第60話_光る石

俺はハッとする。


「このキラキラした物って、もしかして粉砕された宝石の原石か!?

ってことは、辺り一帯に粉々になった原石が散らばってて、ツルハシはそれに反応してたってことか!」


ツルハシが反応している原因は分かった。

だが、理由が分かったところで原石を見つけられるようになったわけではない。

むしろ持って来たツルハシは使えない。

全ての石にツルハシが反応してしまうため、ツルハシで原石を探すのは困難だ。

唯一の道具が使えないので、俺はまたしてもガックリして座り込む。

どうしようかと青い空を眺めていると、ピンブローチが震え出す。


「マッシモから連絡です」


俺は宝石に一度触れる。


「よぉ! ユージン元気してるか?」


「おぉ……マッシモ、どうしたんだ?」


「なんだ?

元気ねぇな。

大丈夫か?」


「ちょっと仕事で行き詰っていてな……どっこらしょ」


俺はおじさん臭い掛け声で立ち上がる。


「そうなのか。

じゃ、ちょっと気晴らしにヨーデルの家でも見に来いや!」


「あぁ、それもいい……な……」


俺の返事は途切れる。

なぜなら、所々がれきの山が光っているのだ。


「ちょっと待ってくれ!

なんだ!?

一体これは何なんだ!?」


「ん?

おい、ユージン、どうしたんだ?

なんか今日は変だぞ!」


「いや、テルで話し始めたら、瓦礫がれきの山が光り出して!」


「お、おい、言っている意味が分からんぞ!

映像で見せてくれ!

テルをあと二回タッチするんだ!」


言われた通りに宝石を二回触り、立体映像で会話を始める。

俺は現状について経緯を交えながらマッシモに説明する。


「ははーん、それで驚いてたってわけか!

こりゃ、確かに驚くわな! がははは!」


「だろ?

ところで、この光ってるのって、宝石の原石だと思うか?」


「ふーむ、恐らくな。

テルに使われてるのも宝石だから、もしかしたら共鳴してるのかもしれんな。

いくつか持って帰って、妖狐さんに見てもらえば間違いないだろう!」


「そうだな!

そうしてみるよ!」


俺は近くで光っている石を数個見つけ出し、マッシモお手製リュックに詰め込んだ。


「お、リュック使ってくれてるのか!

嬉しいねぇ!」


「あぁ、とても重宝してるよ!

ありがとうな!」


「いいってことよ!

そろそろ街に戻るのか?」


「ああ、ヨーデルの家も気になるけど、まずは仕事を終わらせないとな」


「そうか。

じゃあ、俺も一緒に帰るとするかな!」


俺はマッシモと合流してシルバーフォックスまで戻ることになった。

その帰り道、マッシモがやたら詳しくさっきの鉱石掘りについて聞いてきた。

疑問に思ったが、のちに理由は明らかになった。


「じゃあ、俺はこっちだから。

マッシモまたな」


「いやいや、俺もシルバーフォックスに行く」


「え?

何か用事か?」


「ちょっと鉱石掘りの一件でシルバーフォックスと話がある」


そう言うと、マッシモは店までついて来た。



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