第14話_魔力とは
「もう一度聞くぞ。
本当に知らないのか?」
マッシモの鋭い視線が俺に刺さる。
「知らない」
俺はこれの他に返答の
マッシモは応接室のソファにドカッと座り直すと、天井に顔を向ける。
少々の間の後に、マッシモは大きく息を吐き出して上を見たまま語る。
「俺はな、勘がいい方だと思ってるんだ。
ユージンと出会った時に何かあると思って、面白れぇと思った。
あ!
冒険者から助けたのは下心からじゃねぇぞ!」
マッシモは顔を俺の方に戻して、必死に否定をする。
「しっかし、魔力を知らないとはな。
じゃあ、説明を受けてないってことだよな?」
「ああ、何も受けてない。
目覚めたら、ここに居たんだ」
マッシモは俺の返答を聞き、今度は頭を抱えて
「うーん、そんなことってあるのか。
初めて聞いたぞ……。
通常ならな、死後に女神様から説明があるんだ」
「へ?」
俺は
女神様に会ってませんけど?
説明なんて受けてませんけど?
俺は混乱して、俺もさっきのマッシモと同じように頭を抱える。
「ちなみに女神様と会うと、姿を変えることもできるんだぞ」
マッシモの一言で、俺は猫の姿をした本屋のウィリアムを思い出した。
「人間以外にもなれるのか!?
ウィリアムみたいに!?」
「がははは!
だからウィリアムを妙な目で見てたわけか!
そうだ、動物にもなれるし、イケメンとして生まれ変わることもできる」
「んなっ!!
イケメンにも!?」
女神様に俺もお会いしたかったぜ……。
「まぁまぁ、ユージンもそう不細工じゃないぞ。
それに魔力を用いれば、容姿を変えられないこともない。
だから女神様に会えなかったからって、そうガッカリすんな。
そもそも、そいつらが一緒に居るのは女神様に会えなかったおかげかもしれないからな」
マッシモはソラとフーをちらりと見る。
「どういうことだ?」
俺の問いに、マッシモはいつもの調子で豪快に笑う。
「がははは!
分からねぇ!」
分からないのかぃ! と俺は心の中でツッコんだ。
「それはそうとして、魔力だったな。
魔力っつーのはな、生きている間に積んだ徳・善行を数値化したものだ。
生前にたくさん善い行いをしていりゃ魔力は多く、逆にそうでなけりゃ魔力は少ない、といった具合に魔力量は決まってる」
なるほど。
魔力が善行によって得られるあたり死後の世界だ。
マッシモは立ち上がり、壁際の棚をゴソゴソと漁っている。
「たしかこの辺に入れてあったはずだが。
お、あったあった!
ユージン、これを見てくれ!」
マッシモがテーブルの上に小石を置いて、手をかざす。
すると立体的な映像が浮かんだ。
まるで3Dホログラムのようだ。
その立体映像は、いくつかの浮いた小さな島を映し出している。
「おお!
これは何だ?」
「ここにある島は、
魔力量、つまりな生前に善行をどれくらい積んだかによって、死後向かう界層が決まるんだ。
気づいたか?
この浮いた島には上下のランクがあるんだ」
そう言われて俺はホログラムの島を観察する。
上の方にある島は、明るく緑が生えて青い海がある。
まるでリゾート地のようだ。
一方、下の島はまるで様子が違う。
黒い雲が立ち込めて大地は枯れ、なんと海は赤い。
これって血か?
俺の表情を読んだマッシモが俺を安心させる。
「心配すんな、俺たちの界層はそんな所じゃねぇからよ。
そういう下の界層は、地獄だな」
これが地獄か。
マッシモが再び小石に手をかざし、立体映像は消えてなくなった。
「んでだ、自分が持ってる魔力量、気にならないか?」
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