目的ではないのす、ラリー大統領。先ほども教えた通り、帝国の裏に居る影を倒しケイオシスの復活を阻止することが我々のなすべき目的のはず。大統領、どうも貴女には帝国と戦い報復を願っているように見えるのは私の気のせいなのだろうか?」

「ああそうだ、アレフ王の言うとおりだよ。私の国は帝国の落ち度、何者かわからない者達に付入られたせいで被害を受けたのだぞ。恨んで何が悪い?そうでもしなければ国民が納得しないのだよ」

「だからと言って、我が国内で戦争を起こされてしまったら、たまったものではないのです。そうされてしまったら我が国内の民衆が貴国に対して不審を抱いてしまうかもしれません。その様な事になったら・・・・・・・」

 ラリーはテーブルに両肘を突き、手を組んだ状態のその上に形の良い顎を乗せアレフに強くそう言葉にし、それに対してアレフは軽く受け流すように答えを返していた。

「ラリー大統領!我々は外交に来たのですよ、そのような言い方では・・・、物事はもう少し穏便に」

「そうよラリー、ジェイ外務官と言葉通りです。貴女、顔は冷静なのにすぐに心の中はカッと熱くなるのですから・・・、いつも心の中も表情と一緒にしていてくださいね。ですから我が国と共同戦線を張ろうと申してエーテルリンクではなく直々にアレフ王の所に来たのではないのですか。私共は海域と空域通過の許可さえ頂ければ陸域がなくてもそれでも構わないのです。ですからアレフ王様」

「ウィンディー副大統領、貴女の意図する事は十分わかります。ですが、それは私一存では決められませんね。三将侯や他の者たちにも意見を聞きませんと・・・、後一日、二日すれば彼らも帰還すると思います。ラリー大統領それまで待ってください」

 三将侯やアルエディー、王国の軍務を動かす上層部は異形の討伐から王都に向かっている所であった。しかし、決定を遅れさせようとしたのはそ探索探知器けではない。

「それでは三日待とう。その時にはいい返事を聞かせて貰える事を願っているぞアレフ王」


†   †   †


 それから、三日後。アレフは帰還したばかりのアルエディー達にラリー大統領との会見の内容を聞かせていた。ルティアやその娘であるルナの考え方にみなが賛成し共和国の共同戦線案を受け入れた。他の者達より早く魔物退治から帰ってきたシュティール兄妹―レザード、アルティア、その母親で王都に残っていたアルテミス達によって王都全体を守るほどの大きな魔方陣結界を完成させていた事により遠征に向かっていても転送方陣を使って突然襲撃される心配は無くなった。その大結界が出来た事が共和国と共同戦線を張る大きな理由となったのは云うまでもない。


†   †   †


 それから、更に一週間の時が過ぎると帝国の動きを知った共和国と王国は軍を動かし始め、そして、再び戦いが始まろうとしていた。五万千六百の兵を任されたアルエディーはその兵士たちを均等に分け、それぞれの部隊を作り後はその上官達に彼らの判断で動いてもらうように頼んでいた。

 それから、アルエディーは帝国内の地理に詳しいレザードと共にセレナ、アルティア、雷牙、霧姫、蘭玲、ルナと数名の騎馬隊を連れ戦いを避けながらメイネスへと向かって行く事になった。帝国と会戦するため違う方角に向かっていたアレフはそのアルエディーの行動を知っていた。しかし、あえてその行動を黙認していた様だった。


 獣連の月の初め帝国と王国南部の国境付近で戦いが開始された。

 帝国と最初に接触したのはイクシオスの竜機隊九名と共和国魔動機将ヒューリル・ルスティン率いる魔動兵器五百体だった。共和国のそれは今まで五十体近くしか稼動できなかったはずだが新技術により操縦者なしの無人で動く様に調整されていた。

 それに対して前線最前列に出て来たメイネス帝国の兵もまた魔動兵器部隊だった。数は約三百体、帝国側も起動出来るはずの魔動兵器はそれほど多くなかったはずだが帝国の保有するすべての機体が出撃しているようだった。共同戦線側も、帝国側も緒戦の戦略は同じ事を考えていたようだった。それは強力な兵器による掃討作戦。圧倒的な力を見せつけ、相手側の戦意を低下させることが目的の策。

 それから接触と同時にすぐに戦闘が開始された。共和国側の無人魔動兵器は機動調整が完全でなかったために動きが悪く帝国側にそれ程の損害を与える前に半数以上が鉄屑になって行く。

「ちっ、だから言ったんだよ技術部の馬鹿どもめっ!!あの人形モドキ全然、役にたちゃーーーしねよっ」

 その魔動機軍の大将ヒューリルは操縦席内、大きな声で文句を言いつつも帝国側の魔動機を次々に戦闘不能状態にしていった。ヒューリルと同じ用に有人共和国魔動機は流石に訓練されているだけ有って即席で出した様な無人兵器とは格が違っていた。

 イクシオスの竜機隊は味方である共和国の動きを確認しながら帝国魔動機を撃沈させて行く。特に対空能力を持つ魔動機が少ない共和国にとって王国側の竜機隊に所属するカペラ、ベトア、ラムダスの操縦する低飛空型で高い対空能力を持つ三体のドラグゥーンの活躍は大きな助けとなっていた。

「このベトアの機体の動きについてこられますか?はあぁぁぁぁああっ!」

 彼の紫色の機体ドラグゥーン・タイプΞ、素早い動きで敵を翻弄し、装備する光の精霊の力を借りたライフルから連射される光弾数発が帝国側の飛空型魔動機に命中するとその場で敵の機体は爆発して火の尾を引いて鉄屑だけが地上へと落下していった。

「へへっ、全然なちゃないねぇ~~~、そんなんじゃぁー俺は落とせないぜ。空での戦いって物をこの俺が教えてやるよっ!」

 藍色タイプΞダブル・ダッシュを操作するそのパイロットカペラは機体内で銜えタバコをしながらショットスライサーと言う魔力で遠隔操作出来る刃付きく字投器三本を巧みに操って敵機を切り刻んでゆく。

「カペラ、余り調子に乗るな、落とされるぞ・・・、・・・、・・・、敵機攻撃範囲内捕捉、戦術最大効果を得るための武器選択。選択完了・・・、攻撃を開始する」

 ラムダスは冷静に探索探知器を見ながら冷静な口調で呟くと彼は両手の操作ればに魔力を集中させ空中静止状態で攻撃態勢に入った。黄色の竜機タイプΞダッシュの両腕が前方に突き出され握られた拳に天の精霊の力が集中すると雷撃と共に竜巻が放たれ、それに巻き込まれた数体の敵機が撃墜されてゆく。

「十二機の敵―飛空型の撃沈を確認。次の行動に移行する・・・。次は?」

 ベトア、カペラ、ラムダスその三人は各々独自の行動で一撃離脱を繰り返しながら帝国飛空型魔動機を次々と撃墜して行った。そして、三人の魔力が七割がた尽きた頃・・・

「奴さん、なんかヤバそうなのを登場させてきたぜ」

「ああそうだな、カペラ・・・・・・、これで最後にしてもらいたいものだ。ラムダス、聞えるか?」

「探索探知器確認、これが最後のようだ。戦術を間違えれば俺達が負ける。武器と己の魔力量の配分に注意しろ」

 集まっていた三人の操縦席平面映像に彼等の乗る竜機の何倍もある大型の魔動機が写っていた。

「これで空敵が終わりなら魔力全開でストライク・デルタ・フォーメーションをかける。いいな、カペラ、ラムダス」

「OK、オーケー、いつでも大丈夫、俺ならいつでもいけるぜっ」

「任務了解。フォーメーション準備に移行。全魔力を集中」

 三人はほぼ同時に彼等の握る操縦桿に魔力を注ぎ込む。彼等の乗る機体の周りを取り巻く天と光の精霊の力が増してゆく。ベトアを始めにラムダス、カペラと疾風怒濤の連携攻撃が空の最後の敵に向かって放たれた。帝国大型飛空魔動機は全周囲に実弾を放射。王国側三機は激しい弾丸の雨を受けながらも果敢に、必死になってデルタフォーメーションを続け、遂に機体がボロボロの状態で敵機を撃沈させた。

「よっし、イクシオス隊長に連絡して俺たちは離脱する」

「だなぁー、もう空、飛ぶ奴もいないし俺達の仕事は終わりってねぇ」

「機体損害87%、総魔力量93%消費これ以上の任務続行不能・・・、イクシオス隊長へ、ベトア、カペラ、ラムダス、タイプΞは作戦空域より離脱します」

「りょおぉ解した、三人は裏でゆっくり休んでいな」

 三人にイクシオスからの通信が入るとその空域から残りの魔力を使って後退して行った。空での戦いは王国竜機隊のその三人達によって終止符を打たれた。しかし、まだ地上では共和国の有人型魔動機約二十機と王国の竜機隊六体が帝国側約五十機と激戦を繰り広げていた。

「俺だ、イクシオスだ。ゼトア、ロークス、デートリック後どのくらい作戦、続けられそうだっ!」

「隊長・・・、後五、六機落としたら魔力が切れそうです」

「僕もリックと似たようなもんかもぉ~~~。でも、副隊長はまだまだいけるみたいっすね」

「私は機体が壊れるまでまだまだいけますよ」

「そっか、じゃぁ~~~三人は可能な限り共和国の連中を助けてやってくれ」

「イクシオス隊長はどうするんです?」

「えっ、おれっ?アルファスとオミクロスんところに行って一緒に残りを打っ飛ばす」

「了解、それじゃ私たちは移動します」

 竜機タイプα、β、γの三機は共和国の部隊が作戦を繰り広げられている区域に移動していった。

「んじゃぁ~、俺も移動すっかなぁ?」

 イクシオスは探索探知器に敵がいない事を確認すると今いる場所からアルファスとオミクロスが戦っている場所へと向かっていった。

「兄さん左っ!!」

「オット、危ない、危ない。ありがとアルファス」

「ここらへの敵もそろそろか?」

「何を言ってるんですか兄さん探索探知器を見てください、まだまだたっぷりいますよ」

「ちっ、他の連中は何やってんだっ?」

「文句は言わないでください。他のみんなだって頑張っていると思いますから」

 その二人の兄弟はさらに敵陣の中へと突入して行った。


†   †   †


 アルファスとオミクロス兄弟が最前線に向かってから15ヌッフ過ぎた頃にイクシオスが二人に連絡を入れていた。

「おい、アルファス、オミクロス応答しろっ!!・・・、どういうことだ?さっきから全然つながらない」

 通信を入れればどんな状況下でも応答してくる兄弟。イクシオスはその不通状態に疑問を持ちながら二人が戦闘していると思われる区域に急行していた。・・・、そして彼が見た物は?

「・・・、まじかよ!?・・・、なんで?あんなものが動いてんだっ!!」

 イクシオスが見たものは二神戦争の時に造られたと噂される巨大な機動兵器、魔力と精霊力で動く魔動機とは異質な物で竜機の数十倍ある。それは全周囲に弾や実弾を発射しながら敵味方も問わず破壊して行く。そして、イクシオスの竜機もその砲撃に巻き込まれていた。その機体不明の兵器の放つ攻撃はイクシオスが知る魔力兵器や実弾とは違う物だったためにドラグゥーンの周りに張っていた魔力防護壁も役に立たず大きな損傷を受けてしまう。

『機体損害30%オーバー、敵機危険度トリプルS・・・、このままでは搭乗者に危険あり・・・、究極形態(アルティメット・モード)を起動します』

 イクシオスの乗るタイプΣに搭載された精霊操作支援精霊が搭乗者にそう告げると、彼は訝しげな表情で、

「何だよそのアルティメット・モードってっ?」

『アナタの魔力を総て使用してこの機体の最終攻撃形態にします・・・、行動可能限界時間は3ヌッフです』

「あれに勝てる確立は?」

『しばらくお待ち下さい計算します・・・、2.7315%です』

「オイ、オイっ勝てんのかよそんな数字で・・・でもゼロじゃないんだな?あぁ~~~女神ルシリア様、俺にその寛大な慈悲を・・・、うんじゃぁ~~~、その究極形態ってものに行ってみよぉかぁーーーっ!」

『了解・・・、魔力転送お願いします』

 その言葉に従いイクシオスは両手に握る操縦桿に精神力を高め体内に潜む魔力を総て集約させた。

『転送完了、魔力変換炉最大出力ファイナルモード起動します』

 ドラグゥーン・タイプΣの外見、各部所の連結ユニットの構成が変化し二、三倍ぐらいに大きくると、その白い機体の周囲が金色こんじきに輝く魔力壁とは違う防御障壁の様なもので覆われた。

「ヌウォおぉおおぉおーーーっ、やってやるぜぇ~~~~~~っとっつげきぃぃいいいっ!!!!!!」

 イクシオスは操縦席内で叫びながら無差別に破壊を繰り返す機動兵器に突っ込で行く。竜機の口はその機動兵器に噛み付き火の精霊の力をありったけ吐き出し、地の精霊の加護を受けた右手は削岩穿孔刃の様な形状へと変化すると回転させながら敵の胴体に突き刺し、左手は天の精霊の力を込めた一撃がくりだされ、胴体からは水の精霊の凝縮した高密度の魔源が放出された。イクシオスの執拗な攻撃に内部爆発を起こし始めた帝国の最終機動兵器。しかし、その機体の動きは止まらず尚も攻撃を続けていた。

「くっそぉーーーっ、このままじゃもたねぇ」

 操縦席の中で制限時間の数字が減少するのを見詰めながら魔力が尽きそうな真っ青な顔で操縦桿を握っていた。

「どうにもなんねぇーーーのかぁーーーっ!」

 極限状態でイクシオスの中に流れる混血の血が彼の何かを変えた。

『魔力供給量上昇攻撃力を上昇させます』

 イクシオスの魔力の再放出を感じた操作支援精霊はその魔力を攻撃力へと変換させた。それによりドラグゥーンから繰り出される精霊の力が上昇し、その総ての力が敵機に打ち付けられる。

「たっ、隊長!もう駄目です。動力炉の暴走、止まりません。早く脱出の準備を」

「慌てたってどうしようもないさ。今脱出したとしても爆発に巻き込まれてハイおしまい・・・、隊長さん、どうします?」

「我々の任務は共和国と王国の魔動兵器をより多く破壊することだ・・・広域探索探知器を見る限り、我々の任務は達成された。思い残すことは無い」

「そうですか・・・、それでは僕も隊長と一緒に・・・」

「おっ、自分はいやだぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・、て叫んでも遅いよな。しゃぁない、自分も隊長と一緒なら」

 爆発する操縦室内で機動兵器を動かしていたその三人の帝国兵は操縦席に座りながら満足した顔で炎に飲まれて逝く。

 イクシオスの乗る竜機は大爆発に飲み込まれる前に最後の魔力を振り絞り遠くへと逃れた。帝国の最後の機動兵器は大爆発を起こし周囲の物総てを消滅させて半径2ガロットもの大陥没をその場に残したのだった。

 爆発範囲から逃れようとしたイクシオスだったが完全には間に合わず、かなりの損害をタイプΣは受けてしまう。だが、搭乗者の一命は何とか永らえ伸びたのだ。

 イクシオスはその半壊以上の機体の中で3イコットもの時間気絶して過ごしていた。そんな彼の目を覚まさせたのは竜機隊の次に移動力が高い天騎馬隊の隊長ミルフィーユ・スタンシアだった。

「イクっち、生きてる?僕だよ・・・、それとももう逝っちゃったかな?それはそれでいいけど」

 彼女は竜機の操縦室扉を手動で開きイクシオスの生存を確認していた。

「・・・、ミルフィーユか・・・、何でお前が・・・それよりなんかとんでもないこと口にしなかったか?」

「ニヒッ、気のせい、気のせい・・・、心配したんだから・・・、それよりご苦労様。これで私たちが生身で魔動兵器と戦うこと無くなったね」

「ハハッ、他に残っていなかったらな・・・、ミルフィーユも俺のこと心配してくれるんだんな」

「たまたま、誰が好き、好んでイクっちなんか心配してやるもんですか。今回はたまたまよ・・・、でもこ探索探知器けこの子がボロボロじゃこの先は戦えないよね」

「あぁ~~~そうだな・・・、俺達の戦いは初戦で終わりか・・・、後はミルフィや他の皆様方に任せて王都でゆっくりと休むかなぁ?」

 イクシオスは操縦席の中で笑いながら口を動かしていた。だが、竜機隊の隊長にティークニックから突然通信が入ってきた。

「バカを言ってるんじゃないイクシオス!竜機を直したらお前だけは前線送りだっ!!」

「なんでぇ俺だけぇ~~~?」

 イクシオスの情けない叫びが機体の中に響きわたった。そして、すべての機体に通信回線を開いていたので他の隊員たちと目の前にいたミルフィーユに笑われてしまう。会戦から約72イコット帝国魔動機部隊壊滅、共和国七機を残して総て大破。そして最後に王国側竜機隊九機パイロットは生存しているが隊長機も含めて全部作り直しが必要なほど損傷していた。

 こうして、竜機隊の隊員は再開された帝国との初戦で隊長以外その姿を戦いの中から退いて行くことになった。

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