第二話 新たなる歴史の夜明け

 戦いの終止符を打った英雄達が多くの民衆の力を借りてユーゲンレシル大陸の西にあるハーモニア地方に三つの国を建国した。ハーモニア地方の中央に位置しもっとも豊かで広大な平地を持つ場所にファーティル王国。

 ハーモニア地方の東側に属し二つの神の戦いの時ルシリアとアルマの衝突した高次元振動によって創られた神の背中と呼ばれるとても長いグレーデルン連峰を背景に様々な鉱物が取れる土地にメイネス帝国。

 そして、ハーモニアの西に戦乱の中でもけして澱まなかった海を持つ場所にサイエンダストリアル共和国と言う国家を誕生させた。

 それらの国家は互いの国の長所短所を補うための条約を交わし、お互いの国を共に発展させていった。

 マイスター王に統治されるファーティル王国は広大で豊かな土地を利用し農業王国としてその産物を他の二国に提供していた。特に鉱物が多く取れる代わりに農作物も家畜も余り育たないメイネス帝国とは親睦が深かった。

 フィルデリック皇帝によって治められるメイネス帝国は様々な種類が産出される鉱物で他の二国とやり取りをしていた。産出される鉱物を利用し他の二国とは違う魔法と機械を融合させた文明を発展させてもいった。

 初代大統領、ギレムスが監督するサイエンダストリアル共和国は海に面しており漁業と他の大陸や地方との貿易に従事していた。ここではメイネスから購入した鉱物を使い帝国とは違う独自の工業文明を築き上げていた。トリエス暦の始まりである。

 代々交代して行く三国の主達が善かったのか平和は長く続いていた。そして、この三国に住む種族達は永遠にその平和が続くかのようにさえ思っていた。文明が発達したころになると古代の二神の戦いの男神は書物などに混沌の神ケイオシスとして伝承されるようになってしまっていた。

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