アタシの可愛いご主人様 3話 【見習い時代・微エロ】

 全てを捧げたくなるほどに忠誠を誓いたくなる主人を見つけたソニアはタスの意向もあり己を解放させる自由を手に入れました。しかしこれまで培われてきたノウハウから、イメージに至るまで全てを投げ出すくらいのインパクトを与えるのは果たしてよいものかと、話を切り出されてから丸一日かけて考えた結果、素面での奉仕活動にて主人に仕えてゆくことを決めてしまい、その結果をタスには嫌でも認めさせるつもりでガラリと態度を一変させることにしました。これもタスが招いたことなのでソニアにとっては開き直りともなる。その上で素の自分を受け入れてくれたとなれば、それこそ自分にとっては運命の人に出会えたともいえるので、タスの気持ちを動かすつもりはないのですが自分だけは密かに燃え上がれると小さな幸せを見出してもいたのでした。


 そうしてソニアはタスから用事があれば家主の許可もなく入室してもよい許可を貰っていたので、家主の世話を名目にまだ早朝でタスが寝ている時間を見計らいこっそりと部屋に忍び込みました。タスは趣味としても学舎の敷地を借りうけて菜園を営んでおり、ソニアが忍び込むもう少しあとには早起きして朝の日課の土いじりを始める予定となっています。そのためソニアは前日から見習い冒険者に仕える異世界人限定となるプラットフォームに特別に設けられた仮住まいを朝早くから出発して、学舎に転移してタスの世話を始めることにしたのでした。


 見習い冒険者は自分で使用人を雇う財力を浪費しなくとも神が肩代わりしてくれる決まりであり、使用人を常に安全で側に置きたい環境を作る必要もないように神が特別に環境を使用人に与えてくれます。つまりタスが将来冒険者となり、ソニアのような異世界人の使用人を雇うことになれば使用人のための環境作りも求められる条件も発生するかもしれなかったのでした。業務に差し障りがなければ異世界人が住む現地からその都度通い勤めてもらってもいいのですが、それだと不都合であればやはりプラットフォームという安全な世界に不都合なくアクセスできる人物に限定してマッチングをするべきであり、そこは条件を重視すればとうぜん賃金は発生してくれる。


 ソニアに関しては以前の仕事がプラットフォームでの冒険者を相手取る給料もよい職場であったので、住まいも職場に隣接された上に家賃もなく財産が空っぽから始まったソニアの新しい人生も貧困時代が嘘のように裕福になれた生活を送れるようになっていました。そのため彼女は離職してもプラットフォームのとある最底辺の住まいを一度仮住まいとして新しい使用人業務のマッチングを待ち望み、こうしてタスに仕える経緯となったのでした。その際見習い冒険者に仕える特典として、もう少しグレードが上がった部屋へと引越しできる補助を受けて、ソニアは貧困時代の教訓から最低限の部屋を借り受けて贅沢はしないように努めていた環境から抜け出して、とても充実した私生活を送れることにもなっていました。しかし彼女にとってはプラットフォームでの私生活など寂しい時間でしかなく、それこそ愛してやまないタスの部屋に住み込みで働き、早く中間クラスに昇格してもらいスケベなご奉仕を始めたくウズウズしてもいたのでした。





 かくしてソニアのご主人様育成サポート期間が始まるのでした。手始めに彼女はタスを起こさないように寝室に忍び込み、寝顔をしっかりと拝見してしまい幸せを満喫していました。


(寝顔もかわいい。ああ、キスしてみたいけどアタシなんかの唇で汚したら可哀想よね。でもしたい・・・神の呪いさえなければこのままこっそり楽しめたのに・・・)


お触りも恋愛も許可されている条件でソニアは働いているはずなのに神の制約が邪魔をしてくれて彼女はタスとの濃密な触れ合いには制限がありました。どうせ許可しているのなら制約などなく愛し合える環境にしろ。ソニアもまた神のおかしなルール設定に文句をつけながらも、神の悪戯でタスと出会えたことを喜んでもいました。そうしたソニアの深すぎるタスへの愛情は止まることを知らずに、制限さえなければこのまま彼女はタスの寝込みを襲い、少年の始めてを全て奪ってしまいたいくらいに欲望が膨らんでもいました。しかしソニアはまだ穢された過去を引きずってもいて、愛する人に自分を捧げてしまう行為に躊躇いが残されていたのでした。特にタスの大事な初体験の部分だけは触れないでおこうと固く誓っており、それ以外での肉体的欲求には喜んで身を捧げてゆくつもりでいました。それこそタスは遠慮がちなので誘惑して導いてあげることも計画していました。


(今夜はこの可愛い寝顔を想ってしよう。ご主人様を邪な目で見てしまうスケベな使用人でごめんなさい。でも無理よ。えっちしたい・・・タス様の可愛くてちっちゃいので必死にパンパンしてほしいの♡)


これまでソニアはタスの前では使用人としての立ち振る舞いを心がけていました。それが苦痛でもなければ悦びにもなっていました。それでもありのままの自分をタスが受け入れてくれて、その上で愛情をいただけたらどんなに幸せなのだろうと考えなくはなかった。それをタスから指摘されたように先日は感じてもしまい、改めてタスの優しさにソニアは心を奪われてしまいはっきりと恋を自覚して恋愛をしていたのでした。しかしこの恋愛を自ら実らせる努力ができないソニアは寂しさと切なさを埋めるためにも、一人きりの時間はタスを想い続けて一人えっちを繰り返してしまうくらいにタスへの愛に依存していたのでした。それを発散するためにもタスには早く中間クラスに昇格してもらい、特別な行為だけは守り抜いてあげた上での性交渉で互いに利用するような愛人関係にでも成り下がり互いの欲望の吐口を作ろうと計画していたのでした。




「起きなさい」


「ふわああ・・・おふぁようございまふ。今朝は早いですね」


「当たり前よ。アンタにはさっさと中間クラスになってもらって早くまともな奉仕をさせてもらわないといけないんだから」


「へ? ひなたさん・・・?」


(とうぜん驚くわよね。でもまだこんなものではすまさないわよ。面倒な大人を堕とした責任はとってもらうから)


 これまでの使用人としての働きから見ればありえない方向性での変化が不吉な捨て台詞だけで前振りもなく行われてしまった。タスはまだ夢の中ではないかと疑いたくなるような使用人の変化に驚いて頬をペチペチ叩いて目覚めを確認していました。そんな主人の驚いた表情をソニアは満足してニヤリと笑みを浮かべながら、してやったりとして次の計画へと移行することにしました。


「これから毎朝早起きしての早朝トレーニングよ!」


「ええ!? 突然どうされたのですか・・・? といいますか、その言葉遣いは?」


「アンタが自由でいいと許可したのよね? うふふ」


「言いましたけど・・・変わりすぎやしませんか?」


「なによ。不満でもあるわけ?」


「いえ・・・ただ前の印象が残っているので・・・」


タスとしては深すぎて行き過ぎた忠誠だけは遠慮したいことでした。その上で仕事を気兼ねなくできるのなら、これまで通りに丁寧に献身的に尽くすソニアのやり方を許容するつもりでいました。さらに言えばそんな甲斐甲斐しいソニアの行動をタスは幸せにも感じていて、美しい異性から厚意を向けられたら少年心にも役得であるという気持ちは少なからずありました。つまるところ完璧な使用人を目指したソニアの行動であっても時折気持ちが溢れてしまい、それがタスの心に響いておりソニアを一人の女性として意識してしまい結果として二人は限りなく相思相愛に近づいていたのでした。それが理解できてもいないソニアは強烈なインパクトをタスに与えてしまう。タスとしたらそれを嫌うまでにはまだ理解が追いついていませんが、とうぜん驚いて対応に困っていました。果たしてこれが正解か不正解となるのかはソニアの今後の行動で変わってしまうのだろう。


「またご主人様呼びされたいわけ? アンタも物好きよね。これだから男は」


「どうしてこうなったの!?」


「いいわよ。身体でご奉仕をするときだけは献身的なメイドさんになってあげる。ただし、それはアンタが頑張ったときだけのご褒美なんだから」


「うわーい、話についていけません」


「まあ・・・今日は先日のお礼もあるから・・・特別にサービスしてあげるわよ。だからって調子に乗らないでよね!」


主にソニアの欲望が丸出しでしたがタスにも好奇心はあるだけに誘惑に負けてしまい流されてゆく。そうしてこれがしばらく二人での日常となってしまうのでした。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ソニアは必要もない世話を率先して始めてしまいタスの寝間着を脱がしてゆきました。冒険者の男性に関しては現時点でのタスはパンツ一丁の姿が限界となり、そこに介護を必要とするなら下着を脱がせて大事な部分に触れて介護してあげることもできはしますが、学舎にいる以上は身体にそのような不都合が起きることは稀であり、さらに使用人のソニアが冒険者見習いと共に訓練に出向くことは禁じられていることでした。しかし安全な場所にての勉強のサポートや遊戯に参加したり、果ては私用を世話主と一緒に行うことも制約をきちんと守れば可能でもあり、例えば使用人も世話主から魔法などを学んでもよく。それは冒険者見習い自身の学習にも繋がるので可能な範囲でした。しかしその逆は制約が多く、特に知識と力に絶対的な才能を与えられた神の遣いには厳しい呪いで縛られてもいる。それを不満とも思わない性格で生み出された命もあれば、人間味がある神の遣いもいたりと性格もまばら。しかしソニアは異世界人なので厳しい制約はありましたが、抜け道を探り出すための悪知恵を持っていたのでした。


「さあさあ脱ぎ脱ぎしましょう♡」


「うわあ!? 一人でできますから一旦外に出てください!」


「遠慮なさらずにお任せください♡」


ソニアの素の性格でタスと交流をしていくとなると彼女は『ツンデレ』の王道を行く性格となります。厳しい環境で生きてきたので勝ち気な性格にもなり、しかしタスだけには特別な好意が芽生えてしまったのでデレる要素が追加されてしまいそうなってしまいました。その上で今はご奉仕モードにも切り替えているので、また新しい発見をタスは体験してゆくことになりました。


「でも、うああぁ・・・そこはだめです!」


「あらら〜、どうして朝から元気になっているのかしら。もしかしてお姉さんの奉仕を期待していたのかしら?」


(恥ずかしがってかわいい。早く実物を見てみたいな♡)


ソニアは歳上のスケベなお姉様が少年を意地悪に可愛がるような口ぶりになりタスを誘惑していました。身体を密着させて自慢の胸を背後から押しつけてしまった。やり過ぎは彼女にも罰が与えられますが、それはタスの世話のためだからとの名目で女性の身体を意識させる行為を続けてしまった。そうしてあっけなくタスは誘惑されて興奮してしまい、脱がされて下着一枚になった姿では少年の未成熟な下半身でも下着にテントを作るのは用意であり、満足したようにソニアはジッと大きくなってくれた下半身を眺め続けていました。


「ちがっ・・・生理現象ですから。兎に角退いてください」


「そうは見えなかったけど? 大きくなる瞬間もしっかりと確認したし。アタシのカラダでコーフンしたでしょう♡」


「そんなに密着されたら誰だってそうなります・・・」


「隠したらイヤ。見せて」


「こんなことおかしいですよ・・・」


その視線に耐えきれずに恥ずかしそうにタスは下半身を両手で隠してしまうも、ソニアが耳元で甘えた声で「ご主人様の立派なものが見たいです」と呟いてタスの手にそっと自らの手を重ねると、手の甲から恋人握りの要領で指を絡めてしまうと、観念したように力を入れなくともタスは手を退けてくれて、ビクンビクンと興奮して苦しそうに下着の中で格闘している下半身をソニアに曝け出してくれました。


「スッキリしたいでしょう。お手伝い・・・してあげてもいいのよ。ブラ越しだけどまたおっぱい見る?」


「なっ!? そんなこと・・・」


「遠慮しなくてもいいのに。命令して・・・えっちなお願いして・・・ご主人様にご奉仕したいの。これがアタシのしたいことよ♡」


「日向さんがぼくとえっちをしたい・・・?」


もし心から願っての行動であればタスにも考える余地があり。タスも好奇心はありましたが、さらにソニアへの特別な愛情も小さいながら芽生え始めていた。初仕事で不慣れながらも必死にタスを支えようと頑張っていたソニアに惹かれて、さらに時折気にかけていたのか視線をずっと自分に向けており意識しているかのような意味深な視線が繰り返されてしまえば、タスも徐々にソニアを女性として意識するようになっていた。そこにきてのソニアの行動からのアピールときてしまえば、タスにも好意を受け取っていると考えに至るのは自然なことでした。しかしソニアにとっては嬉しくも一番の幸せを受け取れない事情がありました。


「勘違いだけはしないでね。別に・・・す・・・すきだとか・・・そういう感情ではないから。お互いの好奇心を埋め合う関係になるのよ。愛人みたいなものよ・・・」


「使用人とその様な関係になるのには抵抗があるのですが・・・」


「合法的に大人の女性の身体を堪能できるのよ。利用しない手はないわ」


「ぼくとしたら少しでも互いに好きあっている者同士ではないと、その手のお付き合いだけはできないと思っていまして・・・日向さんがもし、ぼくを少しでも好いてくれているのなら、ぼくも日向さんのこと・・・意識しているので正式にお付き合いしますか!」


(タス様がアタシのことを・・・嬉しい・・・うれしいよう・・・でも、ごめんなさい・・・)


タスとしても一大決心でありソニアに断られたら今後の付き合いに響く関係性の変化となりました。しかしこのまま流されて肉体関係を重ねてゆくことだけを積み重ねてゆくのは許容できずにタスはソニアと恋愛関係となり、互いにもっと知り合ってから関係性を深めたいと願いました。その告白を聞いてソニアは涙が溢れそうになるくらい嬉しさが込み上げてきましたが、その好意はきっと責任感からくるものが大きいのだろうと無下にしてしまいました。どうしてもソニアにはタスを自分で縛ってしまうことができませんでした。


「だからアタシは別に・・・」


「好きでもない人に日向さんはこの様なことをするのですか?」


「過去にはたくさん・・・」


「過去は過去です。今はどうです? ぼくへの気持ちは」


(言えるわけないじゃない。そんなこと言ったら・・・この人は絶対に背負ってしまう・・・)


タスにはもっと素敵な出会いがあるはず。ソニアはそれを信じながらも自分が結ばれないことを嘆いて嫉妬してもいる。しかしタスへの強すぎる愛からソニアは自分の恋を諦めてしまい彼がそんな責任感で愛情を深めてほしくないと願ってもいました。だからこそ最後の一歩だけは踏み出せずに自分を偽り続けてしまう。

――

――

――


(本心を言えたら楽なのに。アタシも面倒な性格よね・・・)


 心が掻き乱されてゆくようで苦しい。ただこのまま強引に事を進めてしまうとそれこそ関係性が崩れてしまうためにソニアはここで手を引くことにしました。そんな心残りがあるソニアの後姿をタスは勘づいてしまい、寝室から立ち去ろうとするソニアを抱きしめて呼び止めてしまいました。


「待ってください!」


「やっぱりえっちことしたくなったの?」


「いえ・・・でもキスしてみたいです・・・恋人でない人たちもしていました。ぼくも日向さんと・・・キスしてみたいです」


「ごめんなさい。唇同士には抵抗があって無理です」


ソニアはタスの行動に驚くばかりでいました。彼はソニアの欲しいと願っていたものばかりくれようとしている。しかしそれができないでいるから彼女も苦しんでいたので、これ以上タスの好意を無下にしたくはないので嘘によってソニアは彼との距離を決定付けようとしました。しかし進むと決めたタスは容赦はなくグイグイとソニアとの距離を縮めてしまい、いつの日か必死に彼女が隠してしまった幸せが入るはずの扉をこじ開けようとしていたのでした。


「唇でなければいいのですか!?」


「えっ・・・まあ、それくらいなら・・・」


「頬にしていいですか!」


「なによ。結局はそういうことなのね」


「今は黙ってください。しますよ?」


「ご主人様の望むままに」


(ああ、この人は察しているのかも・・・その上でアタシの気持ちを考えてくれた)


本音を隠す態度をタスは中止させるようにソニアを牽制すると、多少強引にでも彼はソニアとの距離を縮めてしまい、本来欲しかった口付けの場所は違えど幸せになれるタスからの口付けを頬に受け取ることになりました。もちろんタスが少年ながらに不器用でも漢を見せてくれただけでもソニアには嬉しいことでもあり、口付けも初めてなので可愛らしい範疇であり雰囲気もテクニックもない拙いものでした。それなのにこれまでソニアは欲望だけを身体に刻む行為だけしか経験してこなかったこともあり、タスの拙いながらもソニアを大事に想い優しく優しく扱った可愛らしい口付けに、経験したこともない身体の悦びが湧きあがってきていました。それはまったく性的興奮が一つもない単純な幸せという感情だけでの満足感でした。


(どうしてそんなに優しくしてくれるのよ・・・お願いだから乱暴に扱ってよ。これ以上好きにさせないでよ。我慢できなくさせないでよ)


「いかがでしたか? 拒絶してないので嫌ではなかったと思いますけど」


「下手くそよ・・・なってないわ・・・」


「あはは・・・手厳しいですね」


「練習しなさい。その・・・アタシの頬ならいつでも貸してあげるわ」


「やっぱり日向さんはぼくのこと好きですよね?」


「好きじゃないわよ! 愛人よ! 愛だけは沢山あるんだからね!」


「なにが違うのでしょうか・・・」


これが大人の恋愛事情なのかとタスには理解できないながらも、とりあえずの着地点だけは見つけてくれて二人は恋人ごっこのような微笑ましくもあり、愛人関係のような刺激的な触れ合いもしながら、タスがさらにソニアの心の闇を照らしてゆくことが始まることになりました。

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